日乃出堂通信 Vol.33

 今年は春が早いそうです。また、九州近海の黒潮の流れも例年とは少し違っていて 普段この時期には取れないような魚が多く網にかかってるそうです。エルニーニョの 影響なのでしょう。
 でも、こちらは相変わらずの日乃出堂通信です。

*** 今月のおたより ***
「日乃出堂通信32号の感想」
 今回は短かったですね。すぐに読み終わってしまいました。
 私としてはもっと読者の感想が知りたいと感じています。こんな投稿内容で良いの か、それとももっと違う何かを期待しているのか。「日通」は特定の専門誌というわ けではないようなので好き勝手に書いていますが、これで良いのかなあ?と、時々疑 問を持っていますので。

 「福袋」にて「うさぎのきょうだい」を確認しました。
 読み返していると、いつのまにか台詞の間がアニメと同じになっているのに気づか されます。「へのへの」を読んでも「夏の秘密」を読んでも同様ですから、一度アニ メ化(というか音声化)されると、それが基本になってしまうものなのですね。
                     (兵庫”次号はいつ出るの?”伴奉天)

「寄生虫館物語」(ネスコ・亀谷了)
 発売は1994年と結構古いです。
 目黒と言えば、今まではサンマが思い浮かんでいたのですが、今では寄生虫館も思 い浮かぶようになりました。
 この本を読むと、如何に著者が寄生虫を愛しているかが伝わってくるようです。
 寄生虫の種類や人間に迷入したときの症状も何となくわかりましたし。もっともこ の方面の知識はもう少しいろいろと読みたいと思っています。
 とはいえ、この本を読んで今までよく私は寄生虫症に罹らなかったものだと思わさ れました。川魚も良く食べていましたし、この本の中で紹介されている”おぼろ汁” も食べていましたから。もっとも生食さえしなければ大丈夫のようですけどね。
 まだまだ寄生虫に関しては知ることが多いと感じさせられた一冊でした。
 ところで、日本海裂頭条虫を利用したダイエット法(パラサイト・ダイエット)が あるとどこかで聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうかねえ?
                 (兵庫”目黒寄生虫館へ行ってみたい”伴奉天)

「ニッツウ32号に関して」
 なんだか量が少ないです。それでも必ず原稿を送ってくれる奇特な人がいるものな のですね。
 NPさんは「ブッダの夢」に結構影響されているみたいです。「ブッダの夢」に紹 介されていた本を数冊手に入れようとしていました。ニッツウ33号にも「ブッダの 夢」の話題が出てます。
 で、私はと言うと「妖怪まんだら−水木しげるの世界−」(別冊家庭画報)と言う 本を手に入れました。
 京極夏彦、小松和彦、水木しげる×中沢新一の対談と某「怪」と、同じ様な顔ぶれ です。
 一瞬「内容も同じなのでは?」と危惧しましたがだいじょうぶでした。
 妖怪漫画家と宗教学者の対談、それに妖怪学などといういかがわしい話をする文化 人類学者。私も相変わらずいかがわしい人が好きなようです。
 特に一度チベット仏教に帰依して修行の過程で神秘体験をしている中沢新一と水木 しげるの対談はおもしろかったです。
 その対談の中で出てきた「三次が古代日本の霊的首都」であったと言う話は三次に ツーリングに行こうかと思わされました。ついでに境港にも行きたいかも。


*** いもほり日記 by NP ***
「一日江戸人」
杉浦向日子著
小学館文庫|小学館
 ま、題名と著者から内容は推して知るべし。と言ったところです。
 この人の江戸ものは簡単で好きです。
 やはり一度深川江戸資料館に行ってみたいです。
 それにしても江戸の庶民(それも所帯持ちで)は一月に8〜10日働けば良いと言 うのがうらやましいですな。
 購入時には気がつかなかったのですが、解説は私が贔屓にしている近世文学の田中 優子教授が書かれています。

「ゴジラ対ビオランテ」
大森一樹監督
東宝映画製作
“勝ったほうが人類最大の敵になる”はずだったのですが(笑)
 ストーリーが一般公募だっただけあっておそらく新シリーズでは一番おもしろい作 品だと思います。
 沢口靖子は良い役だよね。小高−九楽あすか−恵美もこの作品でゴジラ女優が確定 したようなものです。
 そうは言っても所詮新作ゴジラシリーズでありLDを購入するほどではないと思っ ていたのですが。
 なぜ今更LDを買ったかと言えば、メーリングリストでも書いたように、この映画 に自衛隊員で「スーパーX2」の運転手として出てくる鈴木京香が見てみたかったの です(笑)
 改めて見直してみるとラストシーンは良いと思ってしまいました。
「いつから私はこんなLD買うようになってしまったのでしょう?」
 そう言いながら今は久しぶりに「ああっ女神さまっ」を見ています。
「ゴジラ対ビオランテ」よりずーっと出来が良いですね。(あたりまえか)

「神話学入門」
大林太良著
中公新書|中央公論社
 この本は「ハワイ・南太平洋の神話」(中公新書)と言う本のなかで紹介されてい たので購入したのですが今まで放っていたものです。
 安直に「入門」しようと思って購入したのですが、「神話学」なんぞに安直な道は 無いと言うのを実感させられただけでした。
 この本には「さわり」以前のことしか書いてません。しょうがないですよね。「神 話学」って言うのは、その名前を聞いただけで奥が深すぎますからね。
 第一、研究者の名前や難しい部族の名前などがたくさん出てくるので私のような記 憶力に難のある人間にはつらいです。
 しかし、この本でもいろいろわかったことはあります。
 農耕民族では「死の起源神話」が(宇宙・人類の)起源神話より先の場合があった とか「死の起源」に多くの場合、“性交(生殖)”が深く関わっているとかの内容です。
 この話は「日乃出堂通信32号」で書いた「ブッダの夢」にも出てきたような気が します。
 この問題は結構興味をそそります。
 で、疑問に思ったのは「ブッダの夢」に書いてあったような「語られない神話」つ まり“真に神聖な神話”と言うものが伝承されている場合に、民族学者はどうするの か?ということでした。
 次はこの人の書いた「日本神話の起源」(角川書店|昭和36年刊)を読みたいです。
 この本にも外国の「神話学」を確立した著名な研究者の基本テクストがたくさん出 てきますが、さすがにそこまでは読む気はしないです。
 ところで、この本の中に書いてましたけど、「神話学」は民族学、民俗学そして文 化人類学の知識を集大成して成り立つものだそうです。それを成しえる個人と言うの は現実には存在できませんよね。無茶を書くものだと思いました。
 それをする学者というのは「フィールドワークを行わず(行っている暇があるとは とうてい思えない)、アカデミーの中で文献のみに頼って研究する」ような人で、そ んな学者が一生かかって書き上げる一本の論文だけが「神話学」になってしまうので しょう。
 果たしてそう言う研究が研究として認められるのか?と言う疑問につながってしま います。
 でもね、あたしゃ、「神話」と言っても“呪的逃走”くらいしか知らないですから ねえ。まず、日本神話...所謂記紀神話からして良く知らないですからだめですよね。  根がマンガから入ってますから(笑)

「さすらいのスターウルフ」
エドモンド・ハミルトン著
野田昌宏訳
ハヤカワSF文庫|早川書房
 そう、ハヤカワSF文庫の記念すべき第1作です。いまだに“SF1”の文字が背 表紙に光ります。
 恥ずかしいことに今まで読んだことがありませんでした。ハミルトンは「キャプテ ンフューチャー」しか知りません。
 さすがハミルトンで野田大元帥と言うべきでしょう。おもしろかったです。思わず 翌日の会社を無視して読んでしまいました。(と言っても会社にはちゃんと行きまし たけどね)
 ところで、“大元帥”と言うのは日本の歴史が始まって以来たったの3人しかおら れないのですよね。その内一人はお隠れになられる際には大元帥ではなくなられてたし。
 そういえば、「バブルの崩壊」も「金融不祥事発覚」も平成に成ってからですよね。  現人神としての力を受け継がれなかったのでしょうか?
 周の時代、天子は南面するだけで天下は平定したと伝えられますが、そのようなお 力を持たれていたはずなのですが。って、そんなことあるかい!銀行は倒産するわ、 勝てない戦争をするわ。
 だいたいが、外国の軍艦に脅かされて開国した國ですからねえ。今の「この国のか たち」はやはり外圧によって形作られたものなのでしょう。だからやっぱり「外圧」 でしか国が変わらないのでしょうか?
 ところで、いまだに朝日新聞はずれていると言うのを感じてしまいました。
 やっぱりスペオペは良いですね。SF的小道具も楽しいです。ハイパードライブは 当然のこととして、我々のものとは異なった周期表を持つ宇宙とか、わくわくさせて もらえます。
 久しぶりに「続きを読みたい」と思った作品です。

*** 明石海峡大橋 ***
 4月3日、前日は深夜残業だったため早い時間に会社を出る。さすがに疲れていた ので一度はダイアモンドフェリーの乗り場を通りすぎようと思いました。でも、思い 直してフェリー乗り場へ。恐る恐る「予約がないですが...」と聞いてみると十分 乗れることがわかる。関西在住の友人にフェリーに乗ることを連絡。
 旅客が多いのか少ないのかわかりません。でも、2等和室は定員いっぱいの24名。
 高いのはわかっていましたがフェリーの食堂で夕食。食事を済ませてちょっと本を 読む。が、さすがに昨夜ほとんど寝ていないのが効いたのでしょう、20時過ぎには 寝てしまいました。
 でも、あの船室に24名はきついですね。人一人がやっと横になれる大きさのマッ トの上で起きると体が痛い。
 4日朝六甲アイランドに上陸。船着き場でメールを確認すると3日連絡した友人か らのメールがある。電話してみるとなぜか電話が呼び出しを続けるだけ。留守電は?
 諦めて出発。
 明石海峡フェリーは橋が開通するとなくなると言うことだったので混雑している可 能性があったので須磨からのフェリーに乗ろうと思ったのですが。明石側からの橋を 見たくて結局明石へ。
 とつぜん目の前に現れる明石海峡大橋。大橋の名前に恥じない物件です。
 4輪車は1時間30分待ち。
 加藤氏のレポートにあった休止になるフェリーは私が乗るのとは別の会社のものの ようです。私が乗ったフェリーは4月6日から新ダイヤ、新料金になるそうです。  船上から見上げる明石海峡大橋もすばらしい。
 フェリーは淡路島の岩屋港と言うところに接岸。
 加藤氏のメールで国道28線が通りにくいと言うことだったので西回りの県道を一 路大鳴門橋へ。
 途中「北淡町震災記念公園 野島断層保存館」というところに寄った。
 まあ、読んで字のとおりの場所なのです。断層に屋根をかけて風化しないようにし ています。
 表面を見せているところはなんとなく「作ったもの」的に見えます。もしかすると 地面に樹脂か何かを流しこんでいるかも知れません。
 地面を掘り下げて断層面を展示しているところがおもしろかったです。
 それよりおもしろかったのが、その保存館の隣の家の塀がいまだに修理されずに断 層の上下左右のズレがよくわかるところです。もしかするとこれもわざと残している のかも知れませんが。でも家そのものが使っている雰囲気がありませんでした。
 県道を南下していて見つけたのが「地下喫茶」なるお店です。
 海に面した崖の上に入口があって「地下喫茶」と書いてあったのです。
 後の行程を考えていて寄らなかったのですが、もしかするともったいなかったかも しれませんね。関西方面に住んでいる人は一度行ってレポート送ってください。
 無事大鳴門橋を越えて鳴門インターで降りました。
 そこから今回の目的のもう一つ、「讃岐うどん」を食べに国道11号を一路高松へ。
 2つのお店で食べたのですが、結論から言うと「わざわざ食べに出かけるほどのも のではなかった」といったところです。雑誌で読んだ「カトキチの冷凍うどん」で十 分だと感じました。
 さらに松山に向かって国道11号を走る。カトキチの工場が国道沿いにあるのですね。
 走り始めると停まらないのがつらいところ、3時間半以上走り続けでついに私の気 力も尽きて新居浜近くの峠の喫茶店へ。実はその前からどこかで一服しようと思って いたのですが、なぜか喫茶店が道の右側ばかり。モスバーガーも右側。何か理由があ るのでしょうかねえ?
 休んだ喫茶店で「ここから先11号は松山に向かって混雑する」と言う情報で悩み 始める。結局新居浜から松山自動車道に乗ってしまいました。途中石鎚SAでおみや げを購入。この時点でかなり疲れてました。ハンドルに体重を載せていたのでわかり ました。
 で、走りながら「やっぱり疲れたときには温泉。そだ道後温泉に入ろう」と思った のが間違い。
 松山の市街地は混んでいるなんてものではなかった。
 道後温泉本館から出るとすでに19時。外は暗くなっていました。
 56号から378号へ。378号への曲がり角を一度間違って途中で引き返しました。
 その時点では夕食はまだでした。300番台の国道の途中で食べられるわけなかっ たのですが、疲れていたのでしょう気がつきませんでした。
 その上、峠越えがありました。300番台の国道で峠越え。「夜一人では走りたく ない」ようなところを走ってしまいました。
 2140時頃三崎に到着。国道九四フェリーは2130時出港でした。次のフェリ ーは2330時とのこと。三崎にはコンビニもファミレスもありません。お腹空いた 。缶コーヒーで糖分を補給してがまん。
 国道九四フェリーの隣のフェリーが出た後で、それが別府行きであったことが判明 。残念。
 船中で1時間ほど眠ると何となく元気が出てきました。
 帰りに大道バイパスの「吉野家」で遅い夕食。家に帰りついたのは3時過ぎてました。
 総走行距離は450Kmを越えてしまいました。
 久しぶりの長距離ツーリングでしたが、楽しかったです。それ以上に疲れましたが (笑)
 次回はライトアップされた明石海峡大橋を観たいです。

 やっぱ、ZZ−Rは高速道路を走るための単車ですね。

−編集後記−
 33号も月末には間に合いませんでした。ま、良いでしょう。
 相変わらず週末は夜中まで起きていて日曜日は昼過ぎ、時には夕方まで寝ている生 活です。
 しかし、いよいよ春です。免許があって、車をもっていない人はすぐに単車を買い ましょう。黄金週間は車でいっぱいの九州横断道路を走りましょう。もちろん、宿は とれないでしょうから宿泊は敷戸橋ですが。

**************************
*                        *
* 日乃出堂通信 Vol.33 1998年3月31日発行    *
* 発行:日乃出堂                *
* e-mail:hig@fat.coara.or.jp          *
*                        *
**************************


PAGE TOPNEXT PAGETOP PAGE