禁煙の効果と実際

 つらい時期でも、生理機能は確実に好転している。

 禁煙を実行した直後しばらくは非常につらく、イライラ、集中困難、不快感、疲労感などのたえ難い症状(離脱症状という)に悩まされることもある。
 しかしこうしたつらさとは裏腹に、この時点でも精神神経機能は低下するどころか、かえって良い状態にあり、また、皮膚温度の上昇や心拍数の減少など生理学的にはすべて正常な方向に向かっている

 自覚症状が改善し体調が良くなる。

 離脱症状が強くあらわれる最初の数週間を乗り越えると、禁煙の効果が次第に実感できるようになる。せきやたんがとまった。呼吸が楽になった。目覚めがさわやかになった。食べ物の味わいがよみがえった。肩こりがなくなった。顔色がよくなった。こうした禁煙効果の実感が、その後も禁煙を持続するための強い動機付けとなる。したがって、この時点まで禁煙を持続できるかどうかが成功のカギとなる。

 各種疾患死亡リスクの低下。

 肺癌、虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、消化性潰瘍などは、喫煙が発症や進展に深く関わっているが、逆に禁煙によって発症・死亡のリスクが低下したり進展が抑えられることも明らかにされている。
 肺癌では、毎日喫煙する人はしない人の4倍以上の死亡率であるが、禁煙5年後には、1.61倍にまで下がる。がん全体からみても、禁煙期間が長いほど死亡率は下がっていく。たばこをもともと吸わない人並の死亡率に戻るには、禁煙以前の喫煙歴が短いほど、速いことも明らかにされている。

 断煙か減煙か

 禁煙を実行するに当たって、思いきって一気にやめる「断煙」か、少しずつ滅らしていく「減煙」かが間題になります。他の薬物依存の場合は徐々に離脱させる方法が有効といわれていますが、禁煙にかんしては「断煙」のほうが成功率が高いといわれています。
 しかし、いったんは断煙してもそれが継続できるか、となると喫煙習慣が長い人ほど困難です。「滅煙」に関する調査では,1日12本までは減煙できても、それから滅らすのが非常に困難で、そこで多くの人が脱落するといわれています。

禁煙の実際

準備期間

・なぜ禁煙を決意したのか、その目的をしっかり確認して下さい。
・自分の喫煙習慣を把握して下さい。
(どのようなときにタバコを良く吸っているのか、良くタバコを吸っている場所はどこかなど自分の生活、喫煙習慣を良く見直して下さい。それによって、喫煙の原因をさけたり、そのような場所にはなるべく行かないなどの対処をとることが出来るようになります)
・タバコ、灰皿、ライターなど、喫煙に関する道具はすべて処分して下さい。

禁煙開始

4)家族や同僚など、身近なひとに禁煙を宣言して協力してもらいましょう。

禁煙実施初期

 このじきが禁煙に伴う離脱症状がもっとも強く出ます。この数週間を乗り越えることが出来るかどうかが禁煙成功の鍵となっています。ストレスの発散法を考え、酒席は避けて下さい。
 この時期の喫煙欲求をどう押さえるかで禁煙の可否が決まると言っても過言ではありません。
・まず吸いたいと思ったら、数分我慢してみる。喫煙欲求は最初の数分が強いものです。
・冷たくひやした水を飲む。(しっかり冷えた水はなかなか効果的です。)
・深呼吸をする、歯を磨く、散歩する等いろいろな方法でみなさん喫煙欲求をまぎらわしています。いろいろ試して自分に合った方法を見つけて下さい。
・他に自分の興味のあることをすることで、喫煙欲求をまぎらわすのも良いでしょう。
ニコチンガムを利用することでまずはニコチンに対する身体的依存は押さえておいて、精神的依存から離脱をはかる。
(ニコチンガムは劇薬指定の医薬品で、医師の処方がないと使えません。ニコチンガムはとても有用な方法ですが、投与してはいけない疾患や重篤な副作用、使い方によっては逆効果なこともあります。必ず専門の医師に御相談の上御使用下さい。そうすれば良い効果が得られると考えます。)

禁煙の継続

・禁煙達成後約3週間〜半年くらいの期間です。
・禁煙失敗の大きな原因は再喫煙です。「ちょっと一本だけ」が再喫煙へのきっかけとなります注意して下さい。
 


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