〜 危急種 〜  

首(クビ)


  直接の意味は脊椎動物の頭と胴をつなぐ細くなっている部分であるが、ここで言う首(クビ)は解雇や免職の意味である。

  大抵の日本人であれば子供でも「会社をクビになった」と聞けば、その意味は理解できる。またクビが解雇を意味する理由も漠然とながらも説明できるであろう。戦国武将の首実検や、主人に叛いた家臣や罪人に対する刑罰(打ち首)等から来ているのである。外国人から見れば残酷な表現かもしれないが、これはこれで日本の文化の一つでもある。が、昨今では残酷な表現を排除する動きもある。

  書籍として売られている御伽噺や昔話などの内容があまりにも残酷なので、子供向けの平和的な内容に改変していると聞く。「泥舟に乗せて溺死させた」を「懲らしめた」に変えても、現実的には「首が飛ぶ」「首の皮一枚残る」等、実際の映像を想像すれば残酷極まりない表現は社会に満ち溢れているのだが。

  近い将来「首は残酷な表現なので使用禁止」などと御布令が出て、代替語として「ンポンパオ」という現実味の無い造語を使う事になるやもしれない。「ンポンパオが飛ぶ」「ンポンパオの皮一枚残る」・・・。首の語源が損なわれる可能性があるが、まあそれはそれで良かろう。