2010.6.20
自転車の極意は釣り合いにあり?

 メタボ対策で自転車を始めてから4年目を迎えた。
当初は相方の94年型のマウンテンバイクを借りていたのだが、いろいろ自分の希望が出て来て1年ほど前に自分のマシンを購入した。 多摩川サイクリングロードを遡上して奥多摩を走りたいのと、歳を考えて出来るだけ少ない体力で漕げるようにとフラットバーロードを選んだ。 成果は上々で体重は4Kg減量され、血中脂肪も正常になった。しかしながら周囲の多くの知人の例に洩れず、坂道を転げ落ちるようにサイクリングにはまってしまった。
 ここ1年、自分のマシンを漕いできてだんだん見えてきたことがある。
・ロードレーサーは速く走れてしまう。
・漕ぎ続けているとお尻が痛くならない。
ということである。
マウンテンバイクの頃は、ロードにはいつも置いていかれて、なぜあんな速く漕げるのだろうか?と疑問だったのだが、その理由は走行抵抗が格段に小さいということであった。
まずタイヤ。700×23Cという幅23mmの細いもの。これは空気圧が8〜10気圧とママチャリの4〜5倍でスーパーボールのような硬さである。これが良く転がる。
次にライディングポジション。ハンドルを握る位置が低く、腕幅も狭まく、空気抵抗が少ないのである。平らな道ならこの二つの条件だけで力まずに漕いでも時速20~30Km/hは軽く出てしまうのである。これは力学的に言うと、走行抵抗と漕ぐ力が釣り合う速度が高いという事である。"ロード乗りは飛ばしている"ように思っていたのだが、"スピードが出てしまう"のである。それはそうだ。ロードレースを目的に造られたマシンであるからF1と同じである。
そして自分は着ていないのだが、スピードスケート選手が着ているようなウェア。最近は殆どのロード乗りが着ているが、普通のシャツやパンツと違って風にパタパタするようなことが無く、素材もスベスベしているのでこれも空気抵抗を更に低くしていると思われる。自分は山野のトレッキングに適した服装なのだが、締め付けが緩いので漕いでいるとけっこうバタツクのである。これが依然ロード乗りに置いていかれる原因と見た。
 さて、次はお尻である。相方のマウンテンバイクを漕ぎだした頃はお尻がすぐ痛くなった。毎週途切れずにサイクリングに出かけるとお尻の方が慣れてきて長距離でもさほど痛くならなくなったが、最近判ったのは、お尻でサドルを斜め後ろに押し付けるという感じで漕ぐと痛くなりにくいことを実感したのである。ただ、この状態は常にペダルに力を掛けていないと得られない。とろとろ漕いだり、滑走したり、減速している時はサドルに垂直に体重が掛かってしまう。確かにロードレーサーは走り続けなければならないのだ。だからあのビキニのような細いサドルが美しいのだろう。全力疾走中のテンションが掛かっているアスリートの筋肉しかり。自分のようにとろとろとサドルにもたれていてはサドルの方から苦情が来るだろう。
 ところで、釣り合う速度は漕ぐ力と走行抵抗によって人それぞれ千差万別な筈である。水戸黄門のテーマ曲ではないが、人生、抜く時もあるし抜かれる時もある。
自転車は本当に奥が深いと感じる今日この頃である。

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