2013.7.19
魅惑のボトル:

 2週間ほど前から台所の床に何か袋の様なモノが転がっている。また相方がなにかに凝り出したのだろうか? ウィークデーの忙しさに眼を向ける暇がなかったが、今日はちょっと余裕ができたので現場検証してみたら革袋に入ったお酒のボトルであった。
自分で買った記憶も無いので相方に聞いてみたら、”昔、姉の家から誰も飲まないのでもらってきた” とのこと。つい最近、食品棚を整理していて奥地から発掘されたのだそうだ。
なにやらいわく有りげな革袋の紐を解いてみると、今までリカーショップで眼にした事が無いボトルが出て来た。ラベルはスペイン語なので何のお酒なのか判然としないが、ベネズエラ産で40度ということだけ判った。 ベネズエラと言えば今から14年前に仕事で訪れたことがあったのだが、いきなり記憶が蘇った。自分が親戚、知人へのお道産に買ってきたものだったのである。どういう訳か14年後に自分の手元に還ってきたので、これはきっと酒の神 ”バッカス” の気まぐれに違いないということにして、有り難く味わってみることにした。
 ”今頃はお酢になってるんじゃないの?” と言う相方が早速、iPHONEで検索してくれて、パンペロ アニバサリオというラム酒と判明した次第である。恐る恐る封を切ってコルク栓を抜こうとしたら、ボロッと途中で崩れてしまった。嫌な予感がしてボトルの口に半分沈んだ残りのコルクに慎重にスクリューをねじ込み、ゆっくり抜いてみた。ユルーい感じがまたしても嫌な予感。匂いを嗅いでみると豊潤な香りがしたのでちょっと安心。いよいよグラスに少しだけ注いでみると、奇麗な濃い飴色に期待は再び膨れ上がった。口に含んでみるとほのかな甘味のいい具合。自分ではラム酒を飲んだことがなかったのだが、手間暇かけて作られたモノである事は間違いなさそうだ。
 リカーショップでお酒のボトルを眺めるのは楽しいものである。ボトルの色・形、ラベルのデザイン、能書き等、かつて輸入レコード店でジャケットを漁る時のあの楽しさに通じるものがある。
ベネズエラはミス・ユニバースの名産地らしく、それは確かに14年前に現地で納得したものだが、このパンペロも魅惑的なボトルである。 この星の魅惑的なモノ全てに乾杯!

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