2020.3.29
楽曲エッセイ:
Bitter Creek/Eagles
Rose Of Cimarron/Poco 薔薇よ銃を取れ!

 今回は以前のエッセイ「アンサーアルバムに見る男と女」で取り上げた2曲を再び。
"Bitter Creek" は1973年リリースの2ndアルバム、“Desperado*1“ に収録。
”Rose Of Cimarron" は1976年リリースの11thアルバム*2のタイトル曲である。
この2曲は西部開拓時代の伝説のアウトロー、ダルトン強盗団の一身であった”George Newcomb"(1866-1895)と、彼の恋人と言われた”Rose Dunn”(1879?-1953?)を歌ったものであり、後者は前者のアンサーソングであろうという事は以前のエッセイで紹介した。
前者はバーニー・レドン、後者はラスティ・ヤングの作品だが、今回は歌詞を辿ってどんな関係だったのかを振り返ってみた。
 "Bitter Creek" とは ”George Newcomb" の愛称であり、幻覚作用があるサボテンの一種を指す隠語、いわゆる強いヤクのことらしい。
バーニー・レドンのボーカルはそんな雰囲気が良く出ているし、彼独特のアコースティックギターピッキングがムードを盛り上げている。彼はブルーグラス出身だが同じように登場したクラレンス・ホワイトのリックとは少し違う。クラレンスはリズム外し、バーニーはチョーキングが隠し味と言ったら良いであろうか。
歌詞の後半では ”最後の稼ぎ” に出かけようと言っている。
 一方、”Rose Of Cimarron=シマロンの薔薇" とは米国では女アウトローとしてお馴染みらしいが、ラスティは結果的に彼女が彼を窮地に追いやったというような意味合いを込めている。
アウトローに尽せば尽す程、深みに嵌っていく様が滲み出ているような気がする。
ラスティ印のドブロギターもいい味を出しており、エンディングにバックでフェードアウトしてゆくバンジョーもどこか切ない。
なお、”Rose Of Cimarron" はエミルー・ハリスもカバーしており、女性が歌うとまた違ったロマンを感じる次第である。


Bitter Creek

俺が若かったころ、もうあやふやだが.....
強いヤクを探してると.....
年寄りが言うには.....
叱る様な口調で.....
ビター・クリークを歩いて渡ろうなんて思うな.....
そいつあ砂漠と空が接する果てにある.....
隠し事はいつもそこさ.....

そいつはペヨーテって言うサボテンさ
幻覚を見せてくれる
ビター・クリークじゃ訳も無く泣けてくる

俺達はこれを最後にしようと出掛けたんだ
真っすぐ押し入って目隠しさせて有り金をすべて頂く
逃げ回るのはもうやめだ
賭けに勝ったら年寄りの顔なんて拝んじゃいられない

written by Bernie Leadon
from "Desperado"


Rose Of Cimarron

巡る巡る、巡る因果の糸車
シマロンの薔薇
過ぎ去りし、埃にまみれた日々よ

砂漠に射す影の正体は誰だ?
窓越しに待ち構えていれば、やつらは現れるだろうか?
やつらを探す声が聞こえるか? これでやつらも終わりだろう。
黒く冷めた焚き火の跡は再び明るく輝くことは無い。

巡る巡る、巡る因果の糸車
シマロンの薔薇
過ぎ去りし、埃にまみれた日々よ

やつらの悪名はとどろき、亡がらが運ばれてゆく。
四日に渡る狂騒と孤独の日々が君にも訪れる。
やつらが辿り着く先は君の他に無い。やつらも判っていたはずだ。
君が良かれと思った事かもしれないが、やつらはそれでお陀仏になった。

君の生き様は夜明けを追いかけるように、シマロンの薔薇なる歌に詠み込まれる。

written by Rusty Young
from "Rose Of Cimarron"

*1
*2

関連エッセイ:
楽曲エッセイ:Desperado/Eagles. ダイアのクイーンは引くんじゃねえ
年頭所感:Eaglesによせて Two side to Country Rock
「アンサーアルバムに見る男と女」

エッセイ目次に戻る