「日乃出堂通信 Vol.32」

 伴奉天さんのおかげで「ジャイアントロボ」第7巻を見ることができました。
 おもいっきり曳いて終わりましたねえ。
 結局長官の一発も出ずじまい。幻夜くんもあまりにかわいそうだし。
 そんなわけで、「日乃出堂通信」第32号をお送りします。

 **お詫び***
 前回、日通31号に投稿しました「ジャイアントロボ」の感想の中で「横山の喋る
」となっている箇所がありました。正しくは「横山キャラの喋る」です。遅ればせな
がら訂正いたします。
                               (伴奉天)
***今月のお便り***
 今月も伴奉天さんからたくさんお便りをいただきました。

「ニッツウ31の感想」
 久々にタイムリーな内容の「日通」でしたね。それに面白いし。
 しかし、今回もかみひとえさんの記事がなかったのが残念です。彼の推理小説のレ ビューをいつも楽しみにしていますので。次号では復活することを期待しています。

 「昭和の映画雑貨店」はNPさんも書かれていたのですね
 ちなみに「ハワイ・マレー沖海戦」は東宝から、「小早川家の秋」は松竹からLD が出ています。また、浜田”アイアンキング”光夫と吉永”赤胴鈴之助”小百合の「 キューポラのある街」は日活からビデオが出ているようです。しかし、松竹や東宝の ビデオは置いてあるのを良く見かけるのですが、日活のはあまり見かけません。何故 でしょうかねえ? 私としては「渡り鳥」ジリーズを是非ともLD化して欲しいので すけど。それと「青い山脈」(もちろん東宝版)も。

 編集後記の”「日通」を発展的解消した方が良いか?”という問いに対してですが 、私はMLと「日通」はそれぞれ一長一短があると感じています。書評などのタイム リーなネタならMLでも良いでしょうが、今回のNBC兵器大好きさんの「ロードテ スト」のような記事ですと、やはり「日通」のような機関誌の方が相応しく思えます。
 それとML参加者以外の人に読んで貰うには「日通」の形式でないと不都合がある のでは?
 個人的な意見ですと、30号のように何かの特集を組むのがよいように思えますが 、如何でしょうか? もっとも投稿者が少なければ話になりませんが。
                                 (伴奉天)

「少年ジェット」(アース出版局・武内つなよし)
 ”ぼくらの英雄”のコミック版である。
 このヒーローは私が物心ついた頃の懐かしい番組の特集で見たのが最初であるが、 少年と名乗っているくせにスクーターに乗っていることが妙に羨ましかった覚えがあ る。同じ少年探偵でも、まぼろし号に乗るまぼろし探偵よりもジェットの方が好きだ ったのはこのせいだろう。風になびくマフラー、ヘルメット規制もなく、ゴーグルの みを掛けて颯爽と街を駆け抜けるジェット。格好良かった。

 で、漫画の話である。良くも悪くも当時の漫画(月刊誌「ぼくら」に連載されてい た)である。話は単調、科学理論は滅茶苦茶。妙な秘密兵器は出てくるはで面白い。 実写版とは、ブラックデビルが出てこない(その代わりはいるが)こと、ミラクルボ イスのかけ声が違うなど、多々の差異がある。テンポが悪く読んでいて辛かった。
 しかし、少年探偵ものは昨今流行っているようであるが、現実に成り立つ職業とは とても思えない。寧ろ趣味の範疇に属するものであろうか。
 ジェットは名探偵船越の助手という名目で事件に関わるが、現場の警察もそのこと に違和感を覚えない。彼は天涯孤独の身であるが、親が莫大な遺産を残しているとも 、また悠々自適でやっているとも思えない。もしかするとこの時代の探偵という職業 は徒弟制度だったのかもしれないと思ったのだが、如何だろうか? もっとも「自分 は探偵だ」と言った瞬間から自他ともに探偵と認められるのかも知れないが。
 とはいえ、どこかで実写版をLD化してくれないだろうか?
                (「忍者部隊月光」も何とか欲しいと思う伴奉天)

「遠野物語・山の人生」(岩波文庫・柳田國男)
 先日、「民俗学がわかる。」なる本を読んで、せめて「遠野物語」くらいは読んで おこうと思いたち、思い立ったが吉日とすぐに買い求めた本です。
 「遠野物語」は各出版社から出ているのですが、敢えて私の好きな岩波文庫版を求 めました。ですが、読んでみて面白味を感じませんでした。話に落ちがないから。説 話的でもなく、寓話的でもないから。私がこの話に民話や御伽噺を意識していたから でしょうかね? また現代仮名遣いになっているのも頂けませんでした。字面が面白 くないのです。とはいえ、いろいろな人がこの話の解釈をしているようですので、そ ちらの方も読んでみたくなりました。何とならば遠野へ行っても既にこの話の風景は 残っていないようだからです。その時代の風景をもっと見てみたいというのもあるの でしょうが、それは私が田舎者ですからですかね?
 しかし、同時に載っていた「山の人生」は面白かったです。山人については以前か ら気になっていただけになおさらでした。ただここでは問題の提示をしているだけで 結論は書かれていません。こちらについてもいろいろな人がその後書いているようで すのでそれも読んでみようと思っています。先は長い。
                 (マヨイガには一度行ってみたいと思う北村健)

「日本の神々」(新潮社・とんぼの本)
 某小説にて「神像は様式が決まっていないので判断が難しいのです」と語られてい るのを読み、神像ってどんな姿形をしているのだろうとずっと思っていました。恥ず かしながら、私は神像と言うものをよく分かっていなかったのでした。
 で、この本を求めたというわけです。もともと日本の神様には決まった姿がなく、 仏像の伝来とともに神様にも像が造られた(姿が与えられた?)とのことです。
 この本にはいろいろな種類の神像が載っています。束帯像、僧形像、そして神仏習 合像。特に八幡神については親しみが持てました。生まれ育った地の影響でしょうか?
 神々の風景と題して、山や滝、大木などが載っています。いわゆる神性というもの はどこにでもあり、それを神と感じる感性を人々が持っていれば、そこに神が降臨し たのでしょう。でもこういった風景も今では過去のものになりつつあるのでしょうね。  この本はカラー写真が多く、目を楽しませるには良かったです。特に神饌。
              (人身御供はいつ頃まであったのだろうか? 北村健)

「20世紀ノスタルジア」(大映/ビームエンタテインメント)
 動いて喋っている広末涼子を見たいが為だけに深く考えずに買ったLDです(笑)。
 ジャケットに”伝説の映像作家と、21世紀を予感させるヒロインの出逢い…。” と書かれていますが、これが多分公開当時('97年夏)の宣伝文句だったのでしょう。
 ”伝説の映像作家”とは原将人監督のことなのですが、そんなに有名な人なのでし ょうか? この方面に疎い私にはよくわかりません。
 で、話ですがはっきり言って面白くありませんでした。見続けるのに忍耐を要しま した。そのくせもう10回近くも見てるのですが(笑)。
 ストーリーを簡単に言うと、ヒロスエ演じるヒロインと相方の少年が東京を舞台に ビデオを撮り、少年が旅立った後、残された彼女がビデオを編集して一本の作品に仕 上げるというもので、ビデオを編集しながら少年の心情を理解していくという筋立て です。まあ一種の恋愛ものですかね。
 で、この少年が非常に怪しいのです。自分は宇宙人が乗り移っていて日本人の姿を 借りているとか、宇宙人はエーテル体がどうのとか、いつもビデオカメラを手放さす にレンズ越しにものを見てるとか。こんな少年が現実に居たら思わず引いちゃいます 、私。現実ではとてもこんな風に話は進みそうに思えません。でも事実は小説より奇 なりと申しますからねえ。
 アイドルの出る映画はストーリーに期待してはいけないのかも知れないと感じさせ られた一品でした。
                   (BGMは「ARIGATO!」の伴奉天)

「ニッツウ31号について」
 31号読みました。今月のお便り以外はNBC兵器大好きさんの個人史的な内容に 成ってしまっています。こんなんであれば、編集後記に書いてあるよう「通信誌」の 体裁を取る必要は無いのではないかと思ってしまいます。どうせ当面MLでしか配布 しないのだし。と思ってしまうのは自分で31号の編集後記を書いたからなのですけ どね。伴奉天さんは「そうでもない」と言ってくれてます。
 どうすべきかについてはもう少し考えてみます。
 31号は伴奉天さんが書いているように久しぶりにタイムリーと言えます。
 しかし、「ジャングル大帝」の感想を省略したのはよくありませんね。いつか読ん でみたとき何だかわからなくなるような気がしてしまいます。
(なんにしても早く「GR」を見てみたいと思う斎藤和夫)

編集から
“伝説の映像作家”は知らないです。映像の魔術士とか映像の叙情派とかは知ってい るのですけどね(大笑)
 でも、アイドルの出る映画にストーリーは期待しても良いかどうかはわかりません が、「見続けるのに忍耐を要する」のはアイドル映画とは言えないでしょう。
 伝説のアイドル映画「時をかける少女」とかは一気に見てしまいますし、「クララ 白書」に至っては、見始めるのに勇気を必要とします。おかげで未だにLDは見てい ないしねえ(笑)
 菅野と吉野が出ていた「エコエコアザラク」など「もう見たくない」と思わせてく れたし。
 やっぱり永遠のアイドル吉永小百合の映画が一番だよね。
 柳田國男の作品を読まなければならないと思ってはいますが、本当に読む必要があ るのかどうかについては疑問です。すべての学問(所詮学問ですからねえ)について 言えるのですが、今となってはその数が多すぎてすべての文献を読むことはできませ ん。確かに基本テクストを読む必要と言うのは感じますが素人がそこまでしていると 時間がいくらあっても足りません。場合によってはエッセンスだけを取り入れると言 うことも必要なのではないかと思うこともあります。

 なお、人身御供は今でも造船や大規模な土木事業で行われることがあります(オイ オイ)
 しかし、私は「日本の神々」では神像よりも神饌の方に興味があります。
 いつか日本の神々について日乃出堂通信でも特集してみましょうかねえ(大胆すぎ る!)


***いもほり日記 By NP***

「敵対水域」
ピーター・ハクソーゼン
イーゴリ・クルジン
R・アラン・ホワイト著
三宅真理訳
文藝春秋刊
 新聞の書評で取り上げられていたのでご存じの方も多いと思いますので多くは書き ません。
 しかし、私が見た書評では「中途半端」みたいな書き方をされていました。
 私はおもしろいと思いましたけどね。。

「理工教育を問う」(テクノ立国が危うい)
産経新聞社会部編
新潮文庫|新潮社
「この本はケッサクだ!」と立ち読みしたときは思ったのですけど。
 まず、いきなり『「カブトムシが動かなくなったからコンビニに電池を買いに行く 」と言った子ども』の都市伝説をまるで本当のように書き出しているのです。そこで 私は「この本は!」とひかれてしまったのですが(笑)
 こんなのを本当に新聞に連載していたのですかね?日本の新聞はだいじょうぶなの でしょうか?
 きっと笑わせてくれるのだろうと思っていたのですが、さすがに1/3程度で挫折 してしまいました。
 だいたい、天下の産経新聞の連載だと言うのに、上に書いたようなアーバンフォー クロアがかなり書かれているのです。引きとしては良いかも知れませんが、これはい くら何でも読むのに辛すぎます。
 ま、こんな大人がいるかぎり日本は安泰なような、いつまでも危ういようなですね。

「奪われし未来」OUR STOLEN FUTURE
シーア・コルボーン
ダイアン・ダマノスキ
ジョン・ピーターソン・マイヤーズ共著
長尾 力訳
翔泳社
 えっと、環境ホルモンの本です。なぜか、こういう環境問題関係の本は時々思い出 したように購入して読んでみたりもします。
 レイチェル・カーソンの「沈黙の春」の現代版と言ったところでしょうか?
 環境ホルモンについては皆さんご存じだと思いますので、感想などを簡単に。
 この本にも書かれているように“証拠”は多いのですが、合成化学物質が蔓延して しまった現代では因果関係が立証不可能な問題ばかりを扱っているのが気になります。
 それに、今人類が抱えている大問題はそれだけではないと言うことこそ問題なのか も知れません。いちいちこんな報告書につき合っていては今の価値観をまったく変え なければならなくなります。
 第一、この報告に見られるように動物実験で見られるホルモン作用攪乱物質の影響 が人間にも当てはまるとしても、その影響が出るまでに時間が掛かりすぎると言うの も気になります。同じ2世代でもラットと人間ではまったく時間が異なっていますか ら。自分に直接関係の無い危機に人間が対応するかと言う疑問が頭をもたげてきてし まいます。
「沈黙の春」で取り上げられた殺虫剤は「自分が癌になるかも知れない、自分が死ぬ かも知れない」と言う恐怖によってその研究、対策が進んだように思えるからです。 その証拠は「沈黙の春」を思い出していただければわかるはずです。そのことについ ても「奪われし未来」でも注目していました。
 だいたい、序文を寄せているのが「アルバート・ゴア現米国副大統領」と言うのが あやしすぎます。
 その上、帯には「本書は、万人必読の書といっていいだろう 立花隆」と書いてあ るのもそのいかがわしさを助長していると感じてしまいました。
 ま、人間らしく「自分自身に危機が迫ってから」対応すればよいでしょ。
 とりあえず、私には“直接”関係無いしね。

「ブッダの夢」河合隼雄と中沢新一の対話
河合隼雄
中沢新一
朝日新聞社刊
 副題にあるとおり、河合隼雄と中沢新一の対談集です。ほとんどは、朝日新聞社の 「小説トリッパー」に掲載された記事です。
 ま、2人の名前を見てしまえば買わざる得ないでしょう。
 内容には関係したことがない我々(中には関係したことがある人もいたりして)に はわからない「箱庭治療」の事例が紹介されていたりして得るところは以外に多かっ たです。
 ま、相変わらず「本を読んでない」ことを痛感しました。
 いよいよ、ちくま文庫版の「宮澤賢治全集」と「柳田國雄全集」を買わずばなるまい。
 しかし、なんだか...
 一番気に掛かっているは、未だにこう言う対談で「科学と宗教は対立しない」と言 ったことが話題に上ることなのです。
 この20世紀末に科学と宗教の対立と言う構図も無いと思うのですけどね。
 私などはかなり前に「もう解決済み」の問題として話題にもならないと思っている のですけどねえ。
 皆さんはどう思いますか?

「キューポラのある街」
監督:浦山桐郎
脚本:今村昌平/浦山桐郎
出演:吉永小百合、浜田光夫
昭和37年日活株式会社製作配給
 1B/V3のかな漢字変換は“よしながさゆり”を一発で“吉永小百合”と変換し やがった!これだから嫌なんだよな。まったく(笑)
 LDではありません。ビデオテープです。
 まだ、日本で「朝鮮」と言う言葉が差別用語として生きていた古い時代の話です( 大笑)。あと、「南朝」「北朝」と言っていた時代でもありました。
「貧乏人が高校に行けないのはおかしい」と吉永小百合が言っていたのは今でも同じ ですね。ただし、今は大学ですけど。憲法に保証された教育の機会均等はどうなった のでしょう?
 日立製作所で働く「トランジスタガール」が出てきたのも時代を感じさせます。
 そうそう、中学の先生(吉永小百合は中学生と言う設定)で加藤武が出ていました。
 ストーリー的には古さを感じさせないです。このような映画を出来が良いと言うの でしょう。
 それにしても厳しいくらいに社会派(この言葉も死語ですよね)の映画なのですね 、私は“一番かわいい”と評価の高い吉永小百合を見たくてこのビデオを手に入れた のですが(笑)
 確かにかわいい。小百合ちゃん(岩井小百合ではない)は本当にかわいいです。

 いやあ、この映画は良いです。もし、街で見かけたら必ず買うように。


***ロードテスト***
「Art Pad」
 なんとなく欲しかったので昨年末購入したものです。
 95で使用していたのですが、便利です。マウスより好きかも知れません。
 何といっても、ポインティングデバイスを持ったままキーを打とうと思えば打てる と言うのが良いですね。
 また、手書きでメモ(絵のメモ)が取れるのが良いかも知れない。
 絶対座標と言うのも慣れると良いものですね。
 絶対座標は慣れるまでが大変なのですけど。マウスのつもりでついペンを行ったり 来たりさせてしまいます。もちろん、ポインタは進まずに行ったり来たりするだけな のです。
 一瞬「へっ?」と思ってから「そうだった」と思い出すと言うことを数回どころか 毎回くり返して慣れるのです。場合によって、マウスも使ったりしますからさらに混 乱は深まるばかりです(笑)

 ところが、1月末になって意外な使い道があることがわかりました。実は1Bでこ のArt Padが利用できるのです。そんなことは常識だと言う噂もあるのですが、今まで 知りませんでした。
 まあ、今この原稿を書いているレッツノートミニにはトラックボールが付いている ので必要ないのですけど。
 TRONキーボードがあれば問題ないのですが。

 結論としては、「絵を描かない人間が使うには値段が高すぎる」と言ったところで しょうか。

−編集後記−
 発行ギリギリになって「キューポラのある街」を見ることができました。
 話は変わりますが、伴奉天さんへの伝言です。
「うさぎのきょうだい」は次の作品集に収録されていました。
「福袋」
ふくやまけいこ著
コミックボックス別冊(雑誌03960−10)
 この中に納められている「月の砂漠」は良いおはなしです。
 何だか今回も内容が無い「日乃出堂通信」に成ってしまいましたが、これは今後と も続きますからよろしく。
(ひ)

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* 日乃出堂通信 Vol.32 1998年2月28日発行    *
* 発行:日乃出堂                *
* e-mail:hig@fat.coara.or.jp          *
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