櫻の花に想う

　　願はくは花のしたにて春死なん
　　　　　　　　そのきさらぎの望月のころ


これは櫻をこよなく愛した西行の歌であるが、毎年櫻の花が咲く頃になるとそわそわして落ち着かない。

きっかけは、１９８５年４月号の「芸術新潮」で“これだけは見ておきたい櫻３０選”という特集があり、これを読んでから櫻が気になりはじめ、日本最古の櫻、樹齢２０００年の「山高神代櫻」を見に行ってそれ以来すっかりはまってしまった。

樹齢何百年という、いわゆる「名櫻」は櫻自身の力で生きてこれたわけではない。

櫻は本来長生きの難しい樹なのである。

そこには、その櫻を慈しんで大事に守ってきた、何代にもわたる人間の努力が必ずある。

櫻のように､きれいに散りたい・・・・ 
と、毎年櫻を見るたびに人生の襟を正しているような気がする。