2018.3.3
2021.7.23 改訂
2021.8.1 改訂
2023.3.7 改訂
相対性理論=双対性理論 愛とは何か?

 万物は双対で成り立っているという見方はアインシュタインもしていたかもしれない。
相対性理論が考え出された背景にも二つの見方があったのではないだろうか?
ここでは相対性理論をおさらいすることでもう一つの見方を考えてみたい。
万物であるからその見方は何が出て来てもおかしくないと思うのでここではそれを、”愛” と仮定してみた次第である。

 このエッセイのページは1998年のホームページ立ち上げと同時にスタートしたが、当初は主に音楽、山歩きにまつわる内容であった。音楽とは何か?というライフワークテーマを持っていたのだが、サブテーマとして脳とは何か?を考察してゆくうちに、音楽、美術、文学、自然、数理学、科学、工学、言語、医学、政治、経済といったあらゆる分野がお互いに繋がっている=切り離す事ができないように思えてきた。これらを繋げているのが双対という考え方である。
”双対” は日常生活でも意識される事無く存在しているのだが、これを言葉や理論を駆使して説明しようとすると却って判りに難くなってしまうようである。
レオナルド・ダ・ビンチや宮沢賢治、夏目漱石、アインシュタインの遺してきたものを回顧してみると、双対という考えが薄らと見え隠れしているように感じる。
 今回はエッセイ風研究ノートである。前段は小・中学、高校で習う算数、理科、物理、数学から始まり、最後は唐突に愛について語ってしまう。20周年という区切りでかなりボリュームが大きくなっていますが、おつき合い下さい。

もくじ

その1:ニュートンとフックの法則は二つで一つ 2023.3.7 改訂
その2:対になる二つのエネルギ
その3:微分 × 積分=? 2023.3.7 改訂
その4:E=mC^2 と対になる方程式とは?
その5:楕円と双曲線の関係
その6:ブラックホールとは何か? 2021.7.23 改訂
その7:特殊で日常的な例 2021.8.1 改訂
その8:愛とは何か?


その1:ニュートンとフックの法則は二つで一つ。

・ニュートン 運動の法則:=質量 × 加速度

・フック 変形の法則:=バネ定数 × 変位→

 ここでフックの両辺を時間tで微分すると、

 dF/dt=k・dL/dt=k・V ここからVを求めると、

 V=1/k・dF/dt

 K=バネ定数=剛性(こわさ)という意味であるが、それをひっくり返して見ると、

 1/k柔らかさ=柔性Hと呼ぶ事にする。

 見方を変えるとフックの法則は次のように書き直せる。

・フック:速度=柔性 × 加度→V=H・dF/dt あらためてニュートンと並べると
・ニュートン:=質量 × 加速度F=m・dV/dt

このことは、式の形がどちらも単純な y=a・x 型で、速度、質量と柔性、加速度と加度(時間に対する力の変化)が対称的に入れ替わっている。これをニュートンとフックの法則は双対の関係と呼ぶ。
そう呼ぶとは中学、高校、大学でも教わらないのでご安心ください。

 フックの法則をなぜ速度で表すのか?と思うかもしれないが、バネを縮めようとする過程でバネの端は速度を持ってL(m)移動しているという見方をするということである。
ただ、こうした見方は少なくとも自分の高校の物理の教科書には書かれていなかった。この見方は双対というものを理解するためのキーポイントなので、ここで少し詳しく触れておく。

 人間はバネを縮めようとする時に手に力を込める感覚を持っているが、ロボットに同様の作業をさせてみよう。
例えばロボットに1(N)のを掛けなさいと指示しても相手のバネの柔性H次第では定まらない。つまり縮めようとしているバネの柔性Hをあらかじめ知っておかねばならない。どんな柔性のバネでも対応出来るようにするには、”バネを縮める速度V(m/sec)と変位(距離)がL(m)となるのに必要な時間(sec)” で指示=制御した方がやり易い。そしてその反作用=結果としてロボットはを受けるということである。
が原因で速度が結果と見るか、速度が原因でが結果と見るか、二つの見方があるということである。
 また、人間は反発力を手に感じるが、これは手が柔かい=柔性を持っているからであり、ロボットにも同じ事を感じさせるにはロボットの手も柔性を持ったバネにする必要がある。そう考えればロボットをで制御しようとするとバネでバネを縮めることになり、かなり複雑な問題になってしまう。それよりはあえて人間そっくりに模倣するのではなく、柔性≒0=剛腕にしておけば逆に人間より万能かもしれない。
こうしたことから双対には、相手が柔なら自分は剛=相対的に物事を見るという意味合いがあるように思う。

 さて、速度についてロボットを例に挙げたが、次のような見方も出来る。

・人間でもロボットでもバネを外部から操作出来るのは速度だけである。
はバネの内部に生じるもので、外部から直接操作出来ない。

速度は次のようにカテゴライズ出来る。

速度:外延量 extensive value
 :内包量 intensive value

この概念と用語はその3:微分 × 積分=? で再び説明していますので参照ください。

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その2:対になる二つのエネルギ

 次にエネルギについて見てみると、

例えば無重力下の国際宇宙ステーション内で、静止している質量mなるダンベルを距離L(m)移動させる場合に必要なエネルギは、

・エネルギ= × 速度の時間積= × 距離 と表すことが出来る。

 一方、双対の考え方に沿えば、
同じく無重力下で静止している柔性Hなるバネを距離L(m)縮める場合に必要なエネルギは、

・エネルギ=速度 × の時間積=速度 × 力積 と表すことが出来る。

ここでのキーポイントはいずれも瞬時に移動したり縮んだりするのではなく、時間が経過している事にある。
vs=速度の時間積=距離
fs=の時間積=力積

とおくと、

エネルギE=F・vs=(m・v/t)(v・t/2) となり、書き直せば、
E=m・(v/t)(v・t/2)

・質量mを定数にした速度vについての微分(傾き) × 積分(面積)の形になっている→Fig.1参照

エネルギE=V・fs=(H・f/t)(f・t/2) となり、書き直せば、
E=H・(f/t)(f・t/2)

・柔性Hを定数にした力fについての微分(傾き) × 積分(面積)の形になっている→Fig.2参照

  

このことから、エネルギにも、

・質量mに比例する速度エネルギ(運動エネルギ)
・柔性Hに比例するエネルギ(変形エネルギ)

があり、お互いに双対関係にあると言える。また、

・質量mとは速度エネルギの貯め易さ
・柔性Hとはエネルギの貯め易さ

と見ることができよう。預金の金利のようなものである。そして、エネルギの貯め方は、

・質量mで貯める=動いていることが必要。
・柔性Hで貯める=変形していることが必要。

そして一度貯まったエネルギが保存されるには、

・運動し続けていることが必要=時間に関係し、位置には無関係。
・変形を保っていることが必要=位置(変位)に関係し、時間には無関係。

 これらが少なくとも力学的な双対の意味合いである。時間と位置(変位)も双対関係にあるのだろう。
位置(変位)は空間と言い換えても良いであろう。日本はアメリカから見れば東の果て= far east であるが、日本から見ればアメリカの西に位置している。つまり空間の中の相対的な位置という意味合いである。
ここから、時間と空間も双対関係にあると言える。このようなことは大学でも教わらないかもしれない。逆に言えば自分で考えてみるのが大学生であろう。
 日常会話でも例えば、東京とロス・アンジェルスの隔たりを空間=距離=8800Kmと表現したり飛行機で9時間と表現することがあるが、二つの見方ができるということである。 この事は思い出すに、”道のり” というカリキュラムで小学校3年生の算数で習っているのである。
時間で表すと速度が、更には速度から移動手段を類推することができる。

・距離(空間)を時間で割る=微分すれば速度
・速度に時間を掛ける=積分すれば距離(空間)

という関係だが、無意識のうちに微分と積分を使い分け、時間と空間を双対に扱っているのである。

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その3:微分 × 積分=?

さて、ここで、微分(傾き) × 積分(面積)とは何を意味するのだろうか?
大学の理学部の学生なら考えたことはあるかもしれない? ここから先は感性も必要かもしれない。


Fig.3のように山に登ることを考えてみる。横軸を距離、縦軸を標高、単位はいずれも(m)とすると、

・微分とは斜面の傾きを知るということである。
・積分とは進んだ距離と稼いだ標高の積(面積)を知ることである。

いずれも登山の厳しさを表すと言えよう。地図には等高線が記載されているのでどれだけ進んでどれだけ標高を稼いだか判るし、登山の厳しさを数値=デジタル化することが出来る。

 次に、微分(傾き) × 積分(面積)= 稼いだ標高の2乗になっている。
この稼いだ標高の2乗とは何を意味するのだろうか?

・高低差の2乗であるから下りのときでも正の値である。
・上りのときも下りのときも正である意味は?
・気力は常に正=ポジティブであるということ。
・微分する=斜面の傾きを知る。
・積分する=登山の大変さを数字にする。
・山に登るときには些末なことを計算しなくても気力さえあれば山頂に辿り着く。

ということだろうか?
ここで登山をする人にとっては些末なことでも、ひっくり返して1/些末=詳細と見れば、そういう詳細な計算は土木や軍事、理数系の人間ならやるかもしれない。
双対の考え方に沿えば子供はどうするだろうか?
子供の口癖でよく聞くのは、”まだ〜 あとどのくらい?”
子供は理論や計算は知らないので、”どのくらい” という感性として脳に貯まっているのかもしれない。
この標高の2乗=微分 × 積分とは漠然とした ”どのくらい” という ”正の量” を表しているのではないだろうか?
そうすると、”あとどのくらい?” とは ”あと気力をどのくらい貯めていればいいの?” と見ることができないだろうか?

・エネルギE=質量m × (微分 × 積分)=質量m × 気力
・エネルギE=柔性H × (微分 × 積分)=柔性H × 気力

と仮定してみよう。ここでは山を登る例をあげて気力という言葉を使ったが、日常会話では

・気力を保つにはエネルギが必要。
・気力が動作のエネルギになっている。
・腹が減っては戦は出来ぬ。

という使い方もすることから、気力とエネルギは同義かもしれない。
ここから、微分 × 積分=気力、もしくはエネルギと仮定してみると、
質量m、柔性Hとは、

・気力、もしくはエネルギを貯めておく性質の大小
・気力をエネルギに、あるいはその逆に変換する際の係数

気力、もしくはエネルギの貯め方については、

・質量mで貯める=動いていることが必要=時間に関係し、位置には無関係。
・柔性Hで貯める=変形していることが必要=位置(変位)に関係し、時間には無関係。

と言える。一方、

・微分とは、対を成す二つの量の割合、比率という意味合いもある。
 例:自分と相手の体重の比率。
   もし時間を相手とするなら、時間の経過に伴って体重が変化した割合。
・積分とは、二つの量の積=面積。
 例:自分が運んだ回数と荷物の重さ(Kgw)の積=累積。
   もし時間を相手とするなら、時間の経過に伴って荷物の重さが積み上げられた成果。

と言えるだろう。

・双対関係にある(ありそうな)ものは、

 力 vs 速度
 電流 vs 電圧
 圧力 vs 流量
 時間 vs 空間
 質量 vs 柔性
 重さ vs 柔らかさ
 微分 vs 積分
 デジタル vs アナログ
 理性 vs 感性
 左脳 vs 右脳
 男性 vs 女性
 大人 vs 子供
 貴方 vs 私
 人間 vs ロボット
 賛成派 vs 反対派・・・・・・・・e.t.c.

このように挙げてゆくと、二つを掛け合わせると何かが涌いてこないだろうか?
何となくエネルギと言う言葉が浮かんできた次第である。
また、二つの対は絶対的なものではなく、お互いに相対的なものであることが判る。
双対とは相対的にしか捉えることができない対と言えるかもしれない。

 ところで、二つを掛け合わせるという発想だが、14世紀初頭にフランスの哲学者ニコル・オレームが次のような事を述べている。
“質の量は質の強さと量の広がりの積である”
 質の強さ:内包量 intensive value
 量の広がり:外延量 extensive value
としている。
この両者の積は次に述べる現代の工学に於けるパワ=単位時間当たりのエネルギの事である。
但し、当時は未だエネルギという用語は無く、エネルギの概念が確立されるのはニュートンやフックの後、19世紀後半である。

 国際単位(通称SI単位)では力の単位は(N)、速度の単位は(m/sec)と規定しているが、冒頭にフックの法則の両辺を時間で微分して見えて来たように、力の単位を(N/sec)としても構わないということである。
例えば、電流の単位を(A)、電圧を(V)としているが、どちらも時間に対する比率 /secにはしていない。
しかしながら電流1(A)は1秒間あたり1C=1(C/sec)の電荷の流量ということであり、便宜上、表記を1(A)と決めたものである。
どこの家にも屋外に積算電力計が取り付けられている。積算電力の単位は(Kwh)であり、これはエネルギの単位(J)に換算できる。1(Kwh)=3600000(J)
日常、積算電力と呼んで使ったエネルギに応じてお金を払っている訳である。
そして電力(w)=電流(A) × 電圧(V)である。これは工学の世界でそう決めただけのことである。
そうすると、日本では一般家庭の電圧は100(V)一定にしていることから判るように、積算電力とは100(V)の電圧で何Aの電流を何時間流したか?=Ah=アンペア・アワーという呼び方も使われている。
 同様に工学の世界では、

・力:1(N) × 速度:1(m/sec)=パワ(動力):1(Nm/sec)=1(w) そして、
・1(Nm/sec)という動力を1秒間続けたら1(Nm)=1(J) と決めており、
・パワを時間で積分=積算したらエネルギということである。これを、
・力:1(N/sec) × 距離:(m)=パワ(動力):1(Nm/sec)=1(w)

としても構わないということである。
これはどちらの単位を時間の比率にしても良く、片方が時間の比率ならもう一方は面積、すなわち速度(m/sec)ではなく距離(m)を持ってくれば良いということである。ここから、

・微分 × 積分はエネルギと等価な量である。

と考えてみてはどうだろうか。これは見方の問題である。

 ところで微分=比率で表したものと、積分=積み上げたものは脳の中でどう扱われているのであろうか?
比率で表したり、積み上げたりするという作業は数値=デジタル化するという作業である。数値になっていれば記憶することは簡単である。
ただ、何に対する比率だったっけ?と思い出すにはちょっと面倒くさい。例えば気圧は何パスカル?と言うが、1(Pa)=1(N/m^2)=1平方m当り1(N)の力が掛っているということである。
一方、時間に対する比率ならば速度のように時々刻々変化する様はアナログと呼び、アナログは感じることは出来てもそれをいちいち記憶するのは難義であり、只々やり過ごしている。
 再びFig.3を見てみよう。
登る斜面の傾きや稼いだ標高をいちいち数値=デジタル化するようなことは人間の脳は適していないのだと思う。
替わりに変化してゆく=ゆらいでいる景色や気温、木や草花の香りのようなアナログは老若男女を問わず感じる事ができる。
このように考えると比率や積み上げた数値をそのまま扱うより、対になるお互いを積の形に掛け合わせてしまえば脳は扱い易いのではないだろうか?
すなわち、微分と積分の積がエネルギと等価とすれば、脳はエネルギとして感じ取ろうとしているのではないだろうか?
そして、人はこれを気力と呼んでいるのではないだろうか?
気力が涌いてくるということは、時々刻々入って来る様々な記憶・情報を比率にしたり積算したりして、最終的に両者の積の形=エネルギ=感じ取れる量に変換することではないだろうか?
このように考えると、

・脳は記憶と感応という対となった機能を持つ器官である。
・記憶は時間の経過には無関係だが、感応は時間の経過が必要である。
・例:人の顔の記憶は時間が経過しても不変だが、久しぶりで会った時に感ずる顔の変化で時間の経過を知る。
・恐らく記憶は左脳、感応は右脳の分担と思われる。

と言えまいか?

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その4:E=mC^2 と対になる式とは?

 この式は高校の物理の教科書に出て来る。
vは時間の経過と共にどんなに大きくなってもC(光速)が最大であるからCに達したら定数となる。
光速C = 299792458(m/sec) ≒ 30万Km/secである。
エネルギは保存されているので質量mはエネルギに変換できると解釈できる。

 一方、双対の考えに沿えば、fは時間の経過と共にどんなに大きくなっても最大となる値がある筈である。これを光速の双対という意味で仮に暗力Fvと名付ける。
ここで、その1:ニュートンとフックの法則は二つで一つ でやったように、E=m・C^2について速度=C力=Fv質量m柔性Hを入れ替えてみると、

E=H・Fv^2となる。
エネルギは保存されているので柔性Hはエネルギに変換できると解釈できる。
この式は少なくとも自分が学生の頃には見たことが無い。
あらためて両式を並べてみると双対関係=二つがセットに見える。

E=m・C^2
E=H・Fv^2

 両式は万物は質量mと柔性Hなる二つの性質を持っており、いずれも光速C、暗力Fvという条件ではエネルギに変換出来るという解釈ができる。
これは例えば、1gの質量を持った軽油が燃焼すると46KJの熱エネルギに変換出来るという事や、ある柔性を持ったゴム風船に空気をどんどん充填していって最後はバンッと破裂して音のエネルギに変換されるという事と同じ意味合いであろう。
そしてエネルギは保存されているという意味合いを含めて、これを文学的表現に置き換えてみると、

E=m・C^2 あの人の身体(質量)は光る星になった。
E=H・Fv^2 あの人の意思(柔性)は熱い日差しのように降り注いでいる。

 そして、その1:ニュートンとフックの法則は二つで一つ、で示した y=a・x なる式の意味合いは、
x=原因、y=結果とおけば因果応報と言えようか。
すなわち、物事には必ず原因から導かれる結果があり、その導かれ方は少なくとも力学的には質量m、柔性H=重さと柔らかさという二つの性質に因って決まると言える。

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その5:楕円と双曲線の関係

  次に、あらためて、

E=m・(v/t)(v・t/2)=m・v^2/2 速度エネルギ

E=H・(f/t)(f・t/2)=H・f^2/2 エネルギ

と整理すると、エネルギは保存されているので、

m・v^2/2+H・f^2/2=Eこれを書き直して、

m・v^2/2E+H・f^2/2E=1これはvとfについての楕円の方程式となる。これは高校の数学で習う。
楕円は2つの焦点からの距離の和が一定となる軌跡だが、焦点が2つ=2つのエネルギというところが双対の意味合いである。

ここでFig.4を見て頂きたい。


 横軸を速度v、縦軸を力fとし、楕円に外接する f=P/v すなわち P=v・f なる双曲線を置いてみる。
ここで、接点に当るvとfの積がパワPとなる。
パワP=面積は双曲線上であればvとfがどう変っても一定である。
 一方、この双曲線に接する楕円の条件はエネルギE、質量m、柔性Hによって決まる。
すなわち、エネルギEはそれを貯める性質である質量m、柔性Hの割合によって速度エネルギで貯めるかエネルギで貯めるかの割合が決まるということである。
そして、パワPの面積が一定に保たれながら楕円上と双曲線上を行ったり来たりする様と言えよう。更にはパワPを時間で積分するとエネルギとなる。
これはパワという量は双対関係の速度v(m/sec)とf(N)の積であるから、時間の経過によって変化する量だからである。
これが力学的な速度v、力f、パワP、エネルギEの関係を数学的に表したものである。万物の理屈と言ってよいと思う。

 ここでFig.5を見て頂きたい。
単純な質量とバネ系の自由振動を例にとると、質量mに貯えられた速度エネルギとバネの柔性Hに貯えられたエネルギが周期的にエネルギを交換していることを示している。
エネルギが保存されているという意味は、変位または時間の経過に伴い速度エネルギが増えればエネルギは減るということである。
これは日常的によく経験する、”こちらを立てればあちらが立たず” 更には、”もぐら叩き” と言えよう。


これまでにやってきた事を振り返るとこれらの数式や図式は、

・極めて単純な y=a・x 型の式=因果応報から出発し、x を 1/x とひっくり返してみる。
・力を速度と同様に時間の経過に対する変化量dF/dt、単位は(N/sec)=諸行無常として見る。

事で導き出された。この意味合いは数学的には、

・y=a・x や f=P・v なる直線の関係という見方をする場合、定数aやPは傾きである。
・y=a/x や f=P/v なる双曲線の関係という見方をする場合、定数aやPは面積である。

ここから双対の意味合いは、

・物事には必ず因果関係がある=因果応報であると同時に、時間の経過と共に変化する=諸行無常である。
・因果関係を直線と見るか、ひっくり返して双曲線と見るか、二つの見方がある。
・因果関係の強さ=定数を傾きで見るか面積で見るか、二つの見方がある。
・物事は二つの見方をしないと本質が見えて来ない。
・物事は
こちらを立てればあちらが立たず。
Fig.6参照


と言える。おさらいの為にもう一度力学的に表現してみると、

・エネルギはお互いが双対関係となる二つの物理量で貯えられるエネルギの和で成り立つ。
・その物理量対とは、

 力と速度
 電流と電圧
 圧力と流量・・・・・・・・e.t.c.

・お互いの物理量の積はパワとなり、パワを時間で積分すればエネルギとなる。
・エネルギは2種類の対になっており、その割合はお互いに双対関係にある性質の割合に依存する。
 その性質とは、

 質量mと柔性H
 電気回路におけるコイルのインダクタンスLとコンデンサの静電容量C
 河川におけるダムの高さhと容積V
 時間と空間・・・・・・・・e.t.c.

例:
速度の積はパワであり、パワを時間で積分すればエネルギとなる。
・パワにおける速度の割合、そして全体のエネルギに占める速度エネルギとエネルギの割合は質量mと柔性Hによって決まる。

 このように、

・パワやエネルギは保存されている(補充せず漏れも消費もない)限り、
 速度をどのようにいじっても変らない=パワやエネルギは物事の本質を表している。
・本質を変えるにはパワやエネルギの補充(プラス)か消費(マイナス)が必要である。
・本質を維持するにはパワやエネルギの漏れ(損失)を食い止める必要がある。
・本質を変えるには質量mや柔性Hを変える必要がある。
・質量mや柔性Hの片方を無視すれば本質を見失う。

と言えよう。

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その6:ブラックホールとは何か?

Fig.7を見て頂きたい。


 例えば相対的な質量差が巨大な二つの質量M、mの物体があった場合、地球にりんごが落ちるごとくニュートンの万有引力の法則により両者は接近し、距離が縮まる毎に加速度的に相対速度=接近速度が大きくなるのであるから、 仮に光速Cに限りなく近くなった場合=光速で離れて行く物体は見えない=ブラックホールとなる可能性がある。
 一方、双対の考え方に沿って小さい質量mの物体は柔性Hを持った柔らかく伸縮する物体と考えてみる。
この場合、Mとm間の距離をR、mの長さをrと置くと万有引力Fが働く。
G=万有引力定数を用いると、

F=G・M・m/R^2

一方、物体m内部で働く力はフックの法則が成り立つバネ力=復元力と考えてみる。
それを、その4:E=mc^2で光速Cの双対にある力と仮定した暗力Fvとすれば、

Fv=r/H の関係となる。
Fvは物体mを構成するお互いの分子を引きつけ合っている力=分子間力=ファンデルワールス力と考えてみよう。りんごを両手で引きちぎろうとすれば光速Cと同じように限界となる値がある筈である。

 Fig.8を見て頂きたい。
ここで、物体mの右端を固定して左端をフリーにすれば伸縮を始める。
その5:楕円と双曲線の関係 のFig.5と同様である。


 Fig.9を見て頂きたい。
物体mの右端の固定を解放すれば巨大質量Mとの距離を縮め、最後は距離R=ゼロ、すなわちリンゴが地面に着地するごとく接触するであろう。


 Fig.10を見て頂きたい。
物体mのみならず、巨大質量Mも伸縮する様を模した図である。
ニュートンが発見した万有引力とは二つの物体の間に働くのだが、彼はこんな図をノートの隅に描いただろうか?
あるいは、フックと犬猿の間柄であった彼は意図的に消してしまっただろうか?


 このように考えるならばブラックホールとは吸い込まれるだけではなく、状態が周期的に変化しているのかもしれない。
Fv=r/H すなわち、
F=krであるから、
各々の物体のバネ定数kと質量mで決まる固有周期=波長を持つ振動現象が存在する筈である。
振動しているものを観察する場合、観測者との相対的な位置によって空間や時間が伸び縮みするように見えるのかもしれない。
 例えば、海中で波に乗らずにやり過ごせばその場に漂っているが、サーフィンのように波の斜面を捉えることができれば滑走し続ける=沖から岸に移動(ワープ)することができる。その場に漂っている人からサーファーを見れば、同じ時間が経過しているのに自分の時間は止まったように見えないだろうか?

 さて、ここで、

E=m・C^2の方程式は、エネルギ保存則によって光速Cに達すると質量mが光のエネルギに変換される=発光して質量mが減少するという見方をしてみよう。

E=H・Fv^2の方程式はファンデルワース力Fvに達すると柔性Hが何かのエネルギに変換される=発光の双対となる現象は何か?光は電磁波の一種だが同じだろうか?

 ここで、地球上における身の回りの現象を思い浮かべてみよう。
針金を切断したいのだがペンチが手元に無かったので手で何度も折り曲げて折ろう。このときに針金は熱を帯び、やけどした経験は無いだろうか?
この熱は何度も折り曲げることによって針金に与えたエネルギが熱に変わったのだろうか? そのエネルギは人間が外部から針金に与えたエネルギである。
一方、針金自身はだんだん柔らかくなって折れたのだから柔性Hが増加=剛性が減少したと見ることも出来る。
これは熱によって柔らかくなってしまったのだろうか? あるいは柔らかくなって熱に変わったのだろうか? この因果関係は如何に?
もし後者ならば、柔性Hは熱エネルギに変換されたという見方をしてみよう。針金はフックの法則が成り立つ弾性限界を超えて塑性域に入っているのである。

 2020年に起きたコロナ禍によって要所の入口で体温を非接触で測られる経験をされたと思う。物体の表面温度を測る方法として物体から輻射される赤外線の波長から表面の温度を瞬時に求めている訳である。
赤外線も電磁波の一種であり、柔性Hも質量mと同じように電磁波のエネルギに変換されるのかもしれない。

 このように考えるなら遥か彼方からこの様相を観察すると何らかの現象が周期的に観測出来たり、出来なかったりを繰り返すのではないかと思われる。
ブラックホールの候補と目されている天体から周期的にパルサーと呼ばれるX線が観測されるのはこれだろうか?
そして全てを封じ込めて外には何も出さないと考えられていたブラックホールから1974年にホーキングはエネルギ輻射の可能性を示唆し、宿題となっている。

 このような考え方はニュートンの運動の法則、およびフックの変形の法則が対になって成り立つものである。
ニュートンとフックは同時代の人であり、お互いに対立していたようだが1/対立=双対関係にあったようだ。
アインシュタインはこうした見方をしていたのかもしれない。繰り返すと、

・万物は双対で成り立っており、相対的なものである。

 さて、その5:楕円と双曲線の関係 のFig.5で示した図だが、ここでは便宜的にバネ(柔性H)とオモリ(質量m)を別々に描いていることにご注意頂きたい。お気付きのようにバネ自身の質量mを考慮していないのである。
私達が日常、目にするバネにはそれ自身に質量があり、物体がバネの形をしていようとオモリの形をしていようと質量mと柔性H、すなわち重さと柔らかさを併せ持っていると見なすことが双対のキーポイントである。
 豆腐には角があるが、目に見える容姿に騙されてはいけない。もし自分の頭が豆腐より柔らかければ角にぶつけて死ねるであろう。
ところで、質量mに対して相対的に柔性Hが非常に大きいバネとしてスリンキー:Slinkyと呼ばれる玩具がある。あの階段を伸縮しながら尺取虫のように降りて行くスプリングである。 

 Fig.11を見て頂きたい。

 この非常に柔性Hが大きい=柔らかいバネの上端を持って垂直に垂らすと地球の重力と釣り合う長さに伸び切る。
この状態ではバネの柔性Hはエネルギを貯えているのだが、バネは静止しているので速度エネルギはゼロである。ここで手を離すと、
・バネ上端から下の部分が下降=運動を始め、質量mは速度エネルギを貯え始める。
・この過程ではエネルギ保存則に従ってエネルギから速度エネルギへ交換される。
・これはバネ自身の復元力によって上端から下の部分が縮み切った位置まで戻ろうとしていると考えれば良いであろう。
・このとき万有引力はバネの重心に働くのだが、上端ほど伸びが大きく密度が小さいので重心はバネの中心ではなく下端寄りにある。
・また重心は上端の下降と共に下方に移動して行くことにご注意頂きたい。
・結果としてバネの下端は暫く降下せず、その位置に留まるという挙動を示す。
・ところがバネ上端が縮み切った瞬間に柔性Hはゼロ=剛性が無限大の物体=バネでは無くなり全体の質量mを持った塊の状態で落下するのである。
・もし国際宇宙ステーションの無重力下でバネの両端を引っ張ってから解放すれば両端は丁度真ん中に戻るであろう。

 スリンキー:Slinkyは玩具としての使い道しかなく、このように柔らか過ぎるバネは機械としては殆ど機能を発揮する事ができないのだが、質量mと柔性Hの双対性を理解するには有益な教材かもしれない。
スリンキーが登場したのは1945年であり、1955年に没したアインシュタインはこの玩具で遊んだかもしれない。

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その7:特殊で日常的な例

 もう一度その5:楕円と双曲線の関係で示したFig.4に戻り、いくつかの特殊な条件を考えて見る。
仮に質量m=0、もしくは柔性H=0であった場合は短径≒0の潰れた楕円となる。
この場合、エネルギは貯めることが出来ないので、速度(運動)エネルギと力(変形)エネルギのどちらかがゼロということになる。そして面積Pは、

P=E/m、または、P=E/Hとなる。ゆえに、

・エネルギE=質量m × P
・エネルギE=柔性H × P

となり、これはその3:微分 × 積分=?の山登りで仮定したように、気力の正体はパワPであったのかもしれない。

 すなわち、これはあえて速度だけ、あるいは力だけで物事を扱おうとするケースである。
このようなことは日常的によく行われているのではないだろうか?
例えば、力学的に物体の運動を計算をする場合、物体は変形しない=剛性は無限大=柔性=ゼロと見なすということである。
一方、物体の変形を計算する場合、物体の質量は考えない=力と剛性だけで計算するということである。

 日常を振り返ってみると、
質量mなる物体について運動を解析する場合は、大概、経過時間に対する速度の変化が知りたいケースではないだろうか?。この場合、質量は点と見なし、長さ=空間は不問にしている。
そのようなケースで物体自身の柔性Hを考慮するということは変形を伴うということであり、物体の前端と後端では速度が一様ではなくなってしまう。
つまりニュートンの運動の法則が適応できる範囲に限っているということである。
一方、
剛性k(柔性H)なる構造物について変形を解析する場合は、大概、変形量や力が知りたいケースではないだろうか?。この場合、長さ=空間は考えているが、時間の経過は不問にしている。
そのようなケースで構造物自体の質量mを考慮するということは運動を伴うということであり、時間の経過によって変形量は一様ではなくなってしまう。
つまりフックの変形の法則が適応できる範囲に限っているということである。
これは見方を変えると、その2:対になる二つのエネルギで述べたように、時間と空間は双対の関係でありながら、課題に応じて時間と空間を切り分けていると言える。 機械系の力学というのはそういう性格を持っているようである。

 ところが建築の分野では地震の際の超高層ビルの揺れのように運動と変形が共に無視できない=ビルの質量と柔性(剛性)を無視出来ない場合がある。この場合、エネルギE、質量m、柔性Hの関係は膨らんだ楕円となる。
これは建築物は自動車や一般的な機械に比べると相対的に質量m、柔性Hが巨大ゆえであろう。はるかに重く柔らかいということである。

 更に電気の分野では電気回路のように電流と電圧を切り離して計算しようという発想は沸いてこないのではないだろうか?
すなわち電気エネルギの内訳はコイルのインダクタンスLに貯えられる磁気エネルギと、コンデンサーの静電容量Cに貯えられる静電エネルギに分かれるが、片方だけの電気回路では実用に供さないという性格を持っているからではないだろうか?

 こうしてみると、機械系は速度エネルギだけ、力エネルギだけで計算しても実用上問題なく、むしろそうした方が楽なことの方が多い。
数学的に言い換えるならば、エネルギE、質量m、柔性Hの関係を機械系力学は特殊条件として短径≒0の潰れた楕円で扱うことがあり、それ以外の力学では膨らんだ楕円で扱っているのだろう。
いま流行の電気自動車の設計は膨らんだ楕円で扱う必要があろう。
こうした特殊な扱い方は大昔から慣例的にやってきた=凡人の見方なのだろう。繰り返すと、

・万物は双対で成り立っているが、その片一方だけで扱った方が楽なことがある。
・但し、対にして扱わないと本質を見失い、"もぐら叩き" に陥ることがある。

これまでの考えをまとめてみると、

・エネルギE=質量m × (速度についての微分(傾き) × 積分(面積))
・エネルギE=柔性H × (力についての微分(傾き) × 積分(面積))
・エネルギE、質量m、柔性H、速度、力の関係は楕円となる。

但し、以下のような特殊な条件では、

・質量m=柔性H なら、
 速度エネルギ(運動エネルギ)=力エネルギ(変形エネルギ)というケースである。
 エネルギE=質量m × パワP または、
 エネルギE=柔性H × パワP
 エネルギE、質量m、柔性H、速度、力の関係は真円となる。

・質量m=有限 かつ 柔性H=0(剛性K=∞)なら、
 エネルギE=質量m × パワP
 速度v軸方向の短径≒0の潰れた楕円となる。

・柔性H=有限 かつ 質量m=0なら
 エネルギE=柔性H × パワP
 力f軸方向の短径≒0の潰れた楕円となる。

・相対的な質量m≒∞ なら、
 相対速度(接近速度)はC(光速)に限りなく近づく。

・相対的な柔性H≒∞(剛性k≒0)なら、
 相対力(対となる分子間の)はFv(ファンデルワース力)に限りなく近づく。

・相対的な質量m≒∞ かつ相対的な柔性H≒∞(剛性k≒0)なら、巨大質量Mと質量mの分子対は接近と離遠を、かつ分子対自身は収縮と膨張を繰り返すような運動に見える可能性がある。

これらを図示すると以下のようになる。


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その8:愛とは何か?

さて、この双対の考え方に沿って愛とは何かを考察してみる。再び、

・ニュートン 運動の法則:力=質量 × 加速度→F=m・dV/dtより
 質量m=F/(dV/dt)

・フック 変形の法則:速度=柔性 × 加力度→V=H・dF/dtより
 柔性H=V/(dF/dt)

ここで、お互いに双対関係にある質量mと柔性Hの積を考えて見る。

m・H=F/(dV/dt)・V/(dF/dt)ここで右辺の分子はお互いに双対関係にあるF・V=力と速度の積=パワPである。

重いものを早く動かすほどパワは大きい、すなわち時間に関係するものであり、時間で積分すればエネルギになる。
例えば相撲で両力士が組み合って力を掛け合っていても微動だにしなければパワはゼロである。
また、水入り後の取り組み再開に際しお互いに力を掛けないで組み合った形を再現した状態もパワはゼロである。
動きが無いか、または力を掛けていない場合はパワはゼロということである。
逆に言えば、力と速度が共にゼロ以上でないとパワは流れないということである。
一方、右辺の分母は

(dV/dt)・(dF/dt)=dP/dt=時間に対するパワの変化という意味である。
これは微動だにしなかった両力士の力の釣り合いが崩れて動き出し、片方が土俵から押し出されてゆくシーンを思い浮かべて欲しい。このとき初めてパワが流れ出すということである。
力士は時間の経過と共にエネルギを消耗してきているので両力士のパワが低下=変化しつつ、かつお互いのパワに差がある(お互いに逆方向である)ということである。書き換えると、

m・H=dP/dt
質量 × 柔性=パワ/パワの変化

この式を次のように喩えてみる。

・力士の質量 × 力士の柔性 = 気力 / 気力の変化

左辺について、

・力士の質量=自分が動き易い=相手は捕まえ難い 逆もしかり
・力士の柔性=自分が撓り易い=相手は力を掛け難い 逆もしかり

左辺の性質の組み合わせ次第で右辺の気力は違ってくるのではないだろうか。
立会い直前の気力はみなぎっていたかもしれないが、立会いで変化されてしまったり、力を掛けたのに撓られてしまった瞬間に気力は萎えてしまうだろうか?
右辺の気力の湧き具合も取り組み中の気力の変化も相手次第ということであろう。
これが双対関係という意味であろう。力学の世界では作用・反作用ということになろう。

ここで、力士→心、気力→想いに置き換えてみる。

・心の質量 × 心の柔性 = 想い / 想いの変化

心の質量とは心変わりのし易さ(難さ)であり、心の柔性とは心の受け止め易さ(難さ)と言えよう。
そして相手と自分との相対的なものであることが判る。
ここで、左辺=心変わりのし易さ × 心の受け止め易さ = 愛と置いてみる。

・愛 = 想い / 想いの変化

 想い=こうあって欲しい、信念、記憶、ゆらいで欲しく無いもの。

・愛 = 物事の理念・論理 / 物事のゆらぎ

 理念・論理とはy=a・xなる因果関係のように曲がって欲しく無いもの。
 しかしaは時間と共にゆらぐもの。

愛 = 因果応報 / 諸行無常

 初めての出会いは、その6:ブラックホールとは何か? のFig.10で示したように物質の接近から始まる。
出会った時は直感=理由など無かったけれど、心臓がドキドキするように振動現象が始まる。
これはお互いの心の質量と柔性によって決まる固有周期=波長が合った=共振=共鳴したということである。
交際を始めると時の流れと共に想いが変わってゆく。
増々好きになったり、相手の嫌なところが見えて来きたり、本当にこの人の事を好きなのだろうか?と思ったり、 相手の心変りに気が付いたり。
 好きという想いは左脳に情報として記憶されるのだろう。これは時間が経っても変らない。
一方、時間の経過と伴に心がゆらいでいる事に気が付く。これは右脳の役割であろう。
脳がこの記憶を呼び出したり、ゆらぎを感じるには血液が必要である。
記憶の呼び出し(シナプスの繋がり)には拳銃の引き金を引く様な瞬間的な血圧(力)が必要だが、ゆらぎを感じるには常に血流(速度)が必要である。

 初めて出会った頃の記憶と金婚式を迎えた今の思いは同じだろうか?いつまでもドキドキときめいているカップルは居るのだろうか?居るとしたらその時、その時を記憶できない記憶障害だろうか? いや、自分自身の心変り、相手の心変りが読めないゆらぎ障害だろうか?
血圧が低下したり血流が減っても意識障害が出るが、心のバネが折れれば記憶の出し入れは出来なくなり、心の質量が無くなってしまったら物事の経過が認識できなくなるのかもしれない。これは認知症だろうか?

 永久の愛は誓うことは出来るが、長生きすればするほど変容するものなのであろう。
永いこと愛用した茶碗が割れてしまった時の気持ちはいかばかりだろうか?
茶碗を買った時は永久の愛を誓わなかったかもしれないが、割れて明日はもう使えないとなった時、思い出すのは伴に過ごした日々の記憶だろうか?
記憶を呼び出すには血圧があれば良いが、もうゆらぐことは無ければ血流は不要である。ただそれでは脳に酸素が運ばれなくなって脳死である。

 好きが高じて相手のゆらぎを認められなくなったら人はどうするだろうか?
ジョン・レノンはファンに殺害されたそうだが、オノ・ヨーコが言うように彼の肖像は永遠に40歳のままである。
分母の物事のゆらぎがゼロになれば愛は無限大ということになる。そのとき分子の記憶は永久に更新されない。
のれんを守る老舗というのはそういうことなのかもしれない。
愛とは出会った時の初々しい記憶を大事にするか、心変わりを受け入れるか?
愛とは楕円と双曲線の上を行きつ戻りつ、ジレンマ=双対のようである。
そして、

愛=パワ  Love is power.

と書いても良いのではないだろうか?
ネットで歌詞検索すれば、きっと出て来ると思われる。これは、

1/k=柔性H  1/剛(こわさ)=柔らかさ なる物の見方に倣えば、

1/天才 = 凡人であり、誰でも感じていることではないかと思われる。

 アインシュタインが相対性理論を考えるに至った二つの背景として、人間を取り巻く宇宙に対する疑問と同時に、人間内面に対する疑問が対としてあったのではないだろうか?
どちらの疑問にも当てはまる理論の存在を感じていたのではないだろうか?
そして、物理や数学の数式や用語をいくら並べても子供や素人でも判らないのでは不完全だと感じていたように思える。
逆に言えば相対性理論が腑に落ちるには、理性と感性が対で必要なのかもしれない。
それが娘、リーゼルに膨大な手紙を送った気力=パワ=愛だったのではないだろうか?

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参考文献:
機械の力学 長松昭男 著

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