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見出し1


たびたび処分してきたにもかかわらす、
ホコリかぶったり、日に焼けたりしながら
私についてきた金魚のふんみたいな本たちを、
ご紹介して行こうと思います。


講談 大江戸悪草紙 河内山宗俊
講談 大江戸悪草紙 鼠小僧治郎吉


河内山宗俊:1976年1月6日初版
文:菊池浅次郎
鼠小僧治郎吉1976年3月10日初版
文:上野昴志
監修:寶井馬琴
発行者:増田五郎
編集者:山根貞男
発行所:株式会社白金書房
東京都文京区白山5-36-14白山下中央ビル
印刷:廣済堂印刷株式会社
製本所:廣済堂印刷株式会社
定価680円

構成:杉浦康平+鈴木一誌
絵:林静一

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俺を誰だと訊きなさるか‥‥。
練塀小路に隠れもねえ、お数寄屋坊主の河内山宗俊だア!
善にも強けりゃ悪にもとやら、
俺ら、ご存知天保六花撰の悪党六匹。
義賊なんぞ真ッ平御免!長え浮世に短え命、ままよ
死んでも泣く奴ァいねえ。
孤り東海道の夜をひた走り、大江戸の闇を衝く!

パパンパンパンと合いの手を入れたくなってくる名調子です。
今流行りの声に出して読む本といってもいいでしょう。
これは講談本の新しい形として企画されたのでは‥‥。
当時、映画評論家として活躍していた
山根貞男さんや上野昴志さんたち、
それに構成は、理論派と知られた
グラフィック・デザイナの杉浦康平さんという
ちょっと意表をつく人選です。
また、注目のイラストレーター林静一さんの
起用などからも察しられます。

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新しい感覚の文章とともにビジュアル面を重視して
企画されたシリーズであったのでしょう。
出版された1876年といえば、
ロッキード事件、田中角栄の逮捕など、
権力構造の腐敗への庶民の絶望感が後押しする
風潮があったのかもしれません。
今様にいえばこのメンバーによるコラボレーションは
新感覚のビジュアル本としても
完成度の高い講談本を生みました。
最終ページにある広告のページには、
シリーズ第1弾が、河内山宗俊
シリーズ第2弾が、鼠小僧治郎吉となっており、
第3弾 徳川天一坊(4月初旬発売)、
第4弾 由井正雪(5月中旬発売)と告知されています。
シリーズとしては4冊で完結だったのでしょう。
残念ながら、最初の2冊だけ購入し、
その後、このシリーズへの関心なくなくしたのか
購入しなかったようです。
今となっては4冊揃えて置きたかったと、
この2冊を手にとると悔やまれます。


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