2025.5.25
楽曲エッセイ:
Little Jewels (for Lilybet)/Gene Parsons リリーちゃんへ

 初めて聴いたのは1980年の3月であった。
Gene Parsonsが前年の1979年にリリースした2作目のソロアルバム*1を近所に開店したばかりの輸入盤屋で見つけた。

1973年の最初のソロ・アルバム*2はメジャー・レーベル、ワーナー・ブラザースだったが6年後の2作目はインディ・レーベルからだった。
アルバム・タイトルはMelodiesだが、2曲目に収録の
Melodies From A Bird In Flyght (for Clarence)から取られている。
最初のソロ・アルバムリリース後に交通事故で亡くなった彼の盟友、クラレンス・ホワイトに捧げるというものだが、彼らをご存じの方なら落涙モノである。
彼のレコード評によく見られるオノマトペとして、ホノボノがあるが、優しさが滲み出ているアルバムである。
その中で、筆者の最も好きなナンバーである。
聴いた後は必ず落涙なのである。
こちらも副題が付いているが 捧げられている Lilybet とは一体誰なのか? 当時からの謎だった。
歌詞は一見して別れのバラードだと思っていたのだが、最近SNSでとんでもない事が判ったのである。
Lilybetとはこの曲を作った頃に産まれた彼のお嬢さんだったのである。
それを知ってからは落涙は滝の如し。
彼は今でもサンフランシスコの北にある地元のMendocinoで時折、演奏しているそうだが、立派になったリリー嬢が一緒にベースを弾いているそうである。
うらやましい限りである。

Little Jewels (for Lilybet)

君の瞳は朝でいっぱい
今日は一日じゅう青空でいっぱい
今宵は星明かりでいっぱい
愛は永遠だなんてちっぽけな嘘だね

君はいつまでも僕が返せないほどかけがえのないものをくれる
いつか君は君の行く道を見つけなきゃね
そして僕もいつか旅立つ

悲しいかな、それは終わりじゃなくて移ろい行くもの

僕らの影が長く伸びて行く時
楽しかった日々を思い出す
悲しいかな、それは終わりじゃなくて移ろい行くもの

あの日々が思い出に紡がれてゆく
まるで宝石のよう
それを身に着けてごらん
魔法のように僕が現れるから

悲しいかな、それは終わりじゃなくて移ろい行くもの

written by Gene and Camille Parsons
from "Melodies"
youtube

*1
*2

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