尿管結石の痛みについて

≪尿路結石を防ぐには
≪尿路結石を防ぐには・補足


 疝痛発作があったとのこと、痛みに耐えながらの通院・検査、大変お疲れ様でした(と言う表現が相応しいか分かりませんが……)。
 こういうとき、鍼灸師はこれといった手段を提供出来ないのが歯痒いです。お薬などと違って、直接その場に居合わせて施術をしなければ十分な効果を出すことが出来ませんし、激しい痛みを止めたりする点に関しては西洋医学には敵いませんから。況や、技術も知識も不確かな学生となれば尚……(苦笑)



 さて、尿管結石で起こる烈しい疝痛は……

1.ご存じ、イガグリ状の結石が尿管を転がり降りたり、引っかかったりすることで、尿管の壁を傷つけるので痛みを感じます。

2.結石で傷付いた尿管(平滑筋と呼ばれる筋肉で出来ています)がびっくりしてギュッと縮み上がります。
胃けいれんや腸けいれんと同じような状態で、同じように痛みを感じます。

3.結石で詰まる+けいれんしてただでさえ狭い尿管が更に狭くなることで、腎臓から膀胱へ尿が流れずに溜まり、腎臓から出た尿がまず溜まる腎盂(じんう)や腎臓が膨らみます(この状態を水腎と呼びます)。腎盂も腎臓も、元々それほど伸縮に富む構造でないので、引き延ばされると無理が生じます。無理が生じていることをカラダに伝えるため、痛みを伝える化学物質を大量に放出するので痛みを感じます。


以上のような順番(若しくは相互に絡み合って)で、複数のルートから引き起こされます。1.や3.の痛みが強かったり、継続して痛んだりすれば、そのショックで2.のけいれんが断続して引き起こされることがあります。
 結石が膀胱に落ちたり、けいれんを和らげる薬(鎮痙剤)を投与したりして尿管がゆるんでくると、溜まった尿がJOJOに膀胱に落ちていきます。尿管がゆるんでから腎盂・腎臓の圧力が下がりきるまで数時間を要するようで、痛みもそれに伴って消えていくそうです。


 ある程度の時間を経過しても痛みが生じていないということ、レントゲンでも腎臓は膨らんでいなかったとのことですので、恐らくは一段落着いたのではないかと推察されますが、参考までに指圧で痛みを和らげる方法をお知らせします。

 指圧は、薬と比較すると効きは弱いものの、副作用がほとんどないので繰り返し行うことが可能です。また、深夜で通院が難しい場合や、外出先などで鎮痛薬・鎮痙薬が手元にない場合でも行えるメリットがあります。
 圧すべきポイントは、第2・第3腰椎の間で背骨から2cmほど外側の「腎兪(じんゆ)」、4cmほど外側の「志室(ししつ)」(左右両側に一つずつあります)です。が、実際に発作が起きているときに細かいポイントを確かめながら圧すことは難しいと思います。胸を張って腰に手を当てたとき、親指が当たる辺りの高さになりますから、何はともあれその周辺を圧してみて、痛みが強い所を圧すのが一番確実です。両側を同時に指圧し続けると、10分程度で効果が出るそうです。これらのポイントに刺激を与えることで、尿管のけいれんを抑える効果があります。

 急な場合にはご自分で圧される他ありませんが、最大の問題は「あの烈しい痛みの最中でこれをやるだけの余裕があるか」です(爆)
 ご家族ご友人がご同居/近くにお住まいであれば、圧して貰うのも一つの手段です。また、伝統的な指圧器(こういった類のもの)を用いたり、ゴルフボールを二つタオルか何かにくるんで背中の下に置いて、横になったり椅子などにもたれかかったりしても効果が得られます。移動中の痛みを和らげるのには良いかも知れません。


 最後になりますが、毎度の乱筆乱文にお節介、失礼をお詫び致します。一番苦しいときにお力になれないのが悔しいですが、僅かであれ、田中さんのお役に立てば幸いです。……痛みへの対処法など、役に立たないで済むのが一番良いのですが(苦笑)
謹拝

2003/07/17 0315更新