不動明王は「お不動さま」と親しまれる仏様のお姿で、大日如来の使者とされています。
不動尊や無動尊などとも称され、一心に祈る人々の願いを必ず叶えて下さる強い仏様。
お不動さまの荒々しいお姿は衆生を必ず救うという慈悲を表し、背後に轟々と燃え盛る炎は、
お不動さま御自身が一切衆生の罪障煩悩を焼き尽くす火生三昧におられることを表しています。
右手の利剣は「智慧の剣」であると同時に、如何なる災いをも薙ぎ払う「降魔の剣」です。
左手の羂索は、煩悩をグルグルと縛ってしまうため、あるいは煩悩にまどわされている人を
救いあげる救助ロープの役目です。
こうした古来の意味のほかにも、各地に祀られているお不動さまの尊像にはそれぞれ独特の祈りや
願いが籠められてきています。
関東三十六不動霊場は1986年に制定された不動霊場です。札所寺院は、神奈川県、東京都、
埼玉県、千葉県の四都県にまたがっており、それぞれを四国八十八箇所と同じように発心の道場、
修業の道場、菩提の道場、涅槃の道場と呼んでいます。
関東三十六不動霊場には、成田山新勝寺及びその別院、大山詣で知られる大山寺、目白、目赤、
目黒、目青、目黄の江戸五色不動など南関東にある有名な不動寺院が多数含まれています。
そして、三十六不動尊霊場の三十六という数字は、不動明王の眷属である三十六童子からきている
そうです。