これまでのあらすじ 
ここは京都の虎石町の西側、居並ぶ呉服屋の中に、物語の主人公「長右衛門」が営む帯屋が有ります。
その店先、継母「おとせ」が長右衛門の女房「お絹」を掴まえ、朝に出たっきりの長右衛門のことを口汚く罵っています。養父「繁斎」が諭してもまるで意に介さないおとせは、かつて飯焚き(めしたき)でしたが繁斎の後妻になってからは図々しく振舞い、連れ子の「儀兵衛」ばかり可愛がっているのです。
長右衛門が受取っているはずの為替100両が届かないので、おとせは自分が盗んだ金棚の50両も長右衛門の仕業にしてやろうと儀兵衛と企んでいます。
そこへ沈んだ面持ちの長右衛門が帰ってきました。早速おとせと儀兵衛は100両と50両の件を長右衛門に問いただします。そんなはずはないと金棚を開けると、有るはずの50両が無くなっています。呆然とする長右衛門、繁斎、お絹。
この時ぞとばかりに儀兵衛はお半と長右衛門の仲を暴き立て、お半の恋文を読み始めます。そこでお絹は「恋文の「長様」と云うのは長右衛門ではなく丁稚の長吉のこと」と取り成します。呆れ返って笑いの止まらない儀兵衛が「長吉」を連れ出してきます。
頼みの綱、長吉は上手く芝居を打つことができるでしょうか・・・。
さて、おとせと儀兵衛親子はもうひとつの切り札(100両と50両の金の件)を再び持ち出して長右衛門を責めたてます。しかし繁斎は「長右衛門は一家の主人、たとえ千両まき散らそうとも心得次第」と言い、反対に二人は戒められてしまいます。
家庭内はゴタゴタ続き、すり替えられた刀の詮議の当てもなく、お半は身重、と長右衛門は八方ふさがりです。「いつまでも添うて下さい」とかきくどくお絹に、「為替の100両はお絹の弟の為に使った」と打ち明けますが、お半のことは言い訳が立つはずもなく、ひたすら謝るのが精一杯でした。
長右衛門が疲れ果てて横になっていると、「お半」がそっと忍んで来ます・・・・・・・。
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