2022.3.6
楽曲エッセイ:
Traction in the Rain/David Crosby/Tシャツが緑色に変わる?

 この曲は1971年にリリースされた彼の最初のソロ・アルバム ”If I could Only Remember My name”に収録されている。
アコギとオートハープの伴奏による物静かな曲である。
初めて聴いたのは1973年の高校3年の夏休みであったが、当時の拙い訳は "雨の中でトラクション=駆動力を得るのは難しい" であった。
中学生の頃、雨あがりの坂道で自転車のペダルに力を込めたら後輪がスリップした経験が助けになった。
これは何を歌ったのか? 後に1988年に出版されたデイビッド・クロスビーの自叙伝から判明したのは、彼はバイク好きでハーレー・デイビッドソンを乗り回すとのこと。
 
人物エッセイでも触れたように彼の曲は独特な世界観があり、歌詞を読み解いてみるのはチャレンジと思った次第である。
しかしながら、”Tシャツが緑色に変わる”というくだりは???
turtle dove=キジバトが出てきたのでこう推理してみた。
キジバトが向きを変える時に首の横の白と青の縞が光の加減で一瞬、緑色に輝くように見えるらしい。
雨の中でバイクの後輪がトラクションを回復して路面を掴む瞬間を人間が恋に落ちる様に喩えたのだろうか?

"Traction in the Rain"

この世の始まりに戻らんとする力を探すなんて不可能なように
雨の中でトラクションなんか得られない
判るでしょ

道が見つからない
次の街に抜ける道が
此処を立ち去ろうと思わなけりゃ見つかる筈は無い

今までTシャツが緑色に変わるなんて不思議な様は見た事が無い
そんなキジバトの虜になっていた
そのキジバトがご婦人とすると
片や彼女の爪に掴まれたオリーブの枝にしてみれば
そうやって枝は二人が恋に落ちたことに気が付いたのかもしれない

道が見つからない
次の街に抜ける道が
此処を立ち去ろうと思わなけりゃ見つかる筈は無い

written by David Crosby
from "If I could Only Remember My name"

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