2024.3.30
オーラの可視化

 以前のESSAY 重力波と文学 で、重力波はオーラのようなもの?と書いた。
その後、二つの物体の間に生じる重力のメカニズムを考えながら重力波を計算していた。
その波形をグラフにして眺めていたのだが、二人の人間が居る場所に漂っているオーラとはこんな感じだろうか?
少々専門的になるが、これから示すグラフはリサージュ波形と呼ばれるもので、左は重力波が発生している空間について横軸:速度、縦軸:力に取ったもの、右は上下方向に時間軸を追加した3D表示である。
楕円の面積は二つの物体が蓄えている運動エネルギ+変形エネルギの大きさを表す。




 二つの物体の質量、柔性=柔らかさがお互いに異なる場合、両者の間で生じる重力波はお互いの固有振動数を持った波の重ね合わせとなる。
お互いの固有振動数が近接して共鳴を起こせば振幅の大きな重力波が観測出来るかもしれない。
2016年にアインシュタインが予言した重力波が初めて観測されたが、これがブラックホールの候補とされる連星の衝突に由来すると分析されたのは頷ける。
こうした天体〜宇宙空間で起こる現象がある一方、共鳴は人間同士でも起きている事は容易に想像できる。
人間個々が持っている固有振動数=バイオリズムは十人十色であり、気の合う同士は引き合い、感化され易かったり、 気の合わない同士は距離を置いたり、ヘイトという現象も理解できる。
こうした見方をすると、気とはエネルギ変動から生まれる重力波と似ているように思える。
驚くべきは、人間はそうした気を感じることが出来、オーラと呼んだり "空気が読めない" と表現したりする。

 上のグラフのように重力波が漂う空間を速度と力で可視化したわけだが、人間のバイオリズムを理性と感性の波動に置き換える為に、以前のESSAY 双対ということ に倣い、心の質量と柔らかさという量を考える。
心の質量が大きい程、理性のエネルギを沢山蓄える事が出来、心の柔らかさが大きい程、感性のエネルギを沢山蓄える事が出来ると考えて見た。
上のグラフを二人の人間の心の質量と柔らかさの組み合わせで以下の4つのケースに置き換えた訳である。
ここで、赤=自分、黄=相手としよう。

Fig.1:心の質量、柔らかさが同じ
Fig.2:相手の心の質量が100倍、柔らかさが同じ
Fig.3:心の質量が同じ、相手の柔らかさが0.1倍
Fig.4:相手の心の質量が0.8倍、柔らかさが同じ

Fig.1は理性も感性も全く同じ=クローン人間の場合である。
Fig.2、Fig.3は理性と感性が合わない者同士。
Fig.4は理性も感性も似た者同士という設定である。

 Fig.2の例では心の質量が100倍の相手が居ると自分が揺れるのが判る。
だからと言って相手の蓄えているエネルギが大きいかと言うと必ずしもそうではない。
質量が大きい=蓄え得る理性エネルギは大きいかもしれないが、揺れる周期が長い=速度が小さければ実際に蓄えている量は小さいと言える。
物事には因果関係があるが、必ずしも大きなエネルギが支配的になるとは限らない。
重要なのは、理性エネルギ、感性エネルギのどちらが優勢なのか?

 ここで話を心ではなく物体に戻すと運動エネルギ、変形エネルギの比率と言える。
例えば相撲では、激しく突き押せば運動エネルギは大きいが、相手がのけ反る=変形量が大きければ自分の運動エネルギが相手の変形エネルギを蓄えさせてしまう。
次の瞬間、のけ反った反動を利用して相手は自分に向かってくる。
将棋は二人が向き合って座っているので運動量は僅かだが、脳内ではシナプスが大きく変形〜伸縮しているのではないだろうか?
Fig.3の例は柔らかさ=柔性が大きい物体は泰然としているが、柔性が小さい=剛な物体の方は小刻みに揺れが起きている事が判る。
これは "柔よく剛を制する" と言えないだろうか?
こうした例を見て行くと、物事は常に相手があっての事と言える。
双対とは力学だけでなく、万物に当てはまる理=ことわりなのかもしれない。

 オフコースのこんな曲を思い出してしまった。♪
僕が君の心の、扉を叩いてる...
君の心がそっと、そっと揺れ始めてる...

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