7.その他(戦車車体を利用した特殊車両)

ラム・カンガルー&プリースト・カンガルー

 英連邦軍の一員、カナダ軍で多用された装軌式装甲兵員輸送車。簡単に言えば戦車や自走砲から武装を取り外しただけの車両である。キットとしてはプリースと・カンガルーがイタレリから(最近再版されて入手しやすくなった)、ラム・カンガルーがレジキャストからフルレジンキットとして発売されている。前者はイタレリ全盛期のM7が原型のため、大変よく出来たキットとなっている。ずいぶん長い間見かけなかったが、最近再版されたのでこれを機会に入手をお薦めする次第。後者は最近のレジキャストらしい「超絶的に出来がよい」キットで、必買キットと言えるだろう。内部再現も完璧で作りこみも楽しめる。ただVVSSに間違いがあるので、クロムウエルなどから発売されている初期型ボギー(M3型)と交換してやるのもいいかもしれない。最近まで海外から購入するしかなかったが、近々国内でも手に入れられるようになるらしいのでぜひ購入しておきたいところである。
(2000年5月段階で、全く見たことがないが・・・)

グラント CDL

 M3の車体に装甲で防御されたサーチライトを搭載した特殊車両。改造キットとしてバーリンデン、ADV/Azimut、レジキャストから発売されていたが、現在入手出来るのはバーリンデンの物だけだろう。簡素なキットながらいつもどおりのシャープな成型で安心して購入できる。どちらかといえば、ベースに指定されているタミヤのM3中戦車自体を見目よくする方が大変だろう。リニューアルを期待したい。

 ABMからのフルキットが発売になっている。2001年1月くらいには入荷するはずなので、詳しくはその時に紹介したいと思う。このメーカーの製品は超絶的に出来のよいので、おおいに期待している。

シャーマン系列の特殊車両

シャーマン ARV Mk I

 シャーマン戦車の武装をオミットし、簡単なジブクレーンをつけただけの戦車回収車。キットはレジキャストからドラゴン用改造キットとして発売されている。パーツの抜けはよく気泡も目立たないよく出来た改造パーツセットである。ただ、ベースとなるドラゴンのキットの出来があまり芳しくないので、そのあたりの修正に手間がかかるだろう。個人的にはMPモデルのM4A4車体セットを使いたいところだ。

シャーマン ARV Mk II

 こちらはダミー砲塔がつき車内にウインチが搭載され戦車回収車としての能力が各段に向上したタイプである。キットはレジキャストからフルキットが発売されていたが、現在絶版である。2年ほど前にこれまたドラゴン用改造パーツとしてリニューアルしたが、ほとんど見かけなかった。残念なことにその時購入出来なかったので詳しいことには触れられない・・・。

 2000年12月現在、一部の模型店にレジキャストの改造キットが入荷している。キットのベースにはドラゴンのM4A4が指定されているが、その出来が芳しくないのが頭が痛いところだ。出来のよいMPをベースにしようとしてもダミーターレットが全く合わず、実際にやるとなると肝心のダミーターレット自体をスクラッチしなくてはならなくなり、なんのために買ったのか分からなくなるのは大問題である。

シャーマン BARV

 上陸作戦時に海岸でスタックした車両を回収するために開発された英軍独特の車両(戦後、センチュリオンをベースとして同様の車両が生産されているので、使い勝手はよかったのだろう) キットはレジキャストから発売されており、大変よく出来たキットと言える。車体上部(というかキャビン上端)の波きり板が平面でモールドされていることで、実車は外側に向かって反り返っているのを再現してないのは欠点である。キットのレジンは大変硬く、熱変形させるのも難しい。なんとかごまかして製作したが、自作した方がよかったかもしれない・・・。

シャーマン DD

 これもノルマンディ上陸作戦に備えて製作された水陸両用戦車である。キットは当然ながらレジキャストから発売されているが、古いキットのため壮絶な変形が見うけられ組み立てには多大の困難が伴う。

シャーマン クラブ

 シャーマンの車体を利用した地雷処理車。エンジンからのパワーで駆動されるチェーンで地雷を爆発させるという豪快な仕様である。キットは以前レジキャストから発売されていたが、リニューアルされてドラゴン用改造パーツとなった。ほとんど見かけなかったので購入出来なかったのは残念なことではある。同様に韓国のコーリーからも改造キットが発売されており、こちらの方が入手はやさしいのではないだろうか? パーツの抜け、シャープさ、気泡の少なさなどからレジキャストのキットよりは組みやすいように思われる。

チャーチル系列の特殊車両

チャーチル AVRE

第79機甲師団に配備された特殊工兵車両のキット。当然フルキットであり、部品もものすごく多い。部品が全部まともでも組むのが大変なのに、車体などが変形していることもあって、よりいっそうの困難をもたらしてくれて大変楽しめるキットとなっている。再現性やディティールは大変細かく、好感は持てるのだが・・・。

チャーチル ARK Mk I

自分が橋となって障害物を克服するという自己犠牲精神にあふれた工兵車両のキット。大変珍しいアイテムでそれだけでも購入する価値があるだろう。ただ、部品がものすごく多く、変形する可能性も増えているのでハズレをつかむと組む事はおぼつかない事は保証出来る。(僕が購入したのがまさにそうだった・・・)

チャーチル クロコダイル

 有名な第79装甲師団に配備された火炎放射戦車。キットはタミヤから発売されていたが、リニューアルに伴い原型のMk VII しか組めなくなったのは実に残念である。発売は1975年でMMシリーズの100番を飾った。出来の方は今から20年以上前のキットながら、今の目で見てもほとんど不満がないくらいの素晴らしい出来である(だからこそ1990年代になってもリンバーをオミットしただけで発売されているのだが)。このキット自体の入手は困難だろうが、見つけたらぜひ購入しておきたい名キットの一つである。

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