登場!改造レスポールVer.9(前編)
あのスイッチだらけのB.C.RICHにあこがれ,それを超えることだけを目指して昭和56年から改造を続けてきた私のレスポールモデル。Ver.8の現状ではスイッチの数は確かに超えたものの実用性となるとまったくの?印(苦笑)。そこで今回は思い切って実用本位の改造に乗り出しました。
Last Update:
25.Nov.2000
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先日のストラトキャスターのメンテナンスで久しぶりに楽器改造魂が復活。いじくってVer.8となってからもう7,8年放りっぱなしだった自分のレスポールモデルのギターに再びメスを入れることにしました。特に今回はVer.8の電気回路上での問題点に的を絞り,より扱いやすいギターを目指します!
具体的な改造ポイントは次の点。

  1. 使用頻度が低く,性能も今ひとつだった内蔵コンプレッサの取り外し。
  2. それよりまだ使い道がありそうなアクティブイコライザの搭載。
  3. イコライザとすでに内蔵されているディストーションを新たに設計し直した共通のプリント基板に統合し,内部回路の省配線化を目指す。
  4. 思いのほか使い勝手の悪いプルスイッチ付ボリュームの廃止。
  5. 独立した電池ボックスをボディに埋め込むことで電池交換の簡便化。
  6. その他,ノイズ対策強化。

iMac上で動くWindows用回路図エディタ
まずは回路図作り。以前,98ノートを持ってた頃はこれに電子回路用のソフトをインストールして使用してたのですが,よく考えたら98ノートは数年前にご臨終の身の上。「それならMacで」と思い立ったところが,Mac向けには案外ないんですよ,電子回路用ソフトってのが。思案の末,あんまりやりたくはなかったのですがiMacにVIRTUAL PCをインストールすることにしました。そう,世の中に数多い回路ソフトが出回っているWindows環境を使うことにしたのです。
Windows用の各種電子回路用ソフトをインストールし,さっそく起動。これが思ったより快適でびっくり!比較対象があんまりですが,会社で使っている古いPentiam 75MHzのノートよりぜんぜん速い。iMacを使っていながらあのWindowsの起動音が聞こえてくるのはあんまりイイ気持ちではありませんが,ここは目的のために我慢我慢。まずは全体の回路図を作成し,省配線化のためにプリント基板化する回路の範囲を検討します。今回はイコライザ回路とディストーション回路を1枚の基板にまとめた上,省配線化のためにBASS,TREBLEの各ボリュームポットも基板上に実装することにしました。
久しぶりのプリント基板設計。これもウィンドウズ用ソフトでぐりぐりと作っていきます。昔,方眼紙と鉛筆でチマチマやってた頃を思うとラクですねぇ。間違いもすぐ直せるし,レイアウト変更も簡単。実はもっと簡単な,回路図を読み込ませると自動的にプリント基板のレイアウトを作成してくれるソフトもあるのですが,デモ版を使った段階で操作がよくわからず降参しました。まぁ,基板のレイアウト作成作業のことを「アートワーク」っていうぐらいだから,これはあくまでアートであるからして,手作業の方が味が出るのだ!と勝手に理由付けして納得。
iMac上で動くWindows用プリント基板エディタ
プリントパターン
画面上でできあがった基板パターンをOHPフィルムにプリントアウト。このフィルムはプリント基板材に写真感光の原理でパターンを焼き付けることに使用するため,一般的に,インク自体の光の透過量が多いインクジェットプリンタは不向きで,レーザープリンタを使用するべきとされているのですが,顔料インクを採用している我が家のHP DeskWriter660CならOK。ややムラがありますが,これは同じフィルムを2枚重ねることで解決しています。
基板へのパターン転写は,先ほどのフィルムと専用の感光基板をぴったり合わせて感光させることで行います。昔は基板の銅箔面に直接手で描いたものですが,今はこの感光方式が主流。細かいパターンも美しく仕上がりますね。光源については,取扱説明書や解説書には「専用ランプや蛍光灯を使って定められた時間で行うように」と書かれていますが,私の経験上では日光が一番。どうも日光は季節や天候で光量が変化するために露光時間を決めにくいので好ましくないということらしいのですが,一度も失敗したことはありませんねぇ。かえって蛍光灯は毎回失敗してます。「快晴の日光で3,4分」を目安にしてます。
プリントパターン感光転写
エッチング作業
感光の終わった基板は現像処理し,いよいよプリント基板製作の要・「エッチング」にかかります。これは,基板銅箔面に転写された先ほどのパターンどおりに不要な部分の銅箔を溶かす作業です。湯せんして40〜45℃に温めた第二塩化鉄の溶液中にパターン転写した基板を漬け込み,攪拌するとおよそ10〜20分ほどでパターン以外の銅箔が溶け落ちます。早すぎると溶けきっていませんし,長く漬け込んでいると必要な銅箔まで侵されてしまいますから完了を見極めるタイミングが難しい作業です。コツは,温度を最適に保ち,溶液の量をケチらず,なるべく短時間で溶かしきることのようですね。
エッチングが完了したらよく水洗いし,銅箔面をクレンザーで磨いて転写皮膜を取り去ります。設計どおりのピカピカに輝くパターンが見えてきました。ここまで終わればプリント基板は完成したも同然。あとはドリルで穴開けし,銅箔の腐食防止にフラックス剤を塗布するだけです。
プリント基板

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