ぬぬ 

 いつのまにか三月になってしまいました。走り続けて二週間でしたけど、ふと思うのです。パソコンとスマホがなかったら、もっと頭が休めるのにって。

 いまや一日のメールの件数は多くて、即返信していた習慣は破られて、未返信の旗印がついたものが数十件。スマホへの受信は少ないのですが、ピン!とか音がすると見ざるをえない。
 朝起きたらパソコンとスマホの電源を入れ、寝る寸前に確認して切る。
 昔、車に乗るときに、前日に地図を確認して行っていたけれど、今やエンジンかけて行く所を設定、ナビ様のいう通りとなっています。
 同じような機械が常に携帯されているのですから、どこへ行くにもスマホ様のいう通り。場所も交通手段も食べるとこまでも、ほんとに呆れるほどお任せ状態の便利物。便利になったはずなのに、頭も時間も短縮にはならないのはなぜ? 
 このところ公共交通機関の移動が多かったですが、みんな視線はスマホ。これがなかったときは、みんな何処を見てなにを考えていたんだろうと、思いつくこともできません。外国の方も多くいらっしゃいますけど、みんなスマホがあるから、ぎこちない会話をすることもなく、行きたいところに行けているようです。


 そんな日々の正反対を過ごした子どもたち。19〜22日は「とことん週間」でした。初日は暖かったけれど、後半は寒くて、しとしと雨まで降っていました。

 今年は「ぬいもの」「ほんもののパン作り」「折り紙」「跳び箱」「工作」「街づくり」「発掘」「UFO探し」「釣り」でした。

 外の三チームは辛い日々とはいえ、自分で決めたのですから前向きに過ごしていました。「発掘」は最後には大磯の海岸でいい石をたくさん見つけてきたようです。「UFO」も海に行ったときに見えたそうです。
「かたちがかわったんだ、なかのうちゅうじんはみえなかった」そうですが、そこにもここにも宇宙人がいる気配があったようです。「釣り」も竿作りからはじめて近所の池に行ったら、釣りをしていたおじさんが教えてくれて、浮きもくれたそうで、作り直して川にも行きました。最後は海と言っていたのですが、天気が悪く寒かったので奮発して屋根付きの釣り堀となりました。
 子どもたちは情報に依存せず、仲間と集めた情報や想像をひろげ、行動しながらよその人とまで会話して、身体で体験していく日々だったのです。効率悪く、時間もたっぷりかけて、自ら納得しながら学んだ日々だったと思います。室内の人たちのコツコツと続ける姿にも感心しました。

「とことんどうだった?」と聞くと、途中で嫌になったという子はいませんでした。今度も同じものをやりたいという子と、他の人のがやってみたくなったという子がいました。そんな日常とは切り離した日々って、おとなは作っていないですよねぇ。
 そういえば、これをやる直前に親とのお話し会がありました。親にも聞いてみました「とことんなにがやってみたい?」って。「土と藁を混ぜた家づくり」「穴掘り」・・・「UFO見たことがある!」「私、高校の時、研究会に入っていた」なんて、口々にいろんなことが飛び出してきました。これって大事ですよね。だいたい親は自分事ではなく、子どもにだけ望むことが多いです、けど、自分の中にそのイメージがあるだけで、子どもを送り出すときの気持ちが違ってきます。「楽しんできてね」という気持ちが含まれるのです。そして、自分自身の脳にも多少隙間ができるのではないでしょうか? 
 実はこの週は私の体調がいまいちで、例年見逃せないのが「とことん」ですから、外部の仕事を控えていますが、今回は残念ながら屋外の活動は見に行きませんでした。気候の変動について行けず、花粉症だか風邪だかわからないけど、鼻づまりと咳でしわがれ声。でも、仕事に穴を開けることもなく、肝心なときは声も出てしゃべり続けてきました。


 この二週間も多様な方々とお目にかかってきました。研究会のお仲間の会、雪の北杜市でアルピニストの平出和也さん、家庭雑誌の編集者、子育て中の方に講演、都内の保育園の保育士さん、保育雑誌の編集者、お訪ねいただいたのは元桜ヶ丘中学校長の西郷さん、オンラインの保育セミナー、歌の録音(卒業する子どもたち一人一人にプレゼントする)で久しぶりに新沢としひこさん、そして、この土日は大阪和泉市の保育者の方たちでした。
 どこへ行っても楽しいし、新鮮です。ただね、忙しいと前に前にとは進んでいくのですが、余韻に浸っている時間がないのです。折角、印象的なことがありながら、捨てていってしまう感じで残念です。食べたものが食べたまま出てしまうようなね。燃費が悪いですよね。ちゃんと、いただいたものは消化して自分の栄養になるようにしていきたいものです。
 さて、これからは卒業式に向かいます! 確定申告もしなくっちゃ!         (3月3日 記)

 

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