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 2008年9月24日水曜日。出発の日の朝は薄曇りで肌にひんやりとした感じだった。午前6時、我が家をスタート。いつもの半袖半ズボンの軽装、背中には10キロのリュック,ヘルメットのかわりに普通の布製帽子、それに布製手袋。愛車は市販のジャイアントMTB(¥35,000ちょっと位。 つまりママチャリ・クラスのもの[汗])+走行メーター(¥3,000位)。骨折という予想外のアクシデントを乗り越えて「自転車ひとり旅」を実行していることが何よりも嬉しかった。せっかちになりがちな心を抑えてマイペースでペダルをこぐ。

江戸川(前回の写真)

柏市(前回の写真)

茨城県の土浦までは以前に一度行ったことがあった。ただ、その時は国道16号で千葉県の柏まで行き、そこから国道6号に乗って土浦に向かった。しかしそれでは遠回りになるので今回は別のルートにすることにした。それは柏より10キロくらい手前の野田(千葉県)までは国道16号で行き、そこで国道16号と別れて利根川に架かる芽吹き大橋を渡り、田園都市つくば市を横切って土浦に入るコースだ。

土浦駅(前回の写真)

霞ヶ浦(前回の写真)

 土浦に着いたのが午後4時少し前。そこは自宅から約100kmの地点で、骨折部位を庇いながらの走行だったとは言え本来ならもっと早く着いていなければならなかったのだが途中で方向オンチの失敗を犯してしまった。方向オンチは始末が悪い。自分の背中の方角がいつも出発地点なのだ。つくば市で曲がる道を一本間違えてしまい、そのために時間を大幅にロスしてしまった(道を一本間違えただけで時間を大幅にロスするところは何か人生と似ているところがあって面白い)。前回来たときは確か2時頃にはもう帰路についていた。ファーストフード店で少し休憩をとり携帯電話のauショップで通話時間のプラン変更手続きを済ませた後、最初の宿泊地水戸を目指して再び自転車に乗った。骨折してから既に2週間が経過していたこともあって普通に乗っているときは骨折部位のことはほとんど忘れかけていた。しかし凸凹のある場所を通るときなどのように強い振動が加わるとまだ骨折部位を抱えていたことを思い出した。医者の反対を押し切ってオウンリスク(自己責任)で来たのだから痛むのは仕方がない。
 9月も後半になると日が暮れるのが早い。土浦を少し過ぎるあたりの国道6号は、車道の方は立派だが自転車が通る方の道にはぺんぺん草が生え、特に夜間ライトをつける頃からの走行は前方が見え難くて危険だ。急に植え込みが目の前に現れたりぺんぺん草が色々なものに化けて見えたりする。おそらくこのあたりは道路行政の重点区から外れているのだろう。「急ぐことはない。30日間くらいかけてゆっくり走れば良いのだ」と自分に言い聞かせながら走った(この時点ではキャッシュカードを忘れて来たことにまだ気づいていない)。
 午後8時半頃水戸の少し手前にある民宿風の宿に泊まることにした。場所は県名と同じ名前の町だ。通されたのは四畳半くらいの和室で風呂とトイレは部屋の外にあった。早速心配になってきた。旅の初日でまだ所持金が16万円ほどある。それにキャッシュカードもある。風呂やトイレに行っている間に盗まれたらこの先、旅ができなくなる。「さて、どこに隠したものか」そうこう考えながら財布の中身を調べているうちにカードを家に忘れてきたことに気づいた。パソコンにスパイウエアが侵入したためこれまで持っていたカードを失効させて新しいものに切り替えたばかりで、その失効させた古い方のカードを持って来てしまっていたのだ。ガーン!!気をとりなおして計算してみると1日7千円使ったとしても20日間は旅することができ、まだ2万円が残る。これを青函連絡船の高速フェリーの往復運賃(約1万6千円[事前に調べていた])に充てることが出来る。20日の間に北海道まで往復すればいいだけの話しではないか。生来のプラス思考が頭をもたげてきた。「まあ、何とかなるさ。それにしても家内から餞別として1万円貰ってきておいて良かったなぁ」

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