ぬぬ 

 1月31日〜2月1日、5歳児と山梨県北杜市清里にあるキープ自然学校に行きましたててて
 もう13年くらい行き続けていますが、こんなに雪がないのは初めてでした。気温も高く、つららもない。冬ですか? という感じです。
 子どもたちは雪あそびと思って出かけてきました。雪がないとの情報が入りましたので、来る前にはだるまを作り「ゆきがふりますように」と片目を入れで祈願してきました。
 新年にだるまを持って来てくれたスタッフの話から、願いごとを叶えてくれるというのが頭に残っていたのでしょう。手軽に風船をだるまの顔にして、マジックで書いたものがたくさん天井にぶる下げられていました。しかし・・・・願い叶わず、当日でした。
 子どもたちはその一週間前から、毎日ミーティングでキープのことを話してきています。
 それなりにイメージは膨らんでいたのですが、まだ生まれて5,6年ですから、雪といっても真っ白な雪景色を思い浮かべていた子はいないかもしれません。
 自然学校の玄関先にわずかに残っている、いつの雪かわからない塊を見て、大興奮!
「ゆきだ! ゆきだ!」乗ったり、蹴ったり、ちょっと口に入れたり。
 ゴリさん(森の案内人=小西貴士さんの愛称)が、森で拾った物を見せてくれます。動物にかじられた松ぼっくり、シカの糞、シカの角、子どもたちはかじりつくように見入ります。そして、森に出かけます。
 広場に出ると、大きな木が立っています。自動的にしがみつき登ろうとします。長靴なのでなかなかうまくいかにけれど、あきらめない。ちょっと先に行くと、いかにも登りやすい木があるのを見つけて行く子。あっという間に木は子どもの鈴なり。いっぱい乗っていますが、しなやかで、折れそうもありません。木の枝の先でゆらしている子がいます。なんと「しんど(震度)なんにしますか?」と聞いています。木の上の子が「しんど5にしてください」と返す。「つぎはしんど7で」とゆらす強さを変えるんです。

 子どもって今起きていることをちゃんと知っていて、すぐにごっこあそびにしてしまうんですね。でも、これは嫌なことではありません。周囲にあることをごっこあそびにして、身体で受け止めていくんだと思います。こういう形で認識していくともいえるでしょう。
 しばらくあそぶと、ゴリのもとに行って連れ立って先に行きます。
 川は凍っていました! すぐに走って行きます、滑ります。ステーン! 子どもの身体はすごいです、転んで立ち上がっての繰り返し。帽子を被るように言われましたが、ひっくり返って頭を打つ子はいませんでした。みんなじょうず! もちろん私は見てるだけ。
 ゴリが氷をピッケルの先でわり始めました。めざとい子どもたちはやりたくて並びます。そうです、いつも並んだのなんて見たことないのに、やりたいことがあるとちゃんと並んで待てるんです。たいしたものです。
 いっぱいあそんで、夕飯食べて、また夜の散歩に出ました。シカがいるかもしれないから、静かに息を潜めて進みます。こんなこともできるんです、無言の忍び足が! 
 ゴリが懐中電灯を照らします。

 いました! シカの目が光ります。私の目には三頭でしたが、ゴリの目には六頭だったそうです。

 暗闇の中に座って、シカの角の話を聞きました。夜のミーティングです。
 空を見上げると、大きな星が出ています。木々の間を歩きながら星を見上げると、黒い木の枝の間に輝く星がとっても美しいです。冬だからこその夜空です。
 そこまでは静かですが、家に入ったとたん、うるさいことうるさいこと!
 すぐに鬼ごっこが始まるし、走り回るし、布団を敷いて、お風呂に入るとまた大騒ぎ。こんなことを許される施設は滅多にありません。「やり過ぎは言ってくださいね」と、身を縮めながら挨拶しましたら「久しぶりに元気な子どもをみましたよ」とおっしゃってくださってありがたい。
 布団に入るのは10時過ぎてしまいました。しかし、悲しくなったり、おしっこがしたくなったり、保育者が寝られないのはいつもです。
 帰るまでありったけあそび続けた子どもたち。だれひとり「ゆきがなくてつまんなかった」とは言いませんでした。
 仲間と一緒のいつもではない体験は、子どもをちょっと大きくします。
 迎えに来た親たちも、ちょっとゆとりの顔をして、わが子と笑顔で対面。
 今回は全員参加で、怪我も熱を出す子もいなくてホッと安堵です。
 卒業まであと一ヶ月半ですから、修学旅行みたいなものです。親や保育者はちょっとしんみり気分が始まっています。子どもたちは・・・どうかな?    (2月3日 記)

 

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