高尾山は、東京中心部から西へ約50キロのところに位置し、江戸時代から信仰の霊山として、また都民、近県の行楽地として広く知られています。
標高600メートルの山中には山岳信仰の飯縄大権現を奉る薬王院の諸堂が点在し自然林のなかに深遠な山容を形成しています。
紅葉の山、杉の山として親しまれ、鳥や草木の種類が豊富なことで大自然の宝庫といわれています。


薬王院は今から約1200年前に開山された真言宗の寺院で、正式には「高尾山薬王院有喜寺」といいます。
現在は成田山新勝寺、川崎大師平間寺とともに真言宗智山派の三大本山として広く知られています。

御本尊は「飯縄大権現」。

御本尊飯縄大権現(いづなだいごんげん)は、実に欲張りな、というか有難い神様である。
不動明王の仮の姿として衆生を救済する徳を備えた仏神ですが、本地の不動明王のほか、迦楼羅天、荼吉尼天、歓喜天、宇賀神と弁財天の五相合体をしたお姿をされています。
つまり、諸悪を根絶するため、忿怒の相を表した不動明王、くちばしと両翼を持ち、自在に飛行して衆生救済を施す迦楼羅(かるら)天、
衆生に富貴を授け疾病を除き、夫婦和合の徳を施す心を持った歓喜天、白狐に乗り、先を見通す力を授ける荼吉尼天、
さらに、五穀豊穣、商売繁盛、福寿円満、などを授ける宇賀神と弁財天のそれぞれの相を合わせ持った御本尊なのですね。


戦国時代、この飯縄大権現を信奉する大名は多かったが、武田信玄は戦場に常に飯縄大権現尊像と飯縄法次第を持し、
上杉謙信は飯縄大権現尊像を自らの出陣兜に頂いていた。川中島などでまみえた両者が共に飯縄大権現を頂いていたわけで、勝敗の決着がつかなかったわけである(笑)





高尾山へは初めてのお参りです。しかもダイヤモンド富士の撮影も一緒に、と考えました。
ダイヤモンド富士が見られるのが、12月の20日から24日くらい。
先週の天気予報では火曜が天気良さそうということで予定していたところ、日曜の夕方天気予報を確認したところ、火曜は「曇りのち雨」となっていて焦りました。
天気が良さそうなのは木曜ですが、この日は12/23で祝日。いま高尾山は空前の大人気で、休日は押すな押すなの大混雑らしい。
こんな日には行けません。
次いで天気の良さそうなのが12/20の月曜ということで、急きょこの日に変更して行ってきました。

いきなりケーブルカーを降りたところから始めます。
右手を見ると、なんと八王子ジャンクションが綺麗に見えました。中央高速と圏央道です。
私の家の最寄りの圏央道インターまで、あのジャンクションから30分、インターから我が家まで10分です。



歩き出すと、すぐにたこ杉があります。
大杉が一夜で根を曲げて、道を開いたという伝説をもつ大樹。

   
たこ杉                                  その根元に「ひっぱり蛸」があり、なぜると良いことがあるとか。


浄心門。ここからが、霊山高尾山薬王院の聖域となります。
   


浄心門を入ってすぐに、神変堂があります。修験道の開祖、役小角である「神変大菩薩」を祭っています。



狛犬の代わりに、妙童鬼と善童鬼が頑張っています。奉納してある絵馬が下駄の形をしています。
   


ここからは、一切の殺生は禁じられます。虫を踏んでもダメですよ。
   
参道の両側に、朱塗りの灯篭が整然と並んで、とても気持ちがいい。


「南無飯縄(いづな)大権現」の標石のところで道が分かれています。左が「男坂」、右が「女坂」です。
   
                                                     「男坂」は、煩悩の数と同じ108段の石段


参道わきに、たくさんの句碑が並んでいますが、そのなかから二つ紹介。
          
「奏都とは うれしき名かな 春の月」 古泉居            「我が精進 こもる高尾は 夏雲の 下谷うずみ 波となづさふ」 北原白秋


仏舎利塔の前に、本尊の「飯縄大権現」を模した像が立っていました。お姿をまざまざと拝見できたのは有難かった。
    


杉並木。高尾の天狗が腰をかけたという「天狗の腰かけ杉」がそびえ立ちます。
    
                                                 杉の合間から、下界が・・・・・八王子の街が見降ろせます。


いよいよ四天王門
   


      
持国天                            増長天                           多聞天                           広目天


四天王門をくぐると、大天狗、小天狗の像が出迎える。
    


天狗は古来から翼をもち、鼻高または烏口の形をした面相で、神通力をもつとされ、多くの天狗伝説や天狗信仰を生みだすなど、神格化されてきた。
一説には、仏教上に現れるくちばしをもち、翼によって自由自在に飛行し、衆生の救済をするカルラ天が日本の風土に合った形に変形されて、
〝天狗″として登場したということもいわれているが定説はない。また、天狗面をした猿田彦命は天狗のもつ神通力にも似た力で、天孫神の案内役としての役割を果しているともいわれている。
「天狗」の話が登場するのは「源氏物語」が古く、その後の「今昔物語」「義経記」 などに数多く登場してくる。
多くは、神仏のもつ教えや慈悲、救済心とは異なった威力、超能力を自由自在に使いこなす超人的な存在、もしくは伝説として伝えられたり、奉られたりしてきた。
こうしたことから天狗は、山岳霊場に不可欠の存在としての地位をもつことになり、天狗信仰がうまれた。


叶う輪くぐり



    
八大竜王堂                                                  諸縁吉祥


お守り授与所で、関東三十六不動霊場の第8番のご朱印をいただいた。




   
時節柄、もう初詣の準備をしていました。
                         東京まで見えます。見晴らしが良い時はベイブリッジまで見えるようですが、ちょっと煙っていますね。


ここを上がって仁王門をくぐれば、大本堂である。



   
仁王さんがお出迎え
                                                               仁王さんと背中合わせに天狗さんが


大本堂。開山本尊・薬師如来と、中興本尊・飯縄大権現を安置され、護摩壇がある。



    
向背の「目抜き龍」                           木鼻龍


飾られている大きな天狗の面
     


大本堂の前には、大天狗と小天狗の像
     


     
開山の行基の像                                寄進の名札を立派な龍のフレームで飾ってあった。


    
愛染堂                                                聖天堂


     
太子堂                                                 太子堂の周りに、ぐるっと四国八十八ケ所の太子さまが並ぶ



「仏法僧 巴と翔る 杉の鉾」 水原秋桜子


飛飯縄堂この祠の中の小石を持って帰るとイボが取れるそうです。私はイボ無いので持って帰りませんでしたが。



飯縄権現堂に上がる石段
    
両脇に三十六童子が並ぶ。関東三十六不動霊場の数はこの童子の数からきている。高尾山飯縄大権現には「質多羅童子」が縁づけられている。


飯縄権現堂



ここにも天狗さんが。
    


飯縄権現堂は、彩色典雅な「権現造り」で、色鮮やかな彫刻が美しい。
    


    



   
奥の院                                                 富士浅間社


山頂まで、のどかな日差しの中のんびりと歩く。小さな子連れの家族も多かった。



高尾山山頂につきました!
   
                                         山頂の広場


関東三十六不動霊場の第8番飯縄大権現にお参りしてから、高尾山の山頂に様子を見にいったのが、3時ちょっと前。
できれば帰り暗くなることを考えて、ケーブルカー乗り場の近くで「ダイヤモンド富士」を撮れる場所がないかと、虫のいいことを考えていたが、
現地に行って、お宮の人に教わったりしたら、そんな甘い話でないことがわかった(笑)
ケーブルカーや飯縄大権現は、富士と反対側の斜面にあり!
だから山頂まで登って行って、はじめて富士が見えるというわけだ。
で、山頂に行ったら、もう既に大勢の人が場所取りをしているではないか!
私も慌てて場所を確保(笑)  ということで、一時間半そこで日没を待つ事になってしまった。

これは一時間くらい前の状態。たくさんの人が待っている。



私は、この山頂の広場から右にちょっと下ったところにポイントを見つけて場所を取った。
まだ太陽が高く、太陽と同じ方向なので、富士はウッスラとしか見えない。
富士が見えるように絞って撮ったので、写真は暗くなっている。

                     ↑富士山

隣に場所を取ったカメラマンさんとおしゃべりして過す。私は今回初めてだったが、その人はもう何度も来ているそうだった。
「なにしろ天気次第、雲次第だから、めったに撮れないよ」と言っていた。
その隣にはご夫婦が陣取っていたが、奥さんがカメラが好きでカメラをセットして張り切っているが、旦那さんはカメラに興味が無さそうで、所在無げにブラブラしている。
奥さんに引っ張られて来たようだ。なんだか微笑ましい。


さあ、ショーのはじまり最初のうちは太陽の光が強くて、なかなか絵にならない。
で、絵になりはじめてからはアッという間。
これだな、と思って夢中でシャッター切り続けているとアッと云う間に隠れてしまった。
    


かわりに、バックライトを浴びた富士のシルエットが美しい。しばらく見とれていた。



撮り終わって、満ち足りた気持ちでケーブルの駅に向かって降りる途中、こんどは綺麗な月が出ていた。



下りのケーブルに乗り、途中登りのケーブルとすれ違い
   
                                                    乗って来たケーブル。お疲れさん。


ケーブルの駅



京王の駅に向かって歩き出すと、前方に綺麗な月が




お疲れ様でした・・・・・・了





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関東36不動霊場めぐり

東京都八王子市高尾町2177
2010.12.20 参詣

京王線「高尾山口」から。
又そこからモノレール「清滝」から「高尾山」あり

第8番・高尾山薬王院飯縄大権現

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