全盲の就職活動(その1) 選考で不採用になる理由を分析



●甘くない障害者の就職活動
私の視覚障害者になっての就職活動、もう10年前のことですが、はじめて活動した就職活動はハローワークの障害者合同面接会でした。その時の障害者合同面接会では、約10社ほど面接を行いましたが見事に全滅、ひとつも次のステップに行くことなく終了しました。
その頃は10社も受ければいくつか次のステップには進めるかと思っていたので、ひとつも進めなかった現状を実感し、視覚障害者の雇用というものが、ものすごい厳しいものだと痛感しました。


●不採用になった時の活動状況
まず障害者合同面接会で提出した書類ですが、履歴書と職務経歴書を用意し、履歴書には、自己PRを書いていました。自己PRの内容については、視覚障害のこと、画面読み上げソフトを使ってWord、Excelなどが使えることも書きました。
そして面接では、各社それぞれ15分くらいの個人面接を行い、視覚障害のこと、志望動機、どんな仕事をしたいのか?、自己PRに書いてある画面読み上げソフトのことなどを質問されて、私はひとつひとつ回答しました。


●不採用になる理由を分析
採用側の立場になった今、なぜ私がすべて不採用になったのかよくわかります。
当時の障害者合同面接会の選考がすべて不採用になったことを述べましたが、その理由のひとつとして他の応募者との「差別化」がちゃんと出来ていないところにあります。
そもそもなぜ他の応募者との「差別化」が重要なのか?それは他の人と同じ事をやっていても目立たないということです。
例えば視覚に障害があってもWord、Excelが出来ますというアピールをしたとします。視覚障害者がWord、Excelを扱うこと自体、とても高いスキルが必要です。また目の見える方から見ても、視覚に障害があってWord、Excelを操作することは、とてもすごいと思ってもらえます。
しかし企業で働くという場合はそれは関係なく、例えば視覚以外の障害者も当然ながらWord、Excelが出来る人は、大勢います。よって面接官の目線で見れば、視覚障害者がWord、Excelが出来るというアピールは、特に評価されないのです。
これらのことから視覚障害者が事務職などで就職したいと思ったら、Word、Excelが出来ることは最低限の必須条件と言えるでしょう。

石山朋史(BJA)



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