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たびたび処分してきたにもかかわらす、 ホコリかぶったり、日に焼けたりしながら 私についてきた金魚のふんみたいな本たちを、 ご紹介して行こうと思います。 清水哲男詩集 スピーチ・バルーン 著者:清水哲男 装幀者:和田誠 発行者:小田久郎 発行所:株式会社思潮社 東京都新宿区市谷砂土原町3-15 印刷所:若葉印刷+秀峰美術印刷 製版所:秀英社+大和写真製版 発行日:1975年10月21日 初版第1刷 定価:1,200円 後退する。 センター・フライを追って、 少年チャーリー・ブラウンが。 ステンゲル時代の選手と同じかたちで。 これは見なれた光景である。 後退する。 背広姿の僕をみとめて、 九十歳の老婆・羽月野かめが。 七十歳のときと同じかたちで。 これも見なれた光景である。 (チャーリー・ブラウンの冒頭部分) なぜ、この詩集を買い求めたんだろう。 清水哲男さんがもちろん詩人であることは知っていいまたが、 編集者としてのバックボーンにした雑誌論や マスコミ論は、読んでいましたが、 詩への関心はまったくありませんでした。 では、なぜ当時の書籍としては安くはない金額を 出してまでこの詩集を買い求めたのだろう。 @詩集名の「スピーチ・バルーン」という書名にひかれた。 Aチャーリ・ブラウンから鉄腕アトムまでの ギャグのスターたちを主人公にしたセンスに 好感と心地よい刺激を受けたこと。 登場するギャグスターは:チャーリ・ブラウン、ブロンディ、 ミッキー・マウス、ポパイ、のらくろ、タンク・タンクロー、 あんみつ姫、フクちゃん、ふしぎな国のプッチャー、 リトル・キング、バット君、スパイ対スパイ、大平原児、 冒険ダン吉、少年王者、恋人たち、赤胴鈴之助、轟先生、 鉄腕アトム。 C詩集の持っている(これは私の持っている偏見かもしれない) 重苦しい感じがなく、和田誠さんのポップ感のある エディトリアルデザインによりとても明るいく感じたこと。 今まであまり寄りつかなかった詩の世界への 入りやすい入り口だと思ったんでしょうね。 でも、取っ付きやすい雰囲気とはうらはらに、 とても手強かった、やっぱり。 でも、紙にインクで印刷された虚構の、 主人公たちひとりひとりが、 肉体をもった隣人として私の隣にちょこっと座っているような そんな気分を味わうことができたように思います。 今でも、ときどき本箱から取り出し 絵本みたいにながめてリしているのですが 詩集に対する接し方としてはどうなんなんだろう。 最新へ戻る © share a gift allrightsre reserved |