目次タイトル


t


t


t


t


t


t


t


t


見出し1


たびたび処分してきたにもかかわらす、
ホコリかぶったり、日に焼けたりしながら
私についてきた金魚のふんみたいな本たちを、
ご紹介して行こうと思います。

横尾忠則遺作集

編集:粟津潔
装本:粟津潔
装本:粟津潔
発行所:株式会社學藝書林 東京都中央区八丁堀2の10
TEL:552-5909 振替:東京10821
印刷:東洋印刷株式会社
製本:和田製本工業株式会社
昭和43年3月15日印刷発行
定価:2,700円


横尾忠則遺作集

この本を手に取るたびに、
「これだから、お金が貯まらなかったはずだよな」と思う。
35年前で、2,700円ですよ。
本は、厚さや重さで判断するのもおかしな話ですが。
厚さは1センチ、サイズはA4、130ページ。
ま、この一冊のせいで、今も貧乏生活を強いられているわけでもないのでしょうが。
時間だけはたっぷりあったけどお金には不自由していた私が、
清水の舞台から本屋のレジへ飛び降りたのは、
横尾さんへの憧れがそうさせたのでしょう。
恥ずかしい話ですが、髪型から着るものまでマネをしていましたっけ。

さて、内容は、横尾氏30歳の時の作品集です。
単なる作品集では面白くないよね、
と言うので横尾氏が若くして亡くなったという、
ちょっとした遊びが仕掛けられた作品集なのです。

横尾2 横尾3

表紙を開くと、お墓での記念写真という体で、花を持った横尾夫人、
寺山修二氏、九条映子夫妻、デザイナーの田中一光氏や
永井一正氏などが、深刻な顔でカメラにおさまっています。
出席できなかった、イラストレーターの和田誠氏と
詩人の高橋睦郎氏は右上に楕円の中での参加。
葬儀の案内状なども印刷されていて、みんな大まじめです。

銭湯のペンキ画風のタブロー、状況劇場、天井桟敷、暗黒舞踊派などのポスター、 話の特集の表紙や挿絵、イラストレーションなどなどが、
カラーやモノクロでごたごたと‥‥。
で、前文というのでしょうか、これも今は亡き、
三島由紀夫という豪華さです。
当時に横尾さんのいきおいを象徴している陣容ですね。
横尾氏の幼児から中学生、高校生の写真、
そしてデザイナーとしての無名時代の作品なども収録。
テキストは、寺山修二氏の横尾忠則論、高橋睦郎氏の年譜、
田中一光氏の人と作品論、和田誠氏の横尾忠則賛歌論などです。
いま、こんなに胸をとどろかせ、身分不相応な買い物ができるかなぁ。
と感度不良の今を嫌悪しながら、
若き日の私を追憶する一冊であります。



最新へ戻る




© share a gift allrightsre reserved