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見出し1


たびたび処分してきたにもかかわらす、
ホコリかぶったり、日に焼けたりしながら
私についてきた金魚のふんみたいな本たちを、
ご紹介して行こうと思います。

父の時代 私の時代
わがエディトリアルデザイン史

著者:堀内誠一
発行:1979年11月20日発行 発行者:吉田公彦
発行所:日本エディタースクール出版部
〒162東京都新宿区市ヶ谷田町1-6
印刷:精興社
製本:牧製本
定価:1,400円


父の時代

袋から出すのもまどろっこしく、読み始める本もあります。
また、買ってきてすぐ読み始めるのはもったいないなと、
本箱にならべ、時折手にしながらまた元へ戻してしまう本もあります。 もちろん、適度な時間を置いて読みはじめる本が大方なのですが。
さて、「父の時代 私の時代」は、二番目の理由だと思います。
でも、23年も前のことなので記憶がはっきりしません。
読了したのが、今年、2003年6月中旬ですから、
ずいぶん長い間、本箱の隅に置いておいたことになります。

「ポパイ」「クロワッサン」「ブルータス」のタイトルロゴやアンアンの
AD、絵本作家としても活躍していた堀内誠一さん自叙伝です。
日本エディタースクール発行の月刊『エディター』誌に
1976年から3年間連載していた「ホーキ星通信」の一部に
手を加えたものだそうで、サイズは四六判です。

「父の時代」「私の時代」の2章に別けられ、
堀内少年の目から見たデザイナーであった父の1930〜40年代の
デザイン界(図案)の様子、仕事ぶりと下町での堀内少年の
日々が描かれています。
外国雑誌とそのスクラップブックにかこまれた父の仕事場。
時代の先端をいっていただろう図案家という仕事も、独立やら、
コンペへの参加など安定とは程遠い不安定な生活が活写されています。
子どもの堀内氏がグングンと才能を発揮し
一人前のデザイナーになっていくのと反比例するよいうに、
身体と同時に意欲の衰えていく父を醒めため文体で淡々と描く
「父の時代」がとてもいい。
この「醒めた」トーンは堀内誠一というデザイナーの仕事の底に
流れていたように思います。

広告の仕事からエディトリアルの仕事へ転換する時期の話なども、
わくわくするような胎動期のエネルギーとそれに翻弄されていく
デザイナーの悩みなど、今よりはずっと政治的な時代だったことが、
デザイン・エディトリアルの世界にも影を落としています。
全体を通して流れる江戸っ子の粋とはまた違った、
ちょっと日本人ばなれした資質は時代のせいなのか、
それとも資質なのでしょうか。

1987年、55歳で下咽頭癌で死去。
センスも技術も失われがちな今、
堀内さんの仕事を見てみたかったと思うのですが、
ちょっとわがままな願望というものでしょう。



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