2004.6.5
ブルースゆらぎ

 エリック・クラプトンが”ME AND MR JOHNSON”*1というタイトルの新しいアルバムを出した。既に他界している伝説のブルース人、Robert Johnsonの名前を並べることで自分のルーツを公言している。 若い頃の彼なら「やっぱ、ぶるーす、これっきゃない!!」という調子だろうが、熟年の今では、「いったい何が自分にブルースをやらせるのだろうか?」という心境だろうか?
ブルースにのめり込むミュージシャンやリスナーは際限なく現れる。どうも人間は生まれた時からブルースに共鳴する人類共通の固有振動数を備えているのでは?と思いたくなる。
でも、それは単純な振動数というものとはすこし異なる。所謂、ブルース調のコード進行というものがあり、大概のギター弾きなら一度は押えたことがあるであろう。
教則本は 「このコードの並び方でやるといいんだ」と教えてくれる。それは理屈ではなく、「いいものはいいんだ」なのである。この並び方は人類の試行錯誤による偉大なる発見であり、教則本はどんな宗教のバイブルより普遍的な金言集であると思う。
さて、このコードの並び方というのは、言い方を変えれば、音の変化の仕方、ゆらぎ方である。 このブルースゆらぎを人間が浴びるとブルーになるのか、それともブルーな気分なときは心がブルースゆらぎになっているのだろうか?
いや、ほどほどにしておこう。

*1:"ME AND MR JOHNSON" 2004 REPRISE 9362 48423-2

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