photo diary
2005年1月24日  「 恥ずかしながらお答え申し候 」
24日の掲示板に、ぷかちん@ユキノさんからお尋ねが入った。
「今年の卒業式と入学式に色無地の着物で行きたい。イメージは『黒羽織(黒紋付)』だけど、
 手持ちは色物の羽織。どこまで許されるだろーか。『こんなのもアリよ』があれば教えてほしい」
要約するとこーなる。味気ねぇ〜(笑)。
原文はもっと母親としての気持のあふれる切々としたもので、「黒羽織」という言葉にくすぐられた。
そーよなぁ、ウチらが子どもの頃は、こーゆーお式には黒紋付のおかーちゃんらがいっぱいいた。
けど、今はほとんど見かけない。「今日はアンタが主人公ぢゃなかろー!!」と言いたくなるよなママまでいる。
そんな自分の目で見てきたことと、本からの受け売りをアテにならない回答として書かせてもらった。
ぷかちん@ユキノさん、当日は色無地をお召しの予定だそーで、帯の心配もなさってたけど、一つ紋の
色無地ならば織りの名古屋帯でもいいこと、色無地自体が略礼装にあたり、羽織はお手持ちの色物の
お品でもよさそうなことも付記しといた。こりゃ私も勉強になった(笑)。
 
…で、自分がどんな姿で参列したか書かないのはズルイよーな気がして、「こんなのもアリよ」の一例
として載せることにした。三年前の息子の高校の卒業式。
小紋は“嫁入り”などまだ全く親の頭になかった
高校時代に、宮津の里親が誂えてくれたもの。
共布の草履つき。
色が好みではないけど、茶屋辻の中に洗い張り
してる布だの稲刈り後の藁を積んだトコだの、
の〜んびりしてて見てる分には退屈しない。
これも未だに現役、去年も12月に着てる。
 
帯は色飛びしちまってるけど、有栖川文。
帯締は古ぅぅぅい友人が贈ってくれた品。
 
もっと地味とゆーか無難とゆーか、そんな小紋も
あったし、色無地でも良かったんだけど、この日
はこの組み合わせが一番いいだろと思ったのは、
どれもが息子を大事に、私を大事に思ってくれた
人達がこしらえてくれた品だったから。
皆で一緒に彼の卒業を見届けたかった。
「こんなのもアリよ」っつーか、「こんなのでいいのか??」と言われそ〜。
いいのだ、これでっ。難を探せばあるにせよ(汗)。
色無地の羽織に一つ紋。実家の「下がり藤」の染め抜き・日向紋。
も〜、見るからに、「嫁入り前からぼちぼち準備してました」な色と紋。
(「片付き先が決まる前からぼちぼちしとかんと、いっぺんにできます
 かいな。お大尽ちゃうのんゑ」と親は言いたかっただろー)
縮緬で地模様は雲の中に青海波や紗綾形、亀甲、松竹梅なんか。
お大尽に嫁げば、この羽織も5年くらいでお役御免だったろーけど、
四十路過ぎても現役とは…。ん〜、深く考えまい。
“その日”に対する思い入れは、人それぞれだと思う。
私はこの当時、既に養父母も里親も実母も亡くなっており、息子の卒業写真ひとつ見せることが
かなわなかった。んなもんで、半分はばーさん達への感謝の意味もある。
「日頃はウールや化繊に割烹着、晴れの日くらいは…」とおっしゃるぷかちん@ユキノさんの気持、
黒羽織へのこだわりは、母親らしくて素敵だと思った。
割烹着で走り回るおかーちゃん、かっこいい。で、晴れの日にはきばるおかーちゃん、きれい。
決まりごとを言い出せばキリがない。祝う気持と嬉しさの表れなら、多少のことは許されるんぢゃ
なかろーか。
 
ついで…っちゃーなんだけど、もっとさかのぼってお祝いごとの写真を探してたら、何枚か出てきた。
これは去年の息子の専門学校の卒業式の日。
…といっても、私は参列したわけではない。
このしばらく後に、『ハズカシイおべべの会』なんて
のをやる予定があり、柔らか物の着付けの稽古の
つもりだったもんで、足元は普段の下駄履き。
一つ紋訪問着。
 
 
この日は息子の最後の卒業式だったけど、私に
とっても二十年続いた“保護者”の肩書きからの
卒業だった。
自分への「ご苦労さんでした」の意味もこめて。
 
言うほど何もしてない親ではあるが…。
親稼業はまだまだ続くが…。
 
親はなくとも子は育つ。
コワレタハハでも子は育つ。
                       んむぅ〜。
← 幼稚園の卒園式
羽織は上のと同じ物。
訪問着と帯は…、着付け教室のお誘
いで行った展示会で、アワアワ言ってる
間にローンを組まされ、へそくりが底
をついたイワクつき。
色は無難で刺繍もきれいだけど、そ
の時のことを思い出してしまい、ほと
んど着用してない。
 
七五三@息子五歳→
友人の息子さんと同い年で、袴だけ
レンタル、羽織は自前で同日決行。
午前はあちらのお宅で母子の着付け、
午後から髪のセットと自分ち二人の
着付けと修羅場。
安上がりにすんだ分、両家で外に夕
食に出られた(笑)。一つ紋色無地。
おまけ…っつーか
卒業式なんかの話が掲示板で賑わううちに、帯締
の話にもなり、これまた奥が深い。
…目下、よくわからないのは、上と右の帯締の名。
どちらも金糸・銀糸が入った略礼装用。
買った時は「丸組の冠」と言われ、たしかにそう出
てる本もあるけど、調べてみると「網代」「四つ打」、
いろんな名前のに似てる。
「冠」は平組と断定してるところもあるし…。
どなたか正しい名前をご存じないでせうか。
上の2本は「高麗」…だろーな(汗)。
左は裏がまっ金金、梅と松ぼっくりで略礼装用。
けど、硬いわ柄はちゃんと出ないわ、ほとんど
締めない。右の矢羽根は柔らかくていい。
 
右は一般的に「冠」と呼ばれる物だろー。
(あー、どんどん自信なくなってくぜ)
手組みでどちらも使いやすい。
上の卒園式と七五三に締めた袋帯。この写真は去年の元旦。
私は時計回りと反対(左回り)に帯を巻くんで、この青みがかった方が腹にくるけど、
七五三の時は右回りに巻いて、茶系の柄の多い所を出してるみたい。
いつまでたっても、わからないことだらけ。恥かきながら覚えてこー。
2005年1月25日  「 薮入りごっこ 」
薮入りは16日、とぉーに過ぎましたが、やれ「ハナミズが垂れる」ぢゃ「腹が痛い」ぢゃで、
よーよー25日にねえや見習い粂さんとばあやの私、薮入りでございます。
そして、薮入りといえば…。
で、ございますっっっ。
銘仙
♪ねえやとばあやの
  いっちょーら〜
 
  ピカピカ ドンドン
  テカテカ ドンドン
 
  お里の土産も
  買いました〜
粂さん
ばあやも「酉」もの。
ゐゑ、示し合わせたわけぢゃござんせんのよ。
まさか粂さんも「酉」ものとは…(嫉妬)。
 
大好きな「バッタバッタ飛翔鶴銘仙」だけど…。
風邪薬を飲みすぎたのか、なんだかラリってる
みたいでござんすね。
トリ VS トリ  熾烈な女の戦い
「ちっと小腹が空きました。お里へ帰る前に、なんぞ少しいただきませう」
「しろめし。しろめしがあれば、他に何もいりませぬ」
「白飯だけ食わせてくれる所など、ありませぬわぁ〜っ」
うろうろと「しろめし」を求め、壁面ブタさんだらけの中華屋さんに入りました。
「ばあやさん、お風邪の時はねぎがよろしゅー
  ございます。ねぎラーメンなどいかが」
「そーね…。黒ごま担担麺っ」
先週、テレビでやってましたのよ、気になって
仕方ないったら…。
「このブタさんの福々しいこと」
「ほんに、身体も丈夫そーで、ウチのぼうにも
 こんな嫁が来てくれたら、どんなによいか」
「ついでに和裁もできて…」
「洗い張りもできて…」
「季節の変わり目には『お義母さん、そろそろ
 解きませうか』などと…」
「妙〜に伸子張りがうまかったりなんぞして…」
「単衣が袷に、袷が単衣に、一日で縫い上げ
 ちまって、おべべ一枚で一年楽しめる…」
「…おほほほ」
「…おほほほ」
「欲は言わぬわ、そんな嫁御がほしいわいな」
 
今のご時世、これをと言わずして何が欲か。
それにしても粂さん、着姿写真のお顔は、「恥ずかしゅーございます」と拒まれるのに、
「しろめしの顔」は全く平気とゆーのは、どーゆーことでございませう。常々、不思議な
ばあやでございます…。
あまりの光沢に色修正できぬほど色はじきしておりますが、もっと濃ゆぅいお色目のおべべに、
さりげに干支の「酉」が入っておりまする。
この生地のまったり具合、どちらも戦前のお品でせうな。じゅるる…。
粂さん、似合いすぎ。「昭和3*年生まれ」とおっしゃってるけど、「明治3*年」に違いない…。
2005年1月29日  「 しんねん…かい?? 」
「新年会」にしちゃ、ちょっと遅いな。今年最初のはるちゃんとの待ち合わせ。
おべべの話ははずむものの、宮津の街の近況報告となると考えさせられることが多い。
私はこの前日、ヤフーニュースでまだ小学校の校庭の泥(あの台風23号のよ)がそのままになってる
ことを知って愕然としたけど、はるちゃんの話では山手の市民グラウンドには廃棄された家財道具が
そのままで、一つの市では対処しきれないこと、行政も精一杯やってることなんかを聞かされた。
中越も地震の災禍に加えて、今年は豪雪で大変だわな…。
 
…なんてぇことを話してると、しょげぇ〜っとなっちまって、「ちょっとぶらぶらしてみよか」と地下街を散策。
普段はしゃべってることの方が多いけど(…あのカラオケは例外でした・汗)、女同士で雑貨屋なんかを
冷やかしてると楽しい。いつも買い物の連れは無粋な男ゆえ…。
二人とも地下街には疎くて、「ここ、どこ…??」で地上に出たら、こんなモノがあった。
♪ぞ〜うさん ぞ〜うさん
  お〜はなが ながいのね
 
♪そーよ、ふさがれると
  くーるしいのよ゛ぉぉぉぉ
 
 
やーね、「銅像いぢめのとーかちゃん」を
知らないの??
「私は普通やから、
 普通に撮ってよ」
 
どきっ。
ごっつプレッシャーやで。
 
 
 
この灰色の塵除け、会津木綿
の万筋やったかな。
前に一緒に生地を見に行って、
私もええなあと思ったお品。
この羽織は某さまから譲られた品。
「袖が少し合わないので、いかが」とのこと。
えへえへ、そんなことはちぃーっとも気にしない私、
有り難〜く…。
錦紗かな、柔らかくてしっとりして気持いいこと。
古着はいっぱいあるくせに、錦紗は初めて(笑)。
 
羽裏が表のはんなりした柄と打って変わって、
おたふくさん。ツ、ツボでんがな。
またつぶやいてしまふ。
「こんな福々しい嫁が来てくれたら…」
 
2005年1月31日  「 はじめまして 」
えー、この写真を覚えてらっしゃいますでせうか。
丁度一年ほど前、「某雑誌に載ったワタシ」として
アップしたものでございます。
取材はその前々年の秋、すっかり忘れておりました。
 
「この写真は藤佳さんではありませんか」
とメールをくださった方アリ。
慌ててその雑誌を買い…。ぐへへ、私やん。
 
教えてくださったのは、KINUさんとおっしゃる方。
ROMの方からメールをいただくことは珍しく、
その後もちょこちょこメールのやり取りがあり、
ついにこの日、初めてお目にかかることとなった
のでありました。ドキドキワクワク。
初対面、二人とも何を着ていこーと迷いに迷ったあげく、「寒そうだし、あったかくしませう」で(笑)、
私は“出会い”のきっかけとなった、上の写真の縫い取りお召にぼてぼての絞りの羽織。
はじめまして
KINUでございます
 
 
おー、約束の場所で静かに文庫本を開き、
そこに座っておられたのは、牡丹の如く華の
あるマダァムなのであった。
き、き、緊張するぜ…。私もマダァムのフリくらいするか、
アカン、このコワレキャラはバレてる…。
 
まずは遅めのランチ。
「私、汁物は飛ばすから、海老チャーハン」
ごほほ、この一言ですっかり打ち解けてしまった。
こーなるとお定まりの、
大阪のおばちゃん二人、怒涛のトーク炸裂。
 
話題は着物に始まりパソコンのこと、子どものこと、
家庭の在り方まで、多岐に渡って興味が尽きない。
KINUさんは私より少しだけ(強調) おねえさんで、
堅実な大人の女性って感じがした。
…けど、むちゃくちゃ面白い人でもある(笑)。
とにかく寒い日で、KINUさんも予定されてたお召し物が
やや薄いものだったそーで、こちらのほっこりとした紬
に変更された。渋ぅいのに赤が効いてええなぁ。
コートはよーーーく見ると、細かい猫ちゃん柄!!
子どもさんの半纏を仕立て直されたお品。
猫好きさんにはタマランやろ〜(笑)。
私はよくこのお店を利用するけど、
いつも壁を背に座るんで、そこに
こんなエロい絵が描かれていると
知らなかった。
変態とーか、不覚なり。
記念撮影。適度に手ブレ(笑)。
この写真だけアップしたら、まるで
ラブホ♪のよーだ。
(なんでそんなこと知ってる…)
 
お店自体はいたって健全であるっ。
おしゃべりに夢中で予定の時間をはるかにオーバー。
KINUさん、楽しいひとときを有り難うございました。
また暖かくなったら、この日拝見しそびれたお召し物で遊んでくださいまし。
雪輪の縫い取りお召。
二月に入ると春らしい装いもしたいし、
睦月晦日にはふさわしいと自己満足。
深緑の雪輪も入ってるんですけど〜、
ほとんどわかりませんな。
買った頃はもっと金泥・銀泥も鮮やか
だったのに、見る影もないっちゅーか。
それでもお気に入りの一品。
 
…やったら、こーゆーアホなことせんと
気取ってたらええねん、ほんまに…。
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