2019.1.1
年頭所感:斑:まだら

 山を歩く楽しみは行く前でも帰ってきてからでも味わえる。それは地図である。
それも国土地理院が発行する1:50000地形図が良い。等高線が標高20m刻みで記されているものである。
永年この地形図を眺めて来て気が付いた事がある。山間部の等高線の入り組み方は何処の山でも似たり寄ったりに見えるのだが、これも2009年の年頭所感で取り上げたフラクタルの性質かもしれない。

 Fig.1に示すAとBなる二つの山並みのような3Dデータを扱う機会があった。Fig.2はその等高線である。東西、南北方向に等間隔でメッシュを切り、AとBの個々のメッシュの標高の差分を計算してみたらFig.3のような斑模様が現れた。
Aの方が高い領域とBの方が高い領域に分けて表すと、その斑はジグソーパズルのピースになっていることが判る。
その斑模様を見ていて、もしAとBのどちらかを選べと言われたら、今、自分が居る場所を証にして高低の有利な方を選ぼうと思うが、広域で俯瞰するならどっちもどっちじゃないか?という気がしてきた。
つまり、斑模様というのは二者に微細な差異があっても全体を俯瞰したらその差異は殆ど意味が無い=二者の本質は変わらないときに現れるサインではないか? あるいは、物事は立ち位置によって一様に見えたり多様に見えたりするものなのかもしれない。斑模様とはそういう啓示ではないか?と思った次第である。
どこかでフラクタルと繋がっているようにも思う。

 雪山讃歌には、♪雨が降ったら濡れればいいさ...という歌詞が出て来る。最近の天気予報では雨雲が西から東へ移動して行く様を見せてくれるが、雨雲が斑様ならば降る、降らないと騒いでもしょうがないということかもしれない。
今年はそういう眼で斑:まだらを探してみようと思う。

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