ストラトのノイズ撃退!(前編)
元々ノイズが多いとされるシングルコイル系のギター。今回はその削減に挑戦してみました。今回は音質の変化は考慮していませんが,特に大きく変化した様子もなく個人的には成功と言っていいと思っています。
Last Update:
25.Nov.2000
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ストラトキャスター 今回お預かりしたのはFender Stratocaster。とにかく無音時のノイズに悩まされているというものです。ストラトといえば元々ノイジーなギターではあるのですが,これはそのことを差し引いても確かにかなり大きなジーというノイズが発生しています。ノイズの様子から考えるとおそらく,照明器具等の他の電化製品からの電磁波によるものと思われ,さっそく対策を講じることにしました。

ピックガードを外し,とりあえずお約束の接点部分の洗浄。ストラトの場合,ポット,レバースイッチ,出力ジャックが対象です。これらに接点洗浄剤を吹き付け,何度かぐるぐるガチャガチャと操作して完了。そしてあらためて回路を眺めてみれば,内部配線にこれといったノイズ対策というのはされていないんですね。Fenderに限らず,多くのメーカーさんは往年のオールドモデルを再現しようと当時のスペックにこだわる傾向があり,現在であれば当然やっていそうなノイズ対策もあえてとられていないケースが多いのです。 ピックガード

ピックアップ(改良前) まず目に付いたのがピックアップ。ストラトのシングルコイルピックアップは大変高いインピーダンスを持っているため,特性上どうしてもノイズを呼び寄せるアンテナの役割をしてしまいます。大半の外来ノイズはこのピックアップ回りから侵入するのでここのノイズ対策は重要です。今回のピックアップは引き出されたリード線に普通のビニール線が使用されており,手始めにここから対策することにしました。
ピックアップ(改良後) このリード線,せめて2本をよじってあればある程度ノイズ侵入を抑えられるのですが,その様子もありません。ここは思い切ってシールド線に変更し,配線途中からのノイズ侵入を極力防ぐことにしました。
電気的に考えると本当はコイル自体もシールドできれば効果的なのですが,これは音色に大きく影響が出るためにギターの場合なかなか手を出しづらい部分です。そこで「せめてマグネットだけでも」と考え,ピックアップ裏面に導電塗料を塗布することでマグネットをアースに落とすことにしました。

コントロールサーキット回りにも不満がありました。各コントロールポットのケースどうしを結んでいるアース線がやたら細いのです。アースラインはできるだけ太くし,各アースポイント間の電位差を極力減らすことがノイズ対策の原則です。これではイカンと思い切って極太の錫メッキ銅線に交換。写真左側が元々使用されていた銅線,右側が今回使用した銅線です。
ここまでやった以上,どうせなのでついでにピックガードから出力ジャックまでの配線もシールド線化して回路まわりの対策は完了です。続いてはボディ側での対策に移ります。

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