−−− 食後の運動 −−−
店の空気が暴れ出した。 女性二人だけだと思っていたテ−ブルに、 トイレでの"彼女争奪作戦TIME"を終えたらしき男二人組が戻ってきた。 二人組は自分達のテ−ブル上が戦場跡になっているの見て、 呆然とテ−ブルの側で突っ立っている。 周り中に血しぶきの様に散らばっている赤い物体や、 さまざまな食べ物が混ざり合った良く分からない物で散らかっている。 「もぉ〜 何処行ってたのよ! あの人達がめちゃくちゃにしたんだから。」 「何とかしてよぉ〜・・・・・」 叫び声を発していたのとは別の女の子が指差しながらそう言った。 目が三角で気の強そうな女の子だ。 真っ直ぐに俺達の方に腕が伸びている。 先ほど迄叫び声を出していた女の子の方は泣出しているみたいだった。 よく見ると彼女達の洋服もかなりの状態だった。 男の一人が覚醒し バトルMODEな雰囲気で俺達の方に歩き出した。 「なにやってんだよぉ〜」 大きな声がジャングルに響き渡った。 その声でもう一人も呪縛が解けたのか先の男に続いて近づいてきた。 二人とも見るからにやる気万々だ。 その動きを予想していたのか? していなかったのか、 あゆみは突然大声で騒ぎ出した。 「えっぇ〜〜!!まだ居たのォ〜〜 店に来てまで軟派するつもりぃ〜〜 」 ジャングル奥地からこちらの様子を伺っていた店員達も、 あゆみの魅力の前に騙され集まり出した。 「一体どうされたんですか?」 本当なら勇敢な男と認めてあげたい一番に駆け寄った店員が、 あゆみに質問した。 「あの人達スト−カなんです! お願い 助けて!!」 等と、俺には演技バレバレだったが、 彼女を見た他の男性は・・・一発で騙された様子だった。 「・・・・やっぱり。 馬鹿だな男ってのは・・・。」 と、あゆみに関ってしまった男達を哀れな気持ちで見守った。 「その人達、先っきからずっと私のこと付け回して来るの。」 その言葉を聞いた 先ほどの女性二人組みが今度は爆裂を開始した。 気の強い三角目の女の子が勢い良く立ち上がる。 「どういう事! 待っている間にそんなことしてたの!?」 怒りの対象が男達に変った様子だ。 「信じられない・・・・」 大人しく(?)泣いていた女の子はそう呟くと、 また顔を伏せて泣出したようだ。 「何言ってんだよぉ・・ そんな訳ないだろ!?」 バトルモ−ドな男達が今度は弁解MODEになった様子だ。 連れの彼女達の方に向き直ると必死になって説得しようとしている。 丸っきりそんな事が無かった訳でも無さそうだ。 「そんな事言えば・・・本当だって言ってるも同じなのに。」 あゆみが待っている間に声を掛けた男が居ただろう事は想像できる。 彼女は俺から見ても凄く素敵だし、 何より ”何処に居ても目立ってしまう”人だった。 じぃ〜っと立っているだけでも何か引かれてしまう。 そういう不思議な女性だ。 彼女になら声を掛けても可笑しくない。 そんな事を考えてしまった彼女達・・・無理も無い。 相手が”御淑やかで素敵な女性”に見える あゆみちゃんという事で、 二人の怒りは”アンタノ負け〜”宣言されたの如く、 一気に頂点を迎えたようだ。 第二会場が出現した・・・・。 カラス隊長は ぽか〜んとしてしまったようだ。 完全に取り残された形になった。 残飯投げ第二会場とカラス隊長の二個の問題に対処すべく 店員達が駆け寄ってきた。 黒服姿の異様な男性を遠巻きに見て居た店員が、 ”第二会場”が新たに出現した事でそちらの方に向かった。 「ちょっと違うんだけれど・・・ まっ、いっか♪ 」 等と言ってる辺り、 あゆみが自身いい加減な作戦であるのを認めたようなもんだ。 第二会場で派手な戦闘が繰り広げられる中、 今度はカラス隊長と別な店員が揉め始めた。 「あんたもスト−カなのか?」 勇敢なのか馬鹿なのか・・・・ 店員の一人がカラス隊長に向かってそう言い放った。 「・・・・。」 カラスは無言で男を突飛ばし、あゆみの方に動き出した。 「おい、いい加減にしろよ!」 突飛ばされた男が怒り出して掴み掛かった。 無言のまま カラス隊長は面度臭そうに店員を突き飛ばすと、 派手な尻餅をついて男が転がった。 動揺しているらしく尻餅男は何か変なことを顔を真っ赤にして叫んだ。 それを聞きつけた店員達がジャングルの奥地からやって来た。 「まったく。。。この店はなんなんだ 」 見るからに悪人の格好をしているカラス隊長は、 すぐに応援の者達の標的となって周りを囲まれている。 「おい! 誰か早く警察に連絡しろ!!」 囲んでいる中の一人がそう叫ぶとカラス隊長の顔がすこし動いた。 あゆみ達の方に行こうとしていたカラス君だが、 警察が御嫌いな様子で出口の方に向かい出した。 それを追う様に第一会場も移動していった。 騒動が大きくなるにつれ、 原因であったはずの俺達は参加者から観戦者に変りつつあった。 駆けつける店員。 ジャングルの奥地には一体何人の店員が潜んでいるのやら。 ここまで来ると俺達自身の存在もどうでも良い様に思われた。 派手に物を投げつけていた あゆみも、 演技全開であくまでも部外者を通すつもりで居る。 今では何が原因でこうなってしまったか誰も知る由も無かった。 何だか居場所を失ってしまった俺は、 しょうがないので あゆみ達の所に戻る事にした。 「 お帰りぃ〜〜♪ 」 意気揚々とあゆみが にこにこしながらこっちに手を振っている。 エリちゃんも顔が緩んでいる。 「何にも・・・・してないよ。」 「あはは。 でも 作戦成功ね。」 「・・・確かに。」 何だか知らないけれど このまま何処かに消える事が出来そうだった。 周り中で戦場と化しているので今がチャンスだ。 「んじゃ 行きますか♪」 「 ラジャ−!」 御姫様達は声を揃えて元気良く御返事した。 俺達の居たテラス側には、 丁度非常口らしき物が備わっており、そこから外に脱出した。 「もう大丈夫ね。でも凄かったわよね。」 興奮覚めやらぬ雰囲気であゆみが話し掛ける。 「 あのね・・・。 俺、金払ってないんだよ。」 「 ん? いいんじゃない。あの様子だったらどうでも良くなってるって。」 「確かにそうだけれど・・・ あぁ〜 もう行けなくなったなぁ・・・あのジャングル。」 俺が二人に向かって小さく笑うと、 それが引き金になって 三人で大爆笑になった。 そして 笑いながら各自満タンに燃料を補給したお腹で、 駆け出していった。 「おいおい そっちじゃないぞ。 俺のヴェットちゃん 駐車場に・・・。」 「...戻れないわよ。 あきらめようねぇ♪ RAI。」 「....だよな。 で、どうする?」 「私 車で来たからそれで行きましょう♪ 」 「 マジかよ! あゆみの車でか?! 」 俺達の向かう先には 大通りに堂々と路駐してある、 ピンクのランクルがあった。 「こういう時に乗る車かよ。」 何だか腹の底から可笑しくなった。 本当に不思議な女性だよ・・・あゆみって奴は。 −−−To be continued.−−− NEXT
−−鼻、もとい 華 募集−− RAI.へmail GO〜 あなたからの感想を心待ちにしています。RAI.へmail GO〜
”挿し絵”なんてあればいいかなぁ〜って・・・・ 何方か”作っちゃる!!”って御方いませんか? ぜひMAILにて ”作っちゃる!!”と。(^0^

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