2008年7月18日(金)
 北海道2日目/4日間 浜中〜落石岬〜根室、茶内〜浜中 
87Km 雨のち曇り  GPSログ   

   

 雨音で5時に眼が覚めました。 天気がよければすぐに出発するところですが、この天気では起きる気にならず、1時 間ほど2度寝を決め込みました。 起きだした後は、きりたっぷ里自慢の自然食材をたっぷり使った朝食を食べなが ら、予定通り根室に行くか、それとも霧多布周辺を散策して早めに宿に戻るかしばし思案。 早めに雨が上がりそうだ よ、と宿主の一言で8時過ぎに雨の中、道道142号を根室方向に向かってペダルを踏み出しました。



   

 走り出すと雨はさらに強くなってきました。 ただし気温はさほど低くなかったため、走るのにはそれほど苦になら ず。 適度なアップダウンと刻々と変化する風景がすばらしく、雨でもそれなりに楽しい道中でした。 幌戸沼(ぽろとぬ ま)を通過。
 道道142号は、北太平洋シーサイドラインと呼ばれる広尾町からノサップ岬までの全長321kmにも及ぶ海岸線沿 いの道路の一部になります。 今回走った釧路から、厚岸、浜中を通り、落石までの区間は、湿原、太平洋、原生林 の風景が次から次に入れ替わり、自転車で何度でも走りたくなる道です。



   



 宿から10kmほどの走ると、羨古丹(ウラキコタン)に小さな砂浜がありました。 その先にある北太平洋乗馬クラブ付 近のフキは特に大きいものが群生していました。 きりたっぷ里のご主人の話では、クラブ内に螺湾(らわん)ブキとい う4メートルにもなる巨大なフキが足寄から移植され、生い茂っているそうです。 このあたりの湿度と海からの風がフ キに最適の環境だそうです。 昨夜の宿の夕食で、その螺湾ブキで作った漬物をおいしく頂きました。



   

  ここまで2時間ほど走り、雨はようやく小雨に。 初田牛(はったうし)の牧場で牛たちが興味深げに柵に集まってき たので、こちらも近づいて写真を1枚。さらに2,3歩近づくとお尻を向けて一斉に逃げ出してゆきました。 と思ったら 20mほど走ったところで立ち止まり、こちら向き直ってまた眺めていました。 一見のんきそうですが、警戒心はけっこ う強い牛君たちでした。

 

   

 花咲線の初田牛駅。駅舎はなく待合室だけ。 付近に人家は見当たりません。 休憩がてら駅を眺めていると、タイ ミングよく列車の走行音が聞こえてきました。 デジカメを用意して待っていると、走ってきたのはなんと保線用の小型 トロッコ。 小型トロッコといえば、二人がシーソーのように交互でレバーを押して走るというイメージがありますが、さす がに手動ではなく小型エンジンを搭載。 定員2名でイスが2脚ありましたが、後部の人は座らずに何やら荷物を抑え てしゃがんでいました。 これは楽しそう!でも厳冬期にも乗るとしたら辛いだろうなぁ。

 念のため秘境駅探検家の第一人者・牛山さんのHP秘境駅に行こう!でチェックしてみると、初田牛駅はトップ200 駅中見事15位にランクインしていました!地元の方には失礼になってしまうかもしれませんが、ちょっと嬉しい気分で す。 この後初田牛から落石までは海岸線を離れ、林間を進んでゆきます。



   

 落石到着が11:20。雨がほぼ上がりました。 今回は週間予報を見て数日は雨になることを覚悟して、モンベル社 製のレインジャケット、ストームニッカ、 レインシューズカバーを揃えましたが、十分な防水性能を備え、しかも軽くてコ ンパクトに収納できるので大助かりでした。 



   
  
 落石を右折して落石岬へ。 当初の計画では宿を6時前に出発、落石岬に寄ってから納沙布岬まで行き、最後は根 室駅から輪行で宿に戻る110kmほどのコースを考えていました。 根室駅発 釧路行き16:00を逃すと、次は19:1 0まで待たなければなりません。 納沙布岬は出発時間を遅くした時点で半分諦め、この時点で完全に断念、落石岬 をゆっくりと回ることにしました。



   

 カモメ以外は誰もいません、落石漁港。 魚を運んでいるダンプカーの周りを、おこぼれを狙うカモメが乱舞していま した。


   
   

 落石岬に続く道は若干の登り。道は舗装が傷むままになっているためダートに近い状態でした。 雰囲気は霧多布 岬とよく似ています。



   

 落石灯台まで1.3kmというところでゲートがあり、この先車の進入を禁止しますとの表示。 ゲートの状態から推測 すると、車とバイクは絶対だめという感じはしますが、自転車は微妙なところ。 自転車はそのままゲートの下を通過で きたので、自転車は通行可ということで進みました。



   

  岬の先端方向に平らな道が続き、あちこちにヒオウギアヤメが咲いていました。



     

 2km弱走った岬の先端に国立環境研究所 地球環境研究センターの地球環境ステーションがありました。 高いア ンテナでCO2変化などの地球環境を調査しているそうです。



   

 研究所の横に広がる草原。 岬にぶつかって砕け散る波音、たくさんの小鳥たちのさえずり、遠くから落石灯台の霧 笛が聞こえてきます。 こういう場所に出会えるのが北海道の醍醐味。 思わず時計を止めたくなります。 30分ほどじ っくりと最果ての風景を眼に焼きつけました。


 
    

 今度は落石灯台に向かいました。杭が灯台への道の目印になっています。 こちらの道は轍がなかったので、自転 車を置いて徒歩で進みました。 そのまま灯台まで木道が続いているはずでしたが、残念ながら通行止め。 札には 『この木道は灯台の保守・管理のために設置されたもので遊歩道ではありません。危険ですので関係者以外は立ち 入り禁止とします。 管理者・根室海上保安部』と記載されていました。 

 残念ながら灯台は諦めました。 後日WEBで調べると、遊歩道で年配の女性ハイカーが6月中旬に足にけがをし、 市に安全管理を求める投書が寄せられたのがきっかけとのこと。 こういった場所は山登りと同じような環境と考え、 通行止めにせずに自己責任で通るということにしてもよい気がします。 ちょっと残念です。



    

 木道入り口にサカイツツジ保護林の看板が出ていました。 周辺にはシコタンキンポウゲなど小さな花がたくさん咲 いていました。
 先ほどのゲートまで戻ってくると、ワゴン車でやってきた若い女性2人組。 一眼レフカメラを片手に気合の入った感 じの旅行者です。 ゲートの先の様子を尋ねられたので、距離はあるもののよい雰囲気であると伝えましたが、ちょっと 悩んでいる様子でした。 

   

   

浜松海岸を過ぎると、根室市内はもうすぐ。徐々に交通量が増えてきました。



   

 根室駅に15時過ぎに到着。自転車を輪行袋に詰め、明日の分を含めて切符を購入。16時の上り汽車まで30分 ほど時間がありました。さっそく駅前に2軒並んでいたカニ店のうちの1軒に入り、カニを注文。 販売、発送のほかに お店に小さなカウンターが用意されており、店内で食べることができます。 ここのご夫婦がとっても親切。 一杯千円 で、大きな花咲ガニをどーんと出してくれました。
  カニの食べ方を丁寧に教えてもらいながら、しばし甲羅からカニ肉のほじくり作業に集中。ミソもたくさん詰まってい て、とってもおいしかったです。





   

 カニを食べるのに時間がかかり、小走りで駅に戻り缶ビールとつまみを買って列車に乗り込みました。 ホントはカ ニを食べながらビールを飲みたかったのですが、売っていないようでした。 浜中着は17:02の予定でしたが、時間 に余裕があるので一つ先の茶内駅まで行き、霧多布湿原の中央を走るMGロードを通って宿に帰ることにしました。



   

 MGロードは、Marshy Grassland Roadの略です。 きりたっぷ里のご主人が、これだと湿地のような草原の道と いう意味になってしまうと文句を言っていました。
  

   


  
 2km続くMGロードの両側には湿原が広がり、ワタスゲ、エゾカンゾウ、ノハナショウブなどが咲いていました。ワタス ゲの花は去年より多めでした。

 きりたっぷ里に戻り、楽しみの夕食。 昨夜は平日にもかからわず中年ライダー集団がいてほぼ満室でしたが、今夜 は常連のライダーさんと、私よりちょっと年配のサイクリストの3人だけ。 二晩連続で名物のたっぷり寿司を、今日は 特別にカウンター席で握ってもらいました。 何たる贅沢!宿主の武士さんが、今日は時価だよ、フフフ、と楽しそうに 握ってくれました。 

 なお、常連のライダーさんは昨年宿に向かっている途中、中標津の交差点で赤信号で停止中のところを居眠りトラッ クにノーブレーキで追突されて足首と肩を骨折。 重傷を負いながらも救急隊員の差し出した携帯電話で、今日は宿 に行くのは無理そうだと連絡をしてきたというの伝説の人物。 昨年泊まったときにその話を聞いていたので、当人に 会えてちょっと感激。 ティータイムで宿の奥様といっしょに、いろいろなお話を聞かせてもらいました。(宿主は飲みす ぎで早めにリタイヤ)


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