9月だというのになんか暑い日が続きますね。もう僕なんか会社に行くだけで疲れてしまって仕事をやる気が失せてしまいます。こんな暑い中毎日舞台に立つ役者さんもコンディションの維持で大変でしょうね。
暑さ真っ盛りのお盆期間中に2つほど舞台を見てきました。一本は前回書いた「エリザベート」、もう一本は「星の王子様」です。星の王子様はシンプルですが、素敵な舞台に仕上がっていましたね。茂森さんもとても魅力的でした。ああいう中性的な役って難しそうなんですけど、魅力再発見という感じでしたね。あとキツネ役の戸井勝海さんもいい味だしてましたね。ここの所どんどん役柄が広がっていく感じで目が離せませんね。市村さんの歌声がちょっとしかなかったのが残念でしたけど、満足な舞台でした。お子さまが多かった割に結構みなさん行儀よかったしね。
9月になってちょっと涼しくなるんかいなと思っていたのですが、なんかますます暑くなった2日に「キッチン」を見てきました。チケットの売れ行きがあまり良くないなんて事を聞いていたのですが、この日はほぼ満席(3階席のはじのほうにちょっと空きがある程度)で一安心です。見回してみるとちょっといつもと客層が違ってお年を召した方が多い感じです。地人会の固定ファンなのかな。
この「キッチン」、あるレストランの決して良い待遇とは言えない調理場での出来事が描かれていくのですが、いきなり日本人には理解しにくい人種問題から入っていきます。「あいつはドイツ人だからどうだ。」とか「キプロス人はだめだ。」とか。この「ザ・キッチン」はイギリスの脚本家が書いた舞台ですので、イギリス人のドイツ人やギリシャ人に対する普遍的な思いを表しているのかもしれませんが、日本人には「??」になってしまいます。「コーラス・ライン」なんかでもそうですが、いろんな人種の人がいてそれぞれに考え方が違うというような舞台は日本人にはちょっと理解しにくい面がありますね。無理かもしれないけどもうちょっと設定を変えたほうが良かったかもしれません。
舞台が進んでいくとだんだんと人間関係が見えてきます。たくさんの人が働く調理場には夫婦で働いて人もいれば不倫関係にあるカップルもいます。(亭主持ちのくせに(笑)コックさんと愛に落ちてしまうのがほのか様です。)劣悪な労働条件の中、いろいろな人間関係が表現され、最後は戦争のような忙しさの調理場を描いて第一幕は閉じて行きます。
現実的な一幕からがらっとかわって第二幕は幻想的に始まります。休憩時間にそれぞれの「夢」を語りだすのですが、一番楽天的と思われていたピーター(ほのか様の不倫相手)だけは夢を見る事ができません。この4人位で夢を語る間ずっと踊りが展開されています。ちょっとだけ前衛的な感じなんですけど、だんだん退屈になってきてしまいました。たぶんここでは夢すら見る事のできないピーターの心の葛藤を描き出したいんだろうと思うんですけど、ちょっと中途半端。その後ピーターは些細な事から「きれて」しまい、刃物を持って調理場の中だけでは無く、客席まで暴れ回ります。ピーターが救急車で運ばれた後、残された人たちは差し込んでくるまぶしいばかりの光のなかでそれぞれの帽子やエプロンを脱ぎ、解放されて行きます。
結構難しいんですよ、この舞台。特に二幕なんかは観客に要求する事が多くてちょっとつらい感じ。要求する事っていうか観客の感性が問われるっていうか結構人によって感じ方が違うんじゃあないかなあ。僕なんかにはちょっと難しいですね。
あと終わってから感じたのですが、「心に残るメロディ」っていうのもが無かったですね。良くできたミュージカルって初見でも舞台の後で口ずさめる曲ってあるじゃないですか。たとえば「オペラ座の怪人」のテーマとか「スクルージ」の「サンキュサンキュエブリーシング」とかね。この舞台に関してはともかく曲が難しいんですよ。でその難しさを売り物にしているという感じも否めません。僕の個人的な感想を言えばそんなの作曲家の自己満足に過ぎないんですよね。ミュージカルでは一見単純そうで、心に残るメロディ(そんなの結構難しいけどね。)が一番です。あの曲を歌いこなしていたキャストのみなさまには「拍手!」ですけど、作品としての成功というのはちょっと別物のような気がします。
そんな中で収穫だったのはほのか様の「胸元ザックリ」のウェイトレス姿を見れた事(笑)。なにせ上から見下ろすような席だったので、ドキドキでした。欲を言えばもうちょっとスカートが短いと良かったのにな。
(00/9/3)