これまでのあらすじ 
油屋の手代「小助」に引き連れられ、丁稚「久松」がこの実家に帰されてきました。
出迎えた娘「おみつ」は嬉しさで気もそぞろですが、小助は「久松が主人の金をちょろまかした、親を出せ」と騒ぎ立てます。実際は油屋の女房の計らいで、久松の証しが立つまで身を預けに来たのです。どうしても犯人に仕立て上げる必要のある小助は二人を無体にも攻め立てます。
そこへ、久松の帰郷を知り、とって帰した親「久作」が割って入り、惜しげもなく大金を与え小助を大阪へ追い返します。
久作には願い事がありました。息子の久松は元々れっきとした武士の跡取りでした。しかし家が断絶し、乳母の兄である久作が、幼い久松を迎え入れ養子にしていたのでした。
もう一人の子おみつは女房の連れ子でしたので、いつかこの二人を夫婦にしたいと願っていたのでした。
これを機に久松の奉公を止めさせることにして、早速祝言の盃を上げる準備にかかります。
しかし、久松は奉公先の娘お染と恋仲でした。思いもよらない成り行きで、喜ぶおみつや久作の気持ちを考えると、久松は本心を打ち明けることが出来ません。
案の定、油屋の娘「お染め」が下女「およし」を伴い久松を追ってきました・・・・・。
これから先、油屋「お勝」の登場までが全段を通してのやま場です。
お染の存在を目の当たりにしたおみつ。愛と義理のはざまに置かれた久松、子の幸せを願う久作の心情・・・・。
話は意外な結末を迎えます。
段切の「船頭」や「駕屋」のチャリ掛かった人形の動きが、暗く落ち込んだ空気を明るくする反面、久作と「おみつ」の哀れを際だたせる演出は秀逸です。
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