柴田 愛子                 

 前々回の1月10日に、「ちょっといい光景を見たので」と3歳児の二人のことを書きました。階段にいた、だいちゃんとあっくんが四角く組み合わせたブロックを取り合っていた話です。(第256回、お読みになりたい方はここをクリックしてください。)
 これを書いた後、だいちゃんのお母さんと話しました。
 なんと、私はだいちゃんの気持ちをわかっていなかったのです。
 お母さんが「あっくんが二階に行ったとき、どんな気持ちだった?」と聞いたそうです。
 すると、だいちゃんは「しんぱいだった」と答えたそうです。
 さらに「二階から降りてきたとき、どんな気持ちだった?」と聞くと、「ほっとした」と言ったんですって!
 だいちゃん、ごめん! 浅はかな私です。そして、二人に感激です。

 物を取り合って、あっくんは自分なりの解決方法を考え、自分で作ることにした。
 その場を黙って立ち去られただいちゃんは、あっくんの気持ちが心配。
 でも、しばらくすると彼の手にはブロックが!
「あー よかった」と思ったのです。
 お母さんと話せたからこそ、わかったことです。
 見落としていただいちゃんの気持ち、知ることができて、ほんとによかったです。

 二人とも素敵です。心の動きはおとな顔負け。
 そして、このやりとりは、今回たまたま私が目撃していたから皆さんにお伝えできたのですが、日常的にこういう子どもの心のやりとりはされているということです。なんにも表面化せずに、おとなには知らされずに。

 このクラスは、いま、かくれんぼができるようになったそうです。
 お手紙をもらうとうれしいという気持ちが芽生えて、お手紙でパイプが繋がるような子どものやりとりが盛んなようです。
 子ども同士の関係が密になってきている三学期を感じます。

 おとなは「ありがとう」「ごめんなさい」が言える子に。「他の人に迷惑をかけない子に」と、子ども同士の関係にまで口出ししますが、子どもたちは全く違うやりかたで、ちゃんと豊かな関係を作っているのです。まさに心を動かして繋がっていくのです。
 子どもばんざーい!(1月23日 記)

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