「改革と開放」

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 気が付けば師走になっていた。
 いや本当に全く気付かなかった訳ではない。あぁ1月も終わってしまったなぁとか、あぁ2月も終わってしまったなぁとか、あぁ3月も終わってしまったなぁとか、あぁ4月も終わって以下略……という感じで、どんどん時間が過ぎて行ってしまっただけのことである。
 気が付くとお昼になっていて慌てながら仕事場に電話を入れてみるだとか、起きてみたらもう夕方になっていて貴重な休日が無くなってしまった気分になるだとか、そういう数時間とか半日程度の短い時間であれば、本当に気付かずに過ぎてしまっている可能性もある。これはあくまで可能性であって、私がそんな日々寝過ごしているなんてことは断じてありません。そういう事になっているんですっ。
 それに、その全く意識しなかった期間が半年とか1年になったりしてしまっては、記憶喪失だとか浦島太郎そのまんまである。さすがに、そんなうっかりさんであるほど物事に気付かない人はそうそういないと思う。多分。

 それはともかく、2001年も12月になってしまい、もうその半分以上も過ぎてしまった。時が経つのは早いものだ。
 思えば、この1年は自分にとっても比較的変化が大きかった気がする。
 まず、一人暮らしを始めた。正確には1年と1月半くらい経過していたりするのだけれど、洗濯機を入手して実家に頼らずに完全に自分の部屋の設備だけで生活できる環境になってからはまだ1年経っていないので、この際1年に入れてしまうことにする。
 一人暮らしで、自炊もするようになった。カレーを作ったりシチューを作ったり肉じゃがを作ったりとなんだか同じものばかり作っているような気がしなくもないが、とにかく日々生存するのに必要なだけのエネルギーは確保出来ている。
 自分で家事全般をするようにもなった。始める前は一番面倒だと思っていた洗濯は、全自動洗濯機と室内干しによって、さほどの手間はかからないことが判明した。文明の利器、ありがとう。
 電話権が自由に出来るということで、ADSLも引いてみた。今まで仕事場でのみだったインターネットへの24時間接続状態が、自分の部屋でも確立された。テレホーダイという午後11時から午前8時という時間帯に縛られることのない、快適かつ終わりのないネット三昧の環境が完成したのだった。おかげでDiablo2などというネットゲームを始めてしまい寝食と出社以外の全ての事を忘れたりした時期もあったような気がするが、それは全くの気の性だ。気の性なんです。昨日もずっとそんなことをしていて時間が過ぎたなんてこともありません。きっと。

 それから、仕事も変わった。3年半勤めていた会社を辞め、1ヶ月程の面接の日々を経て、前の業種と少し違うが全般的には同じ業界へ就職した。
 新しい仕事はまだ勝手が分からない部分も多いが、今までの経験が役に立ったりすることもありなんとかやっている。多分。なんとかなってますよね、社長。って仕事中に書いているこれを読まれたりして、返事が返って来ても恐すぎるのだけれど。というか、相変わらず仕事中にweb見たり遊んでばっかなのか。

 そんな今年1年を振り返ってみると、今までの自分のいた環境から新しい環境への移行が多かった気がする。政治家風に言えば「改革と開放の1年」だったと言えるかもしれない。
 職場環境自体はそんなに不満のなかった会社を辞めて、職種を帰るというのは間違いなく自己改革であろう。実家から職場に通えるのに一人暮らしを始めたのも、そうだ。親と同居ということで委せていた家事を自分でするようになったのなどは、手間が増えた代わりに全てを自分で気が向くままに出来るということでもある。これは間違いなく、改革と開放だ。

 そして、また新しい「改革と開放」があった。メールアドレスの変更だ。といってもプロバイダをのアドレスではなく、フリーのいわゆるウェブメールと呼ばれるやつである。よく捨てメールアドレスに使われたりもしてしまう無料のあれだ。
 私もこの類のサービスにいくつか登録をしてあるので、特に使ってないのやら頻度の高いものやらいろいろあるのだが、今回一番長くメインで使っていたメールアドレスの会社がサービスを停止するのだという。最初のメールは、そこの存在を教えてくれた友人からの取得おめでとうメールで、その日付は1998年2月2日。それ以来、自分のページの公式連絡用のメインアドレスとして使用してきた。停止が2001年12月なので、3年半以上使っていたという計算になる。さすがに、いくらメールのやり取りが少ない私でも、それなりの数になる。
 まとめてダウンロード出来るような機能がなくバックアップは完全に手動ということで、結局この3年半のメールはすべて消え失せた。何度も読み返した嬉しかったメールも、楽しくない思いをしたものも、記録として残してあったものも、メールで受け取った各人の連絡先も、全て消えた。私の3年半のメールによる通信記録は、この世から消滅してしまったのだ。

 ということで、いままでの過去はとりあえず消え失せてしまったのを機に、これからは新しい私として生きて行こうかと思う次第である。
 特に、1年間更新しなかったこととか感想メールが1通も来なかっただとか、そういう細かいことはすっぱり忘れて一からやりなおすつもりだ。
 ということで、皆様来年もまたよろしくお願いします。

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