●--- 第9章:死闘の果て ---


・・・すでに、制空権はどちらのものでもなかった。
爆撃機が迫る司令部上空。201とペルソナは、互いに大きな円を描いて旋回している。


『決着を・・・・・・つけましょう』

古いスクランブル周波数で、通信が割り込んでくる。

「・・・春菜?春菜なのか!?」
『私は・・・答えを知りたい。・・・あなたたちなら、きっと・・・見せてくれる』
「春菜!もうやめようよ!殺しあうことなんてないじゃないのよ!!」

『いいえ・・・答えを知るために、多くの血が流れました。決着はつけなくてはなりません』

ペルソナがブレイク、急上昇。
ミサイルシーカーからの信号をキャッチ。春菜は・・・やる気だ。


201、8Gで引き起こし。
補助スラスターの燃料は、ほとんど残っていない。しかしそれはペルソナも同じはずだ。
縦ロールでのバックの取り合い。機体がきしむ。視界が暗くなる。グレイアウト。

突如、ペルソナの左翼、フラッペロンが砕ける。ろくな整備も受けず、高機動を続けた結果だろうか。
バランスを崩すペルソナ。・・・しかし、その失速をさえ逆手に取って小回り、201の背後を取る。ミサイル警報。
201はジンキング。・・・しかしペルソナは、手負いとは思えない機動でぴったりと食いついてくる。


・・・補助スラスターの燃料は、残り3秒分。最後の望みにかける。
スロットルと4DCVマニューバの同時操作。マニューバは、さくらにまかせる。

ペルソナ、6時方向、距離300。

「・・・今っ!!」

スラストリバーサー(逆推力装置)作動、エアブレーキ全開。急制動。最後の補助スラスター出力を下方へ叩きつける。
水平姿勢のまま跳ね上がる201。直前まで201がいたその空間を、ペルソナのバルカンがなぎ払う。
急激に運動エネルギーを失う201。失速、機首が落ちる。ペルソナ、オーバーシュート。

一瞬、ペルソナの回避機動が止まった。
RDY GUN。掃射2.5秒。劣化ウラン弾頭がペルソナの右翼を引き裂く。


・・・基礎の基礎ともいえる空戦技術。「木の葉落とし」だった。

 


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