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私のレールへの興味はここから始まったと言っても過言ではない,「ポイント」のお話です。
線路を分岐させたり交差させたりする場合,車輪にフランジという出っ張ったふちがあるため単純な構造では済みません。しかし,それゆえに実に工学的な美しさをもっている機構と言えると思います。
なお,タイトルにあるように,正式には「分岐」と「交差」は分けて考えられておりますが,両方の機能を兼ね備えているものもあるのでここではまとめて「分岐」として扱っています。

↓分岐器の構造はこのページ 分岐器の種類はこちらへ→



分岐器の構造
現在国内でもっとも多く使用されている標準的な分岐器・「片開き分岐器」を例にその構造を見てみましょう。

秋田県・大館駅

●構造
分岐器は図のようにポイント部,リード部,クロッシング部の3つの部分から成り立っています。一般的には分岐器=ポイントという言われ方をしますが,正式には「ポイント」とはこの方向切替のための可動する一部分を指します。

片開き分岐器

●ポイント部
トングレール ポイント部は列車の進行方向を決定する役目を持つ,分岐器の中心的存在です。上図では列車は直線方向であるAからB,またはBからAに進行しますが,AからC方向に分岐させるためにはこのトングレールを切り替えます。これによって進行方向右側の車輪のフランジがトングレールに誘導され,列車は分岐側であるC方向に向かうわけです。

ポイント
ングレールはナイフエッジ状に加工された一組の可動レールです。一般的なポイントは,上図のようにトングレールとリードレールをポイント後端継ぎ目でつないだ構造となっており普通先端ポイントと呼びます。しかし近年は,この継ぎ目が列車の高速化の妨げになってきました。そこで本線等では,トングレールとリードレールを1本化し,レールのたわみを利用して切り替える弾性先端ポイントが主流になりつつあります。


線路脇に置かれたトングレール
また,鈍端(後端)ポイント(右図)というものもあるそうですが,速度特性等が大きく劣るため国内では見られません。

鈍端ポイント
通常,ポイントは電動もしくは手動で意図的に切り替えますが,単線のローカル線の行き違い部分等ではこの操作を不要にしたスプリングポイントと いうものが使用されています。これは,スプリングの力によってポイントを常時A→Bに固定しておくことでA方向から来た列車はB方向に進行させ,C方向か ら来た列車は車輪のフランジでトングレールを押しのけて進行させるものです。首都圏では単線である江ノ島電鉄線等が採用しています。

スプリングポイント
スプリングポイント・首都圏のおすすめな見どころ
●江ノ島電鉄線・長谷駅側近の踏切,江ノ島駅側近の踏切
●都電荒川線の一部(大塚駅がおすすめ)

●クロッシング部
車輪のフランジが通る道筋(フランジウェイと呼ぶ)が交差する部分です。ノーズ(鼻端ともいう)とウィングレール(翼レールともいう)で構成されおり,分岐器において列車の通過速度や脱線安全性に大きく影響する部分でもあります。

クロッシング
ノーズ(鼻端)のなす角度θをクロッシング角と いいます。これは,分岐器の分岐側(A→C)への列車通過速度を決める重要な要素で,公式・n=1/2×cotθ/2で求められた番数=nで示されます。 数字が大きいほど浅い角度となり高速での通過が可能です。一般的には#8(7゜09′)から#20(2゜52′)のものが多く使用され,本線上では分岐側 制限速度が45km/hの#12以上が使用されています。
では,この角度が浅ければ浅いほどいいかというとそうでもありません。分岐器自体が長大になることはもちろんですが,異線進入(下図)という重大な問題も抱えてしまいます。これはノーズが鋭いため,本来進行したい方向ではない方向のフランジウェイに誤って車輪が進入してしまう現象をいいます。当然列車は脱線してしまいます。これを防止するために,クロッシングの反対側のレールにはガードレールが設けられています。クロッシング側の車輪が異線進入しようとすると反対側の車輪がガードレールに当たって脱線を防ぐわけです。
異線進入
しかし,現代の高速鉄道では通過速度アップのためにクロッシング角はどんどん低くなってきており,これだけではまだ不十分になってしまいました。そこで考えられたのがノーズ可動クロッシング(下 図)です。ポイントの切替に連動してノーズ部分も動かし,異線へのフランジウェイを封鎖してしまおうというクロッシングで,首都圏では新幹線,京浜急行線 で採用されています。その後、小田急線の一部の駅でも試験導入されましたが、これは通過速度アップではなくクロッシング通過時の騒音軽減が目的だそうで す。残念ながら現在では撤去されています。
また,上越新幹線・高崎駅付近では長野行新幹線の分岐にこのノーズ可動クロッシングによる#38という大変浅い角度の新型分岐器が導入されています。これは分岐側へ160km/hで進入することが可能です。その後、都心と成田空港を結ぶ東武スカイライナーでも導入されました。
ノーズ可動クロッシング

ノーズ可動クロッシング
東海道新幹線
首都圏のおすすめな見どころ
●京浜急行線・生麦駅ホーム

それではこの分岐器の種類を見てみましょう

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